時短・週休2日時代の飲食店経営をテーマにしたアイキャッチ画像。ホールスタッフやキッチンスタッフ、店長がそれぞれの持ち場で仕事に集中し、接客や調理、店舗運営に没頭している様子を表現している。中央には「スタッフを『フロー(没頭)』へ導く戦略」のタイトルを大きく配置し、「仕事を楽しみながら成長する組織をつくる」というメッセージを掲載。周囲には「目標設定」「フィードバック」「成長」「挑戦」のアイコンや上昇グラフを配置し、スタッフ育成、人材成長、組織力向上、マネージャー育成の重要性を視覚的に表現した飲食店向け人材育成イメージ画像。

 
週休2日・時短時代だからこそ、問われる「自発的な成長」

 
今の時代、時短だのと言って、仕事に没頭するというより、ライフワークバランスを大事にする人が増えました。週休2日制、時短労働などによって、会社側からスタッフのスキルアップを図ることをなかなか難しい時代になったと感じています。

また、そもそも「人」を採用するのも難しい時代であり、いかに採用数を増やすかも、今の飲食企業の大きな課題になっています。

そこで私がいつも考えている一つの仮説があります。

それは、どんなスタッフであっても「気づけば仕事に没頭してしまう仕組み」を、会社側が意図的に構築できれば、人が育ち、結果として会社が成長していくのではないか、という仮説です。

もし、会社がスタッフを強制的に没頭へと導く仕組みを持つことができれば、スタッフは時間を忘れて仕事にのめり込み、その結果として「仕事が楽しい!」という境地に到達します。

そうなれば、たとえ規定の時間外で(自分の時間で)あっても、自らのさらなる成長のために自主的に努力を惜しまなくなり、成長も早くなる。そうなれば、スタッフもイキイキと働いているでしょうから、きっと就業希望者も今まで以上に増えるのではないか?、と。
 

スタッフが自ら望んで成長し、会社も共に成長する。そんな「没頭」から始まる好循環を作ることこそが、今の飲食企業に必要なのではないかと思うのです。

 

 

「仕事=苦」という常識を、「仕事を楽しむ」風土で塗り替える

飲食店の人材育成と組織づくりをテーマにしたイメージ画像。明るく活気のある飲食店で、ホールスタッフやキッチンスタッフが笑顔で仕事に取り組み、それぞれの業務に集中している様子を表現している。中央には「仕事=苦 → 仕事を楽しむ」「風土で塗り替える」のメッセージを大きく配置し、仕事に対するネガティブな価値観を、楽しみながら成長する組織文化へ変革する考え方を表現。下部には「目的を楽しむ」「活気あるチーム」「成長・成果」「信頼・つながり」の要素を配置し、スタッフのモチベーション向上、エンゲージメント強化、職場環境改善、人材定着、組織成長の重要性を視覚的に伝える飲食店経営向けのコンセプト画像。

 
しかし、現実はどうでしょうか。

多くの人が「仕事=苦」というイメージを持っているのが現実です。そのため、ちょっとしたことで不満が出たりするのだと思います。

だからこそ、この「仕事=苦」という多くの人がもつ常識を、会社全体で「仕事を楽しむ」風土へ塗り替えていくのです。
 

働く目的そのものを「楽しむこと」に置く。 そう意識的に舵を切ることで、社内の雰囲気は劇的に変わり、ただの作業場だった現場が、活気あふれるチームへと進化していくはずです。そして、この「仕事を楽しむ」という風土を、根性論ではなく「仕組み」として構築することができれば、会社は大きく変わると思うのです。

 

 

夢中になって没頭する状態「フロー理論」

 
そこで、皆さんに紹介したいのが「フロー理論」というものです。
 

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飲食店の人材育成とフロー理論をテーマにした解説画像。中央に「夢中になって没頭する状態『フロー理論』」のタイトルを配置し、ゲーム・スポーツ・音楽・読書など好きなことに夢中になる体験から、仕事におけるフロー状態へつながる流れを図解している。中央では「時間を忘れる」「夢中になる」「没頭する」「楽しい」の4つの要素をアイコンで表現し、フロー状態の特徴をわかりやすく説明。右側には飲食店スタッフが接客や調理に集中している様子を配置し、社員やアルバイトが仕事に没頭することで、パフォーマンス向上、成果向上、成長につながることを視覚的に表現している。飲食店経営、人材育成、モチベーション向上、エンゲージメント向上、フロー理論の活用をテーマにした説明用イメージ画像。

 
皆さんにもきっとあるはずです。自分の好きなことをやっているとき(例えば、趣味やゲームなど)、ついつい時間を忘れて夢中になって没頭してしまう、こんな経験はありませんか?

この「夢中になって、没頭している」状態のことを「フロー」と言います。

人は自分の好きなものや楽しいものであれば、ちょっとした苦難があっても、それを乗り越えようと努力します。そして何より、その状態が「楽しい」と没頭するものです。

 

この「フロー状態」を仕組みとして会社が作り出すことができれば、社員やアルバイトなどの多くのスタッフが、時間を忘れて仕事に没頭するようになると思うのです。

そうなれば、当然、仕事のパフォーマンスは最大化され、生み出される成果も圧倒的に高くなるはずです。こうして自然と、いい意味で「仕事を楽しみ、成長もする」のではと思うのです。

 

 

常勝軍団・帝京大学ラグビー部が実践した「没頭への仕掛け」

 
このフロー状態を意識的に作り出し成功したのが、2009年から大学選手権を9連覇した帝京大学ラグビー部です。岩出監督(当時)が中心となって、大学ラグビー界に革命を起こしたラグビー部です。特に、有名な取り組みは、
 

1,「逆ピラミッド組織」による心理的安全性の確保

岩出監督が最も有名にしたのが、「1年生に雑用をさせない」という仕組みを構築
 

2,「Enjoy」の意味の再定義

岩出監督は選手たちに「楽(らく)をしよう」という意味ではなく「エンジョイしよう」と繰り返し伝え、「楽しむ」ことを推奨
 

3,「内発的動機」を引き出す対話

監督が一方的に命令するのではなく、選手自身に「どうしたいか?」を考えさせる間接的なコミュニケーションを徹底
 

などですが、それと同時に、「選手をフローに入れる3つの仕掛け」も行っています。それが、これです。

 

1) 目的の明確化(雑念の排除)
→「何のために」を徹底させ、不安や恐怖を消す

・心理的ノイズの除去: 上下関係による高圧的な指導や雑用(掃除・洗濯)を上級生が引き受けることで、下級生が「怒られる恐怖」という雑念を捨て、プレーそのものの目的に集中できる環境を構築。
・主体的な目標設定: 監督からの指示ではなく、選手自身に「自分たちはどうなりたいか」を議論させ、目的を自分事化(内発的動機付け)。
 

2)即時のフィードバック(手応え)
→「今、できているか」を可視化・言語化する

・GPS and データの活用: 練習中の走行距離や強度をリアルタイムで数値化し、自分のパフォーマンスが良いか悪いかを即座に客観視できる仕組みを導入
・選手同士の即時対話: プレーの合間に選手間で短いフィードバックを送り合う習慣をつけ、その場で修正を繰り返す
 

3)「挑戦」と「スキル」のバランス設定
→「今の自分」に最適な負荷をかけ続ける

・練習の質のコントロール: 常に「昨日より少しだけ高い負荷」になるよう練習メニューを細かく調整し、選手が飽きたり(退屈)、諦めたり(不安)しない絶妙な難易度を維持
・脱・ルーチン化: 慣れが生じないよう、常に状況が変化する可変的な練習を取り入れ、選手のスキルを常に限界まで引き出す工夫を行う

 

こういった「没頭せざるを得ない具体的な仕掛け」を徹底的に行うことで、帝京大学は誰もが認める「常勝軍団」を作り出しました。 常勝になれば、学生の質も量も変わり、それがさらに組織を強くする。9連覇という前人未到の偉業は、まさにこの「仕組み」が生み出した必然の結果なのだと思います。

 

 

 

フロー状態を左右する「挑戦とスキルのバランス」

さて、ここでフロー状態に意識的に入れるために行うべきことを整理しておきましょう。

そもそもこの「フロー」という言葉は、ポジティブ心理学の第一人者であるミハイ・チクセントミハイ教授によって提唱されました。彼が提唱した「フローに入るための3つの必須条件」はこれです。
 

飲食店の人材育成とフロー理論をテーマにした解説画像。タイトルは「フロー状態を左右する『挑戦とスキルのバランス』」。中央には「フロー状態」を配置し、その周囲に「明確な目標」「即時のフィードバック」「挑戦と能力のバランス」の3つの条件をアイコン付きで表現している。下部では、スキルが挑戦を上回る状態を「退屈」、挑戦とスキルが釣り合った状態を「フロー状態」、挑戦がスキルを上回る状態を「不安」と比較図で解説。飲食店スタッフが接客や調理、店舗運営に真剣に取り組む写真を配置し、適切な挑戦レベルを維持することで、仕事への没頭、パフォーマンス向上、自己成長、成果向上につながることを視覚的に表現している。飲食店経営、店長育成、人材育成、エンゲージメント向上、組織成長に活用できるフロー理論の解説イメージ画像。

 

1:明確な目標(Goals)の設定

「何を目指しているのか」という目標が完全にクリアである必要があります。迷いがある状態では、脳のエネルギーが「何をしようか」という選択に分散されるため、没頭できません。脳のエネルギーを一点に集中させるために、この明確さは不可欠なのです。
 

2:即時のフィードバック(Feedback)の実施

自分の取った行動に対して、その良し悪しが「即座に」判明することです。 これによって、次の行動を瞬時に修正できるようになります。この「手応え」こそが、没頭を持続させる心地よいリズムを生み出します。
 

3:挑戦と能力のバランス(Challenge/Skill Balance)

これがフロー状態の核心です。自分の持っている「スキル(技術)」と、目の前の「タスクの難易度(挑戦)」が、共に高いレベルで均衡している必要があります。退屈と不安を排除し、爆発的な成長を促すためには、この適切な負荷設定が欠かせません。

人が最も没頭し、能力を最大限に発揮できるのは、「今の自分ができるかできないかのギリギリのライン」にある課題に挑むときです。この領域で挑戦を続けることで、脳はフル回転し、結果として自己の成長と圧倒的な成果が同時にもたらされるようになります。

 

この3つの条件が整うと没頭はさらに深まります。その中でも、特に3つ目の「挑戦とスキルのバランス」は最も重要な要素とされているのです。なぜなら、他の2つが整っていても、このバランスが崩れていると、心理的にフロー状態に入ることは不可能だからです。

 

どうでしょうか?
もし、このフロー状態を社内で意図的に、かつ意識的に作り出すことができれば、会社の雰囲気は劇的に変わると思いませんか?

スタッフ一人ひとりが仕事に没頭し、仕事を楽しみながら、自ら成長し続ける。そうなれば、会社の成長スピードは今よりも遥かに高まっていくはずです。

 

 

”フロー状態”を現実にする「3つの仕組み」

これらを踏まえ、私たち飲食企業がスタッフを「フロー状態」へと導くために構築すべき「3つの仕組み」についてお伝えします。

飲食店経営におけるスタッフ育成と組織づくりをテーマにした解説図。「フロー状態を現実にする3つの仕組み」として、①個人目標の設定の仕組み化、②上司との1on1ミーティング、③マネージャーの定期的研修の3つを紹介している。目標設定では1年後の目標や身につけたいスキルを明確化し、1on1ミーティングではスキルチェック・フィードバック・行動計画を実施。マネージャー研修ではフィードバック、コーチング、目標設定のスキルを高め、部下をフロー状態へ導くことを説明している。下部には「仕事を楽しむ風土・環境づくり」として、挑戦を応援する風土、称賛・感謝を伝え合う文化、チームで支え合う組織、成長を喜び合う文化を紹介。飲食店の人材育成、店長教育、エンゲージメント向上、組織活性化、多店舗展開の基盤づくりを表現したインフォグラフィック。

 

1,個人目標の設定の仕組み化

入社すると、必ず、自己の目標設定を行います。1年、3年、5年、10年、20年後の自分のありたい姿(仕事内容、職位、性格、収入など)をできるだけ詳細、鮮明に設定します。特に、1年後の自分のありたい姿(できるようになりたい仕事)を明確にします。そのために店長やスタッフの仕事の詳細を鮮明に設定するのです。
 

2,上司との1on1ミーティング

毎月のスキルチェックとフィードバックを、入社後、6か月間は毎月実施します。その中で、できたこと、できていないことを明確(フィードバック)にし、翌月の課題と課題解決の行動を具体化します。 6か月目以降に関しては、3か月に1度のミーティングを実施し、現状のスキルチェックと次の3か月の行動目標を上司と共に設定します。上司は、部下の「退屈」感を作らないよう注意が必要です。
 

3,マネージャーの定期的研修

フロー状態に入らせるためには、上司の役割が非常に重要です。マネージャー候補になった時点から、マネージャー研修を実施開始します。単発ではなく、年数回の研修を継続的に実施します。フィードバック、コーチング、目標設定のあり方など、自分の部下をフロー状態に導くためのスキル向上のための研修を定期的に実施するのです。
 

この3つ以外にも、「仕事を楽しむ」風土・環境つくりには、それ自体を価値観として、経営者・幹部が常日頃から、社員やアルバイトに、「仕事を楽しむ」こをもとめることも必要でしょう。

 

 

 

マネージャーの育成が飲食企業の成長を決める!

 
こうまとめてみると、会社側がいかに目標設定、コーチング、フィードバックのスキルを身につけさせるか(仕組み化できるか)が、会社を成長させる非常に重要なポイントであるように感じます。

冒頭にも書きましたが、今は、週休2日、時短労働が当たり前になる時代。だからこそ、マネージャーの存在(店長を育て、サポートしながら、店の売上・利益をアップさせる)がとても重要だと感じていましたが、店長以下のスタッフが、「仕事を楽しむ」という風土をつくりだすにも、マネージャーの力が欠かせないと思います。

「マネージャーの育成ができるかどうかが、中小飲食企業の成長を決める!」

そう断言してもいいのかもしれません!

 

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