飲食店の評価制度の作り方:人が育つ仕組み化のコツ。現場と連動した「72の行動基準マップ」や「店長のやるべき96の行動リスト」の事例。飲食店における社員評価・アルバイト評価のズレや不満を解消し、教育と評価をつなげる仕組みのイメージ画像。

 
 
成長を属人化せず、現場と連動した仕組みで確実な成長をもたらす飲食店の評価制度の作り方

 
この記事では、多くの経営者が悩む飲食店の評価制度の項目設定や、形骸化させないための具体的な作り方を、30年の現場支援の事実に基づき解説します。

この記事の執筆者】
中西 敏弘
中西フードビジネス研究所 代表。飲食企業の多店舗展開支援や、人を活かす飲食店経営の仕組み作りを専門とする飲食店経営コンサルタント。
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現場と連動した飲食店評価制度を構築する「4つのステップ」 

多くの飲食店が評価制度の構築に失敗するのは、現場の仕事とリンクしていない「机上の空論」の評価表を作ってしまうからです。当社が提唱する、人が育ち現場が確実に変わる評価制度は、以下のステップで構築します。

多くの飲食店が評価制度の構築に失敗するのは、現場の仕事とリンクしていない「机上の空論」の評価表を作ってしまうからです。当社が提唱する、人が育ち現場が確実に変わる評価制度は、以下のステップで構築します。

ステップ1:営業現場と評価を連動させる「ポジション別マトリクス」の作成 営業中、各ポジション(レジ、客席、厨房など)で具体的にどのような行動が求められるのか、真のスキルを言語化し「72の行動基準マップ」に落とし込みます。

ステップ2:具体的行動への落とし込みと「育成ツール」の活用 「店長のやるべき92の行動リスト」や「目標設定シート」を使い、日々「何をすればいいのか」を店長やスタッフが迷わない仕組みを作ります。

ステップ3:評価のズレと不満を解消する「あるべき姿」の設定 「どこまでできれば、どの評価になるのか」という各項目の仕事の基準を明確にし、自己評価と会社評価のギャップを無くします。

ステップ4:理念や貢献度との両立と「適切なフィードバック」の運用 営業中のスキルだけでなく、理念の理解度やルール遵守度といった「あり方」の評価も連動させ、一本の軸でつながる運用を定着させます。

本書では、この4つのステップに基づき、形骸化させない具体的な作り方を解説します。

本書では、この4つのステップに基づき、形骸化させない具体的な作り方を解説します。

 

 

1,飲食店アルバイト評価制度の作り方:現場のスキルと直結させる「項目」の立て方

 
評価制度の構築で悩んでいる方、また、本当に使える評価表のサンプルやテンプレートをお探しの方は多いかと思います。

当社は、長年のご支援の中で、現場スタッフのモチベーション向上やスキルアップに繋がる評価制度を試行錯誤し、最近、現場の課題を根本から解決するアルバイト評価表を完成させました。

 

 

◆一般的な評価表(評価制度)が抱える課題

 
一般的なアルバイト評価表の課題は、「現場の仕事」とそのままリンクしていないことが多々あることです。評価が「個」のスキルに焦点を向けたものになっており、営業中に求められるチーム連携や判断力が評価に盛り込まれていないことが多いのです。

飲食店の評価制度における課題を比較した図。左側には「注文がとれる」「料理提供ができる」「お客様のご案内ができる」といった個人スキル中心の評価項目を配置し、それだけでは戦力として不十分であることを表現。右側には、複数テーブルへの同時対応、優先順位の判断と連携、他ポジションのフォロー、案内係との連携による席誘導など、営業中に求められる実践的なチームスキルを写真付きで紹介。個人スキルだけを評価すると評価のズレが生まれ、テキパキ動ける人とそうでない人の評価が変わらない不満につながることを示した図。

 

 

◆教育における致命的な課題:属人化

 
教育の面でも、先述の評価と同じく、営業中に求められるスキルを店長や社員が「無意識」にマスターしているため、それを「ことば」にして教えることができないという課題があります。
 
アルバイト・パートさんが「役に立つ」レベルに成長するのは、周りの動きを見たり、先輩パートから指示されたりして、自然と「できるように なった」だけであり、現場が「教えて、育てた」ケースは非常に少ないのが現実です。

仕事をきちんと教えられないことは、仕事の上達が進まないこと、そして「仕事が楽しくない」ことに繋がり、結果的に離職率の高さに直結します。

 

 

 

◆中西式評価制度による解決策:営業現場と評価の連動「ポジション別72の行動基準マップ」で必要スキルを言語化

 
当社の評価表は、これらの問題を解決します。

飲食店の評価制度を仕組み化する流れを図解したイメージ図。中央に「案内係」を例とした72の行動基準マップを配置し、「入店案内・席効率」「連携」「フォロー」「お客様対応」「指示だし」「当たり前行動」「気遣い・気配り」「スタッフへの心配り」などの仕事を可視化。周囲には、具体的なコツ・ポイントの明確化、教育ツールとしての活用、評価との直接連動、理念や貢献度との両立評価の4つの要素を配置し、営業現場の行動・教育・評価を連動させることで、人材育成と店舗成長につなげる評価制度の仕組みを表現した図。

 
1:ポジション別マトリクス(72の行動基準マップ)の活用

営業中のポジション毎にシートを1枚用意します。中央にポジション名(例:案内係)を明記し、その周りの8つのマスに、そのポジションに必要な具体的な仕事の項目を記入します。

【記入例:案内係】 「入店案内/席効率」「連携」「フォロー」「お客様対応」「指示だし」「当たり前行動」「気遣い・気配り」「スタッフへの心配り」など。

 

2:具体的なコツ・ポイントの明確化

各仕事の項目を中心に据え、その周りに、具体的なコツ・ポイントを明記していきます。

【記入例:指示だし】 相手に伝わる声量を出す、優先順位を考える、相手の名前を呼ぶ、声が他の人とかぶらないようにする、相手の作業が終わってから伝える、相手の手が空くかどうか確認する、指示内容ができる人を選ぶ、ゆっくりと分かりやすく言う。

飲食店のポジションごとに求められるスキルと言語化した「72 of 行動基準マップ」の事例画像。案内係(Aカウンター/Bカウンター)の営業中に必要なコツやポイント、当たり前行動、気遣い・気配り、スタッフへの心配りなどをまとめた、飲食店アルバイト評価制度の具体的な仕組み。

 
3:教育ツールとしての機能

このマトリクスシートがあれば、「教わる側」はマスターすべき目標が明確になり、成長スピードが加速します。また、「教える側」は、相手を上達させるための指導ポイントが明記されているため、教えることが容易にできるようになります。(72の行動基準マップ)

 

4:評価との直接連動が最大の特徴

このマトリクスと評価を連動させている点が、当社のアルバイト評価表の最大の特徴です。営業の現場に必要なスキルと評価が直結しているため、このマトリクスに従って現場の仕事をマスターすれば、時給も自然と向上する仕組みになっています。

 

5:理念や貢献度との両立評価

単に営業中のスキルだけを評価するのではありません。「必須項目」というシートで、理念の理解度、実行度、ルールの順守度、シフト貢献度などの「本学」の部分も評価します。こちらのウエイトを重くすることで、営業スキルが高い人だけでなく、店の考えを理解して店のために働いてくれる人の評価が自然と高くなる評価表になっています。

 

 

 

2,飲食店の店長・社員評価制度の構築:属人化を防ぎ、行動を可視化する仕組み

「アルバイト評価表」と同じ考え方で、当社では「店長・社員評価表」も構築しています。

 

◆店長指導の課題:抽象的な指示と属人化

私が考えているのは、多くの人が店長指導、教育において、単に知識だけを身に着けさせようとしたり、「意識が低い」という抽象的な捉え方をしていることです。

例えば、社長さんや幹部さんから「アルバイト指導、もっと強化しろ!」「アルバイトともっとコミュニケーションをとれ!」といった指示が出ていませんか?

しかし、現場の店長の本音は「アルバイト指導って、具体的にどんなことをすれいいの?」「何を話せばいいの?」という具体的な行動への疑問です。

これは、店長の仕事も具体的にどんな仕事をするかを「ことば」で説明できる人がほぼ存在せず、各店長任せになっているためです。アルバイトと同様に、できる店長は会社が育てたというよりも「勝手に育った」というのが現実でしょう。

つまり、店長やアルバイトの育成が「属人的になっている」ということであり、これでは意図的に育成していくととは不可能です。

だからこそ、仕組みにする必要があり、それが当社のアルバイト評価表であり、店長評価表なのです。

 

 

◆中西式店長評価制度による解決策:行動の可視化と仕組み化(92の行動リスト)

 
店長評価表も、店長に求められる仕事(項目)を抽出し、その項目に必要な要素を周りに抽出していきます。

飲食店の店長評価制度を仕組み化する考え方を解説したイメージ図。店長とスタッフが面談を行う様子を中心に、店長の仕事の具体化、行動の可視化、評価基準の統一、育成と評価の連動という流れを図解。理念浸透、オペレーション、責任者業務、アルバイト指導、コミュニケーション、計数管理、クレンリネスなど店長に求められる役割を整理し、行動基準を明確にすることで評価のズレをなくし、人材育成を仕組み化する考え方を表現している。右下には店長評価表のサンプルを掲載。

 

1.店長の仕事の具体化

・項目例:理念浸透、オペレーション、責任者業務、アルバイト指導、コミュニケーション、クレンリネス、計数管理など。

・「アルバイト指導」の具体例:オリエンテーション研修で会社の存在意義や目指す姿を伝える、本学と末学に分けてバランスよく指導できる、相手に考えさせる指導ができる、気遣い・気配りを6項目教えられる、など。これにより、アルバイト指導で具体的に何をすればいいかが明確になります。

 

↓下記は、「店長のやるべき92の行動リスト」例。通常はすべてのマスに行動が記載されています。

飲食店における店長・社員評価制度の運用事例画像。「店長のあるべき姿 〜店長としてやるべき96の行動リスト〜」として、リーダーシップ、責任者業務、オペレーションスキル、理念浸透、チームマネジメント力、アルバイト指導、計数管理、クレンリネスなどの評価項目と、1)自己評価、2)評価の入力欄が一体となった評価表の仕組み。

 

 

2.具体的な行動内容への落とし込みと育成ツールの活用

さらに、より行動内容(日々、何をすればいいのか?)を明確にします。

例えば、評価内容に「達成感を感じさせるために、相手のスキルに合わせた目標設定ができる」「『承認』と『賞賛』の機会を増やす」「パート・アルバイトをよく見ることが出来る」という内容を設けたとしましょう。

飲食店の人材育成で活用する「目標設定シート」と「行動の振り返りシート」の活用事例を解説した図解。スタッフごとに目標と達成するための行動を設定し、その結果を振り返りながらフィードバックを行うことで成長を促す仕組みを紹介している。相手のスキルに応じた目標設定、正しいフィードバックの実施、達成感の向上、アルバイト評価表との連動による成長と時給アップなどの効果を整理。店長が育成ツールを活用して指導の質を高めることで、アルバイト教育の仕組み化につながる考え方を表現した画像。

 

 

3.評価のズレと不満を解消する「あるべき姿」の仕組み

店長を評価するのは、上司であるマネージャーや経営者ですが、各項目(当社では0123の4段階)の基準がないため、評価ができない、もしくは、人によって評価にバラツキがあるという問題が常に発生します。

この問題を解決するために用意しているのが、各項目の仕事の「あるべき姿」です。どこまでできて、始めて、評価3となるかを決めておくのです。

 

飲食店の店長評価制度における「あるべき姿」の重要性を解説した図解。自己評価と他己評価のギャップによる不満や、具体的な行動基準がないことによる仕事の質の低下を事例を交えて説明している。評価要素だけでなく、各仕事の「あるべき姿」を評価基準として明確にすることで、評価のズレをなくし、仕事の質の向上につなげる考え方を紹介。店長が実践すべき行動を明確化し、成長・評価・育成を連動させることで、店長育成の仕組み化と店舗運営レベルの向上を目指す内容を表現した画像。

 
【「あるべき姿」が解消する評価の深刻なズレ】

1.自己評価と他己評価のギャップによる不満

店長に自己評価をさせると、こちらから見ると全くできていないのに、やたらと自己評価が高い店長がいませんか?

他己評価と自己評価の差が大きい人ほど、会社に不満を抱くケースが非常に多いのですが、これは会社側も半分悪いのです。なぜなら、各仕事に対して、「ここまでやることが当社ではこの仕事のあるべき姿です」ということを決めていないからです。

 

2.具体的な行動基準の欠如による質の低下

例えば、評価要素に「発注ができる」とあったとしましょう。自己評価が高い店長は「毎日発注しているし、これは3点だな」と自己評価をつけます。

しかし、会社が本当に求める「発注ができる」のあるべき姿は、「売上に応じて発注量を変更しながら日々発注できる」であり、「適正在庫に基づいた発注」なのです。
 
 
この「あるべき姿」を伝えていないからこそ、店長の高い自己評価につながったり、また、仕事の質の低下に繋がるのです。

そこで、この評価表では、評価項目と仕事内容だけでなく、各仕事の「あるべき姿」を評価基準として設ける(別シートで作成)ことで、評価のズレをなくしたり、仕事の質の低下を防ぐことにも繋げているのです。

このように、他の項目(理念浸透などの項目)においても、具体的な行動に繋がるような要素を纏めていくことで、これを店長が実践していけば、成長に繋がりますし、また、自分の評価を上げることにも繋がるのです。この「店長評価表」があれば、店長の育成も仕組みとして構築できますし、また、店の仕事の質の低下を防ぐことにも繋がります。

※下記のように、各項目すべてに対して「あるべき姿」を設定することで、何が正解か(3点)なのかを明確にします。

飲食店の店長評価制度における「評価項目」と「あるべき姿」を整理した一覧図。コミュニケーション、接客、行動力の3項目について、それぞれ求められる行動と評価基準となる状態を対比してまとめている。コミュニケーションでは、相手との信頼関係づくりや傾聴、迅速な対応などを評価し、「いつも元気をもらえる人」「一番話しやすい人」と周囲から認識されている状態をあるべき姿として定義。接客では、サービスストーリーの実践、笑顔、提案力、店内の活気づくりなどを評価し、お客様から選ばれ続ける状態を目指す。行動力では、日報入力、時間厳守、報連相、5Sの徹底、学びの実践などを評価し、自ら考え行動できる状態をあるべき姿として示している。

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おわりに

現場の成長を「属人化」に頼るのではなく、誰が見ても、誰が教えても、同じ基準で育成できるようにする——
これは、どの飲食店でも本当に難しいテーマです。

私自身、何百回も現場に入り、店長と議論し、アルバイトさんの動きを観察しながら、
「どうすれば現場の仕事と評価がつながるのか」
「どうすれば、育成と評価が“同じ方向”を向くのか」
ずっと悩み続けてきました。

その中でたどり着いた答えが、“現場の仕事そのものを評価表に落とし込む”という設計です。

アルバイト評価表も、店長評価表も、
・何を見て
・どこを伸ばし
・どう育てるか
を、現場の動きと言葉で定義し直すことで、初めて「仕組み」になります。

このページで紹介した内容は、その仕組みをつくるための“考え方と型”の一部です。

もし今、
「評価表を作っても育成が進まない」
「評価の基準が曖昧で、判断がブレる」
「店によって成長のスピードに差がある」
そんな悩みをお持ちであれば——
必ず今回の内容がお役に立てるはずです。

あなたの店の育成と評価が、バラバラではなく、一本の軸でつながる。
そんな仕組みづくりの一歩として、今回の内容をぜひ活用してください。

  

また、この評価表は、下記の教材内のデータに、テンプレートと参考例も含まれております!
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