スタッフがイキイキと成長する「やりがい」とは何か?

 
人財育成や教育において最も重要なのは、働くスタッフ自身が「楽しい」「やりがいがある」と体感できることです。これは社員、アルバイト・パート問わず、また店長やマネージャーといった役職者であっても全く同じです。

この「楽しさ」や「やりがい」は、日々の仕事の中で「達成感」「貢献感」「承認感」を得られるような、仕事の任せ方や仕組みを作ることで生まれます。日々の業務が、ただ「やらされるだけの仕事」になってしまっては意味がありません。

スタッフ個々がいかに「自発的に取り組める状態」を作れるか。これこそが、スタッフがイキイキと働き、成長できるかどうかの分岐点になります。「自分で考えて行動し、結果が出たときに大きな喜びを味わう」状態を、いかに会社の中で作れるかが重要なのです。

 

 

多くの経営者が陥る勘違い:「主体性」を求めて「個人任せ」にする盲点

 
しかし、ここで多くの経営者や幹部が勘違いしてしまうポイントがあります。それは、店長に対して「主体性」を求め、すべてを「個人任せ(放置)」にしてしまうことです。

そもそも「主体性」とは、枠組みがないゼロの状態から、自分の判断でやるべきことを決めて動く力を指します。
 

飲食店の店長育成における「主体性」と「自主性」の違いを解説した比較図。主体性は枠組みがないゼロの状態から自分で考え、判断し、行動することを示し、自主性は会社が用意したルールや基準、マニュアルなどの枠組みの中で、自ら考え工夫しながら行動することを表現している。店長教育や人材育成において、会社が仕組みを整えることで自主性を引き出す重要性を視覚的に説明した画像。

 
しかし、会社には独自の価値観があり、経営者が店長に求める役割や仕事内容が必ずあるはずです。それらを明確にせず、何も枠が無い状態で「主体的に動け」とすべてを店長任せにしてしまうから、店長側は「どこまでやればいいのか」「何を求められているのか」が分からず、動けなくなってしまうのです。

結果として、店長は一生懸命やっているつもりなのに、経営者の求める基準とズレが生じてしまいます。

 経営者:「もっと自分で考えて動いてほしいのに……」

 店長:「何をしたらいいか分からないのに、丸投げされている……」

このお互いの不満こそが、店長育成がうまくいかない最大の原因なのです。


 

会社が作るべきは「自主性」を高める仕組み:重要なのは「主体性」ではなく「自主性」

ですから、経営者が本当に目指すべきなのは、店長に「主体性」を求めることではありません。重要なのは「主体性」ではなく、会社が定めた枠組みの中で、自発的に考えて行動する「自主性」を高める仕組み作りなのです。会社側が「枠」や「基準」をルールとしてきっちりと提示するのです。
 

飲食店の店長育成において、「主体性」ではなく「自主性」を高める仕組みづくりの重要性を解説した図解。会社が目標設定や基準、ルールなどの枠組みを整え、店長がその中で自ら考え行動することで、スタッフのやりがいや店舗全体の成果向上につながる考え方を表現している。

 
例えば、アルバイト教育を例に挙げてみましょう。

会社として「目標設定」が重要であると考え、毎日「目標設定」を行うことを全店長に求めます。(これがやることを会社が決めるという「枠」です)。

その目標設定が効果的に行えるようにテンプレートをつくり、目標設定やフィードバックを日々実施するような仕組みにします。ここまでが、会社が用意すべき「枠」です。
 

ここから先に、店長の「自主性」が活きてきます。

目標設定にしても、フィードバックにしても、人によって大きな差が出ます。分かりやすい目標を設定できる店長もいれば、何をしたらいいのか分からない店長もいます。フィードバックも相手が確実に成長できるポイントをついたフィードバックができる人もいれば、営業中、スタッフを見る余裕がなく、フィードバックも全くできない人もいます。

このように、仕組みを作っても、店長自身が考えて、自主的に取り組み、成果を自分次第で変えることは多々あるのです。また、これなら(目標設定など)、

「そもそも優秀な店長であれば、自分でやってるよ」と思う経営者さんもいらっしゃるかもしれません。

しかし、これこそが店長業務の属人化を招く原因なのです。

強制的にでも目標設定をやらせる仕組みを整える。そうすることで、会社の店長全員が、現場のスタッフに日々目標をもたせて仕事に取り組ませるようになります。その結果、仕事が終わった後のスタッフに対して、「貢献感」「達成感」「承認感」を与えることができるのです。

こうして会社が一律の枠組みを仕組みにすれば、一部の優秀な店長だけでなく、すべての店舗でスタッフのやりがいを生むことにつながり、店長全体の底上げになるのです。

 

 

ルールによる強制が、店長の試行錯誤を引き出す

さて、経営者さんや幹部さんは、ここでひとつの疑問を持たれると思うのです。

「『自主性を持って取り組ませる』仕組みが必要っていってるのに、やることをつくって、それを強制するのは、かえって、自主性を削ぎ、やる気をなくさせることにつながるのでは?」

と考える方もいらっしゃるでしょう。

そこで考えてほしいのは、今の会社の中で、経営者さんや幹部さんが満足する行動ができる店長が何人いるか、ということです。きっと、どの会社でも、2割ぐらいいたらいい方で、私がメインで支援している飲食企業となると、2割どころか2人ぐらいいればいい方です。

これこそが組織論における「2:6:2の法則」であり、会社としての本当の課題は、残りの「8割の店長」をどう引き上げるかにあります。

 

 

8割の店長が変わる!「何を、どう考えるか」の仕組み化

多くの経営者は「主体的に動いてほしいから、個人任せにしている。だけど、うちの店長たちは何もしない」と不満を抱きます。

しかし、これは間違った認識です。

 

飲食店の店長育成における「主体性」と「自主性」の違いを実写で比較した図解。左側では、基準やルールがない状態で何をすべきか分からず悩む店長を表現し、右側では、会社が用意した仕組みや基準の中で自ら考え、工夫し、行動する店長の姿を表現している。店長任せの放置ではなく、会社が枠組みを整えることで自主性を引き出し、人材育成や店舗成果につなげる考え方を解説した画像


店長たちが何もしないのは、やる気がないからではありません。

「そもそも、会社の中で店長として何をしたらいいのか、どう考えればいいのか」という基準(枠)が分からないから動けないのです。

だからこそ、店長任せ(放置)にするのをやめ(主体的な行動を求めない)、会社側が「店長として何をするべきか」「どう考えるべきか」という枠をいかに仕組みにして提示できるか。これによって店長の自主性を引き出すことこそが、店長育成において最も重要なポイントになります。つまり、もう一度言いますが、「主体性」ではなく「自主性」をどう引き出すかということなのです。

明確な土台(枠)があるからこそ、店長は「何をすべきか」に迷うことなく、「どうすればもっと上手くいくか」という自分なりの工夫に集中できます。
明確な枠組み(ルール)があるからこそ、その中で店長は迷うことなく、自発的に考えて行動する「自主性」を発揮できるようになります。

会社が決めた枠組みの中でも、自分なりに試行錯誤し、自分で考えて行動して成果に繋がった場合でも、主体的に取り組んだときと同じような店長としての仕事の楽しさややりがいは生まれるのです。
 

飲食店の店長育成で活用する「96の行動リスト」のサンプル画面。店長に求められる役割や業務を具体的な行動レベルまで細分化し、リーダーシップ、責任者業務、オペレーションスキルなどの項目ごとに一覧化している。何を実践すべきかが明確になることで、店長が自ら行動しやすくなり、教育の属人化防止や店舗運営レベルの標準化につながる仕組みを示している。

 
そのためにも、当社が推奨している「店長がやるべき96の行動リスト」などで、”何をするのか”を具体化した「行動リスト」を店長に提示し、”どうするのか”を補助する「テンプレート」を使って、店長自身に枠の中で試行錯誤してもらい、その内容を皆で共有していくことで、会社にノウハウをためていくのです。こうすることで、店長育成の属人化から脱皮することができるのです。

また、店長を指導する際にも、これまでは「彼はなんとなくダメだな」と何を指導すべきかが不明瞭だったことが明確になり、どこを指導すべきかも分かりやすくなりますし、このリストをもとに店長の評価もやりやすくなるでしょう。

 


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