
原価率が上昇する「6つの原因」
モノの価格が上がっている今、原価管理に力を入れているお店も多いのではないでしょうか?
そもそも、原価率が上昇するには必ず原因があり、主に次の6つが考えられます。
1,ロスが増えた
2,仕入れ値が上がった
3,原価率の高い商品がたくさん出た(注文された)
4,ポーションオーバー
5,値引きが増えた
6,在庫が多い
原価率が高いお店は、必ずこれらのどれかが原因となって原価率を押し上げています。
30年の現場分析で見えた「最大の犯人」
私は30年近く飲食店のコンサルティングを行ってきましたが、この原価率の問題はどの会社でも必ず直面する悩みです。そして、これまで数々のお店を分析してきた中で、原価率が高い店舗の最大の原因は、ダントツで「在庫が多い」ことでした。
普段から原価管理を徹底されている方や勉強されている経営者さんほど、「在庫が多いことが原価率を高くする一番の原因なんて、理論上おかしいのでは?」と思われるかもしれません。
はい!実際、理論上はおかしいのです!
しかし、現場の現実は「在庫が多いこと」こそが、原価率を跳ね上げている一番の原因なのです。
なぜ「在庫が多い」と原価率が高くなってしまうのか?
では、なぜ「在庫が多い」という状態に陥ってしまうのでしょうか?
その理由はシンプルで、ほとんどが「発注過多」になっているからです。見込み売上に対して大幅に過剰な発注をしてしまい、結果としてロスを生み出すことで原価率が高くなっているのです。
仮に5店舗を運営している会社があったとして、5店舗すべてで原価率が高くなるケースは基本的にはありません。(もし全店高いとすれば、メニュー構成やそもそもの原価計算自体が間違っている可能性が高いです)
実際には、5店舗のうち1〜2店舗だけ原価率が高く、残りの店舗は適正な原価率に収まっていることがほとんどです。
この「特定の1〜2店舗だけ原価率が高くなる原因」を長年探ってきました。その結果たどり着いた結論も、やはり「発注過多」でした。排して、なぜ発注過多が起きるのかと言えば、理由はほぼ一つ。日々の発注が「適当」だからです。これが問題の根底にあります。
経営者には信じられない、現場の「適当な発注」のリアル
では、現場(店長)では具体的にどのような「適当な発注」が行われているのでしょうか?
・在庫数を確認せず、自分の感覚だけで発注する
・想定より売れなかった翌日、本来なら在庫が残っているはずなのに、何も考えずいつも通りの量を発注する(これでは在庫過多になって当然です)
・本来は「翌日の想定(目標)売上に対して必要な数」を計算して発注すべきなのに、それを一切考えず「とりあえず5kg」「とりあえず10個」と勘で発注する
経営者さんや幹部さんからすれば、「そんなバカな話があるか」と理解できないかもしれません。長年コンサルタントをやっている私でさえ、この事態は本当に理解に苦しみます。
しかし、これが現場で起きている紛れもない現実なのです。
「冷蔵庫のぐちゃぐちゃ」と「スタッフの意識」がロスを加速させる
さらに、原価率が高いお店ほど、冷蔵庫や冷凍庫の中をチェックすると整理整頓ができていません。中がグチャグチャになっているため、既にある食材に気づかず二重に発注してしまったり(ダブル発注)、奥で食材を腐らせてロスを生み出したりしているのです。
現場のスタッフは、「どうせ最後に棚卸しをするんだから、在庫が多くても問題ないでしょ」と軽く考えがちです。しかし、この甘い考えこそが発注業務の軽視に繋がり、結果として原価率の上昇を引き起こしているのです。
ですが、安心してください。基本的な業務さえ確実に実行させれば、原価率が跳ね上がるようなことは基本的に起こらなくなります。
改善のアプローチは非常に明確です。
・想定売上に対する「適正在庫数」を決め、その基準に基づいて発注させる
・できるだけ在庫を減らすよう指示を出し、冷蔵庫・冷凍庫の整理整頓を徹底させる
たったこれだけで、高かった原価率はすぐに適正値へと改善されていきます。だからこそ、適正在庫数に応じた発注の仕組みを作り、店舗での整理整頓という基本業務を徹底させることが何より重要なのです。
では、この基本業務を現場に定着させ、二度と起こらないようにするためには何が必要でしょうか?
そのためには、会社として経営者・幹部の皆様から現場に対して、以下の2点を強く徹底させてください。
・「在庫の過多は『悪』である」という意識を植え付けること
・日々の仕入れ率を「毎日」チェックさせること
この基本を徹底できれば、現場の運用問題で原価率が悪化する問題は、二度と起こらなくなります。


