
モバイルオーダーの進化と「店長が頭を使わなくなる」という懸念
先日、モバイルオーダーの業者さんと打ち合わせをする機会がありました。
最近は競合も増えてきて、単純に「オーダーをとる」だけでは差別化ができなくなりつつあり、システム側も様々な機能を搭載するようになっているようです。
例えば、
・来店後、注文オーダー履歴から、来店に繋がりそうな商品クーポン券を送付する(店長は特に何もする必要なし)
・AIからの販促提案があり、その文章までも提案される(あとは、店長が判断し送付するのみ)
・来店時、注文が20分以上止まっているとき、キッチンに追加オーダーを促す伝票(声掛け必要など)がキッチンプリンターから出る(あとは、ホールスタッフは何かしらお客様に声を掛けるだけ)
・数値分析もできるようで、ABC分析から商品の廃止もしくは原価や価格の見直しなどの指示が出る(あとは、この内容を見て店長が行動するのみ)
などなど、とても便利な機能が搭載されているようです(私の勘違いで、上記内容でもまだ未搭載のものがあるかもしれません)。
さて、皆さんはこの内容を聞いて、どう感じられましたか?
「とても便利!」と感じた方もいらっしゃるでしょうし、「これだと店長の頭が悪くなる」(失礼)と感じた方もいらっしゃると思います。
私個人としては、この打ち合わせの際にもお話したのですが、冗談交じりに、「店長の頭がどんどん悪くなりますね。頭を使わず、何でも誰かに聞かないと行動できなくなっちゃいますね!」とお話させていただきました。
ただし、これが現実であり、これからの時代、このようなアイテムやシステムを上手く活用することがとても重要ではないかと思うのです。
システムへの依存が招く「お客様満足度」の低下という盲点
今は、どんどん「頭を使わなく」てもいい時代になりました。
色々便利なシステムが開発されたことで、本当に便利になりました。昭和を知る私をはじめ同世代の方はどうしても、「これだと店長が育たない」とか「店長は自分で考えて行動するからこそ成長する」概念にとらわれがちですが、もうそんなことを言っている時代ではないのかもしれません。
もちろん、「何も考えず、頭を使わずに、店長業務ができる」ようになれるはずはありません。例えば、営業中は優先順位を判断したり、スタッフの動きや表情などを見て、フォローの指示を出したりするなど、店長として「判断」したり「指示」したりする業務は、考えたり、頭を使うことになります。
つまり、「お客様満足度の向上こそが最大の売上対策」と考えると、AIやシステムに頼りすぎては無理ということが言えるのです。

例えば、先日、ある方のSNSで発信されていたことです。
居酒屋に行った時のこと。
その店のお通しは「サラダ」なのですが、すごく特徴のあるサラダだそうです。これを目当てに来られる方がいるほどの看板メニューのですが、提供に時間がかかることも知っていたそうです。
そこで、ファーストオーダーの際に、このお通しとともに、「時間がかかるから」と、お通しと似たサラダ(ほぼ同等のもの)を一緒に注文したそうです。
すると、少し時間がかかって、同時に2つのサラダが提供されたようでした。
もし、これがモバイルオーダーではなく、スタッフが口頭で注文をとるスタイルであれば、「お客様、お通しもサラダですので、オーダーが重なってしまいますが、どうされますか?」と一言付け加え、どちらかの注文を取り消したりできます。
しかし実際には、システム通りに出力された伝票に従うだけなので、2つ同じような商品をテーブルに持って行っても、何も気づかない。投稿者の方は、そんなスタッフにちょっと違和感を感じた、ということでした。
「頭を使わない店長」の量産か、それとも「AIの活用」か?
このように、進んだシステムを「ただ導入した」だけだと、作業効率は向上しても、お客様満足度を向上させることは難しいのです。
要は、会社側が店の営業をどこまでのレベルを求めるかがポイントであり、「最低限のレベルの営業」のみでいいと考える場合は、「頭を使わない」店長をどんどん輩出してもいいのではと思います。
ただし、「お客様満足度こそが、売上をつくる最大の手段」と考える店、会社の場合は、AIを上手く活用する、活かすことが重要のではないかと思います。
AIに頼る部分と、人間にしかできないことを分け、店長業務をもう一度ゼロベースで見見直す時期が来たのではないでしょうか???
「店長が数値管理しなければならない」という固定概念を打破する

例えば、数値管理は、AIに任せた方がいいかもしれません。
原価管理についていえば、原価コントロールの一番の肝は「発注数」です。これは、売上推移と売上予測から、日々の発注数はある程度精度高く決めることができます。明日の売上予測と日々の在庫量を入力すれば、明日の発注量が算出され、発注をする。もちろん、店長は日々の原価率(仕入れ率)を確認しますが、会社側や上司(SVやマネージャー)がチェックしておけば、大きな誤差は出ないでしょう。
人件費についても、シフト組が人件費コントロールの肝ですから、売上予測と適正な時間帯別シフト組の型をつくり、そこに希望シフトを入力すれば、勝手にシフトが組まれる。人が足りない時間帯にどう人を入れるか、ここだけを店長に任せる。これも、シフト組の際に、会社側や上司が確認して店長にアドバイスするようにすれば、大きく人件費を使うこともないでしょう。
こういったことを既に実施している会社もあると思います。
要は、「店長が数値管理しなければならない」という固定概念を打破してはと思うのです。もちろん、店長がやるにこしたことはないですが、こういった作業をAIと会社側がやるようにすれば、店長の負担軽減になると思います。
これまでは「店長=経営者」という概念がそもそもあり、なんでもかんでも店長がやるべきだというのがこれまでの時代でした。しかし、今回の数値管理のように「他(AIや会社側)でできることもあるのでは?」という考え方を持ち込み、「店長=経営者」ではなく「店長=現場責任者」ぐらいの考え方に変えていけば、店長の負担を大きく軽減することができます。
店長の本質的な役割は「営業力を高めること」にある
そして、そうやって他でできることは他に任せて負担を減らしたからこそ、先述した「顧客満足こそが最大の売上対策」という営業力を高める部分に、店長の仕事、役割の比重を大きくするのです。
・営業中、全体を把握しながら指示を出す(負担の掛かっているポジションへの声掛けやフォロー、優先順位の指示だしなど)
・アルバイトを鼓舞したり、フォローしたり、アルバイトに楽しく仕事をさせる
・お客様の食事中の状態を把握し、適切な声掛けをする
・先ほどのAIで、「注文数が少ない」テーブルへの指示が出るのなら、これを上手く活用し、「どうやって声を掛けるべきか」などの対策や行動を店長が中心になって行う。
などなど、営業中に店長としてやるべき行動にもっと着目し、この部分に店長の仕事として注力させる方が、店の売上により貢献できるようになるのではないかと思うのです。
意外にこのような営業中の店長の仕事に対してのスキルを言語化し、強化している店・会社は少ないので、ここができれば、店の営業力も高まりますし、店長の仕事もやりやすくなるのではないでしょうか?
「店長=経営者」をやめ、組織で支える体制をつくる

これまでは、店長=経営者、であるべきという考えを持つ人が多かったように思います。しかし、時代が変わってきた今、店長=経営者という図式は、店長にとってとても負担であり、それが育成の足かせになっていたかもしれないのです。
だからこそ、AIが発達してきている今こそ、店長の仕事、役割をもう一度見つめなおし、「店長=現場責任者」、ぐらいの位置づけ、役割にする方が、店長教育もスムーズに進められるかもしれません。
そして、すべての業務を難なくこなせるような、より仕事ができる人、上を目指せる人に関しては、後方支援(統括店長、マネージャーなどの地位)に抜擢していく。そうやって上の人間が店長をフォローする体制をつくることこそが、人不足や離職率の課題を解決するキーになるのではないでしょうか?
全店長に、「店長=経営者」を当てはめる時代はもう終わったのではないでしょうか?
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