普段の店長研修などで私が最初に話すのが、「仕事をなんとなくするのをやめよう」ということです。なぜなら、仕事には方程式のような公式が色々あり、ただ思い付きでやるのではなく、その公式に当てはめて仕事をする方が、より効率的に、そして効果的に仕事を進めることができるからです。

 

 

成果を出すための「指示だし・教えるの3原則」

 
その方程式の中で、私が最も大切にしているのが「指示だし・教えるの3原則」です。
日常的に、アルバイトさんなどに指示をしたり教えたりする機会が多いのが飲食店の仕事です。

飲食店の店長・スタッフ教育における「指示だし・教えるの3原則」を紹介する画像。カフェ風の飲食店を背景に、店長がスタッフへ仕事を教える場面とともに、指示や教育で伝えるべき「目的・ゴール・期限」の3つを整理している。目的は「何のために仕事や作業を行うのか」、ゴールは「どの状態までやれば正解なのか」、期限は「どれくらいの時間でやるべきなのか」を明確にすること。目的・ゴール・期限を具体的に伝えることで、スタッフが迷わず行動でき、求めるレベルの仕事につながることを示している。飲食店の人材育成、店長教育、スタッフ教育、仕事の基準づくり、現場の生産性向上に活用できる考え方を視覚化した内容。

 
しかし、その中で“ただなんとなく”指示をしたり教えたりするようでは、自分たちの思うレベルで仕事をしてもらうことは不可能です。そこで、指示を出したり教えたりする際にこの3つを必ず伝えようとお話ししているのが、この「指示だし・教えるの3原則」です。

この3原則とは、
1,目的・・・何のためにこの仕事、作業を行うかを伝える
2,ゴール・・どの状態までやるべきか、何が正解の状態かを伝える
3,期限・・・どれぐらいの時間でやるべきかを伝える

の3つです。

この3つを指示出しや教える際に丁寧に伝えることで、こちらが求めるレベルの仕事をさせることに繋がります。

そして、この3原則(特にゴールや期限)を現場で徹底し、全員の仕事の質を同質化させるために、私は「基準」をつくることを強く推奨しています。

 

 

曖昧な指導をなくす「声の大きさ」の数値化

 
例えば、「いらっしゃいませ」の声量についても「基準」をつくります。
 
多くの現場では「もう少し大きい声で!」と基準にあいまいなため、店のスタッフ同士のやり取りを見ていると、「もう少し大きな声出して」「いや、出してます」といった無用なやり取りをしている人が多いと感じていました。

そこで最近では、スマホのアプリから「デシベル計」という声の大きさを測るアプリをダウンロードし、声の大きさの「基準」を80db、90dbというように、数字で示すようにしました。計測する際には、「入口で発声した時に、ホールの奥で聞こえた声の大きさを計測する」というように、計測する距離も明確にしています。

これによって声の基準の大きさが明確になり、皆がその基準を達成できるようになって、店の活気が生まれやすくなった店舗も増えました。
※「いらっしゃいませ」を言う目的や声量を上げるための具体的な取り組み方法はこちらを参照ください>>>>

 

 

ピーク時の回転率と売上を高める「時間の基準」

 
他には、お客様が帰られた後のバッシングからセッティングまでにかかる時間の「基準」の設定です。

このバッシングからセッティングまでの作業は、かかる時間をどれだけ短縮できるかでピーク時の客席回転率が大きく変わり、売上にも大きく影響するため、とても重要な作業でもあります。

この作業にも「基準」の時間を設けることで、皆がこの基準を達成するためにどうすればいいのかを考えながら作業をするようになります。その結果、全体の作業スピードが向上し、回転率アップに繋がっている店もたくさん出ています。

 

また、ドリンクの作成スピードにも「基準」を設けています。

例えば、「生ビール3杯とレモンサワー3杯の作成時間」の基準を決めるのです。この基準タイムを達成できないとドリンク場を任せることができない、ドリンク場の仕事をやることができない、という明確な目標ができることで、皆がその目標達成のためにどうすればいいかと考えながら仕事をします。あるいは、基準タイムがあることで、それが達成できたときに達成感を感じさせることにも繋げることができています。

 

 

なぜ、飲食店で「基準」が必要なのか?

今回「基準」をつくることの重要性をお伝えしているのは、飲食店ではこの「基準」があいまいであることが多く、個人個人に任せっぱなしであることが多いからです。そのため、スタッフ同士の連携が進まなかったり、作業スピードがいつまで経っても上がらないといった課題が出てしまうのです。
 

飲食店で「基準」を明確にする重要性を、スタッフの現場写真と3段階の流れで示した画像。基準があいまいな状態では、スタッフごとにやり方が異なり、指示や教え方にばらつきが生じ、連携不足や作業の遅れ、成長の停滞につながることを表現している。中央では「目的・ゴール・期限」を明確にし、全員が同じ基準で行動できる状態を示し、右側では連携がスムーズになり、生産性アップ、育成スピードアップ、売上アップにつながる流れを視覚化。「基準」を明確にすることで、スタッフが成長しやすくなり、飲食店の生産性と売上向上につながることを伝えている。

 

例えば、先ほどお話ししたドリンク作成ですが、随分前にご支援先で店舗周りをしているときの事件(?)が発端で、時間の基準を作るようにしたのです。

その事件(?)とは、店舗での勉強会の終了後にお店へ臨店した際、ドリンクの提供時間が遅く「誰が作っているのだろう」とドリンク場を見ると、新人さんのようでした。ただ、実はこの新人さん、“もう入店後3か月も経っていた”にもかかわらず、全く作業スピードが向上していなかったのです。

店長に確認すると、「いや〜。あまりやる気がないのか、スキルがアップしないんですよね」などと悠長なことを言っているので、

「時間の基準を決めよう。生3杯、レモンサワー3杯。この6杯のドリンクを1分30秒で作ることができないとドリンク場には入れない、というルールをつくって指導してみて」

と伝えたところ、それから1週間もしないうちにスピードが向上したという報告を店長から受けました。

 

このような話は結構あるあるで、こちらの基準があいまいなためにアルバイトの成長スピードが遅かったり、先ほどのバッシング等も時間の基準を決めないことで売上に影響することは多々あります。

この「基準」をどれだけ明確にするかで店のオペレーションの生産性は向上し、売上アップにも必ず繋がります。ぜひこの事例を参考に、皆さんのお店でも「基準」を明確にし、スタッフ全員で共有するようにしてみてください。

 

※戦略策定から現場の仕組み作り、評価制度構築までをワンストップで支援する飲食店コンサルティングの全メニューはこちら>>>>