(8)「今」だけでなく、「未来」をみた資金の使い方ができる!
このコラムは、「人を活かす多店舗化のための70の必勝法」をテーマに書いています。
飲食業は今、人不足が非常に大きな課題となり、チェーン店ほどいかにして人に頼らない店舗運営ができるかに取り組んでいます。ホールでは配膳ロボットを導入したり、タブレットの導入だったり、キッチン内では、調理をするロボットを導入するようなお店もでてきました。
ですが、私自身の個人的な考え方ですが、飲食店は「人がやるからこそ」というのがあり、人が運んできてくれるからこそ、料理も美味しくなるし、そこにスタッフとお客様の会話が生まれそれが楽しさにつながったり、また、人が作るからこそ、そこに微妙な加減ができ、それがお客様に感動を与えるのだと、私は考えています。
ですから、時代錯誤と言われるかもしれませんが、そこに”こだわる”からこそ、お客様の支持も得られるのではないかとも考えています。なので、こういった考え方をされている会社さん、経営者さんのご支援をしたいと考え、日々コンサルティングを行っているわけです。
そのため、私のご支援先は、基本的には「人を大切にする」「人を活かした店つくり」を基本的な考え方にされている経営者さんがほとんどです。
ということは、「人」をどう増やしていくか、どう育てていくのかが、最重要課題になるのですが、口では「うちは人を活かしてやりたいです」「人を重視した経営をしたいです」と言いながら、採用活動をすることを渋ったり、教育に時間をとることもためらったりする方がいらっしゃいます。
「積極的に採用していった方がいいですよ。色々やっていく中で辞める人もでてくるので・・」
と話しても、なかなか重い腰を上げられない人もいます。こういった社長の多くが、「イマイチ成長できない会社」であり、このような社長の言い分としては、「今、採用してもすぐ辞めてしまう」からだと言うのです。
であれば、採用後の社員教育カリキュラムを構築し、社員の育成方法、教え方を皆で共有すればいいだけなのですが、それも実行しようとしません。
恐らく、社員を採用することでの採用コストと社会保険料など、アルバイトを採用するよりも会社の負担が増えてしまうことが大きな原因だと思います。負担が大きいのに、すぐに戦力にならないことに苛立ちというか不満があり、イマイチ採用に行動的になれないようです。
ただ、やはり、人がいるからこそ会社は成長するわけで、また、色々な人が入社してくるからこそ、既存社員が危機感を持ちながら仕事ができ、それが会社としての成長に繋がるのです。
また、会社の創業期のころ(5店舗ぐらい)は、なかなかスキルの高い社員の応募はありません。これも採用に積極的になれない理由とされますが、これは仕方ありません。
採用に関して言えば、会社の成長とともに、徐々に応募してくる社員のスキル、レベルは自然と上がっていきます。(ただ、その分、店のレベルが上がっていることが条件となりますが・・・)
そして、せっかく縁があって入社してきてくれても、やはり、お互いの勘違いがあったりして、残念ながら離職される人もいます。
しかし、こういったことを繰り返しながら、比較的同じ価値観を持った社員が集まるようになり、徐々に、スキル、レベル、意識の高い社員も増えていくようになるのです。
ですから、やはり、会社を成長させたいと思うのであれば、できるだけ早くから毎月採用費にコストを欠けるべきだと思います。
10年ぐらい前に、まだ4店舗で社員が10人弱ぐらいだった会社が、3年後には、7店舗で30人ぐらいになりました。この会社は、人を重視した会社で「手仕事」にこだわり、社員比率を高めることで店の質を高め、そして、高い売上を実現していました。
そのため、最初のころから、毎月20万ぐらい採用コストをかけて募集をかけていました。そして、少しずつ社員が増えていったのですが、店の売上が上がり、店舗が増えるにつれて、毎月20万の採用費を半分以下に減らすことができるようになりました。
それは、お店にきたお客様が、そこに張ってあるポスター(社員募集)をみて、そこから連絡してきて採用に至る人が結構増えてきたからです。店を知っていて入社してくるので、ある程度価値観は最初から共感していたようでしたし、また、スキル、能力、意識もどんどん高い人を採用できるようになり、結果、さらに会社を成長させることができるようになりました。
先行投資という言葉が誰もが知っている言葉だと思いますが、「今だけ」を見るのではなく、「未来」をみながら、今の経費を使っていくことも大切だと思います。もちろん、そのためにもある程度の売上が必要にはなりますが、こういった考え方(今だけをみるのではなく、先をみることができる)ができない社長さんほど、ずっと現状維持で、いつもバタバタされているように感じます。
業績のいい会社の社長さんほど、いわゆる「ケチ」(いい意味でです)な人が多いのですが、しかし、必要な経費には出し惜しみをしない人が多いと思います。
今だけをみるのではなく、先をみたお金の使い方を考えていきたいですね。
成功している社長さんほど、お金だけでなく、常に、未来をみながら日々経営されているように感じます。見習いたいですね!