(3)自ら掲げたビジョンに、本気でコミットしている!
組織の長としての重要な仕事は、「会社がどこに向かおうとしているのか」、それをスタッフに示すことです。当たり前のことですが、「どこに向かうのかも分からない」のに、部下は付いていきようがありません。
つまり、「会社のビジョン(目標)をスタッフに示す」ということですね。
「明日のことも分からないのに、未来なんか見えないよ」
という社長さんもたまにいます。それだけ、毎日売上を作ることだけに一生懸命ということなのでしょうが、こういった社長さんで成功した人を見たことがありません。
では、なぜ、ビジョンを示すことが重要なのかというと、目指すべき方向性によって、仕事の進め方が全く変わってきますし、そこで働く社員のあり方も変わってくるからです。
ご支援先でよくこんな質問をします。
「社長の会社は、例えば、高校野球で例えると、
1,甲子園で優勝すること(日本一)を目指す会社ですか?
それとも、
2,甲子園に出ることを目指す会社ですか?
もしくは、
3、草野球レベルで何かミスがあっても「ドンマイ、ドンマイ」とただ楽しく野球を楽しむだけの会社ですか?」
と。野球に精通していない方でも、この文章を読むと、目指す方向性の違いで練習方法や個人のあり方、チームとしてのあり方が、全く違ってくることが分かると思います。
きっと、日本一を目指すチームであれば、試合でとにかく勝つために、日々の練習もよりきついものになるでしょうし、個人個人の意識も高いものが求められるようになるでしょう。
ゴール(目標)を示すからこそ、チームとしての戦い方や個人やチームとしてのあり方も見え、もし、これに「合わない」と判断した人は自らチームを去っていくでしょうし、このゴールに共感する人だけが残るようになり、これによってチームは一体化していくのです。
目標(特に目標が高ければ高いほど)を達成するためには、チームの一体感が欠かせないことは、色々なスポーツを見ていても明白だと思います。
最近は、人不足だったり、離職率が高いとダメな会社という風潮がありますが、価値観や考え方が合わないスタッフがいては、それは両者にとって良いことではありません。
なので、価値観や考え方が合わないスタッフが辞めていくことは致し方ないことであり、離職率を気にするあまり、会社に留まるように説得したりすることは、実は会社にとって良くないことだということは理解できると思います。
このように、ビジョンを示すからこそ、社員スタッフに対して、「会社としての価値観や仕事のあり方ややり方」を示すことができますし、それに賛同する人を集めることもでき、そして、組織として一体となって前に進むことができるのです。だからこそ、スタッフに、会社の方向性(ビジョン)を示すことは重要なのです。
さて、ここまでは多くの経営者さん(経営者さん以外でも・・)が知っていることであり、実践されている人もいるでしょう。
しかし、ここからが最も重要で、”本当に成功している経営者”さんは、「自ら掲げたビジョンに本気で取り組んでいる、コミットされている」ということです。反対に、成功しない経営者さんというのは、ビジョンはあくまでお題目に過ぎず、そのビジョンにコミットしている人がほぼいないということです。
なかなか伸びない会社ほど、私から
「これだと、このビジョンは達成できないですよ」
と指摘すると、
「今は仕方ないよ。あんまり厳しくいっても皆辞めてしまうし。それに、そこまでビジョンにはこだわっていないし・・・」
というような返答がくる社長さんもいらっしゃいます。
私がいつも思うのは、「本気で目指さないのであれば、ビジョンや目標を変えればいいのに」ということです。
仮に、「売上10億の会社をめざす」と声高々に言っているのに、実際に入社してみると、期限にも甘いし、朝令暮改も日常茶飯事だし、何も仕組みを作ろうとしないし、社員も積極的に採用もしないし教育もしない。
こんな会社に入社した社員はどう思うでしょう?
きっと騙されたと思って、せっかくいい社員になるかもしれないのに、すぐに辞表を提出することでしょう。
そして、会社もトップが「10億に必要なことをトップ自ら率先しない」ということが分かれば、皆のモチベーションも上がらず、当然、会社として成長するわけがありません。もし、一時は事業が拡大しても、必ず、失敗することになります。
だからこそ、本当に自分の目指したいビジョンを掲げるべきですし、そして、本気でそのビジョンを達成したいのであれば、そのビジョンに対して本気でコミットすることなのです。
もし、本気で飲食業の経営者として成功したいのであれば、自ら高いビジョンを掲げ、そして、そのビジョンに対して、本気でコミットすることです。本気で取り組むという姿勢と行動、そして、意識があれば、行動内容な見えてくる景色も変わるでしょう。
あなたは、あなたが掲げたビジョンに本気でコミットしていますか?