飲食店の教育プログラムの必要性を解説するアイキャッチ画像。飲食店の多店舗化では、教育プログラムがないまま店舗数だけが増えると、接客や調理の仕事の質が劣化し、売上低下につながることを表現している。画像には「教育プログラムがないから売上が下がる」というメッセージと、初期教育プログラムで価値観や仕事の基準を統一し、「目的を伝える」「できるようにさせる」「質を維持・向上する」ことの重要性を掲載。教育担当者が新人スタッフを指導する様子を通じて、飲食店の社員教育、人材育成、アルバイト教育、教育制度の仕組みづくりが多店舗展開の成功に欠かせないことを伝えている。

 

「初期教育プログラム」を早期に構築しよう!

人と店が増える中で、早急に整備したい仕組みは、社員、アルバイトを問わずの「初期教育プログラム」です。
 
多店舗化を進める過程で、特に、3店舗ぐらいでの人材募集は、経験者がどうしても中心になります。できれば即戦力で働ける人を望んでいますし、場合によっては、自社にないノウハウを持ち込んでくれればという思いもあるからです。
 
ただ、ある程度、人員が落ち着いた段階で、ぜひ、「自社で育てる仕組み」を作られることをお勧めします。また、できれば「未経験」の人でも早期に育てられる仕組みを作ることを、そして、その仕組みの運用は、社員にゆだねるのではなく、経営者や幹部が直接関与しカリキュラムを作成していくことをおすすめします。

本ページでは、初期教育プログラムのあり方と必要性、そして、具体的な初期教育プログラムの作り方について解説します。

この記事の執筆者】
中西 敏弘
中西フードビジネス研究所 代表。飲食企業の多店舗展開支援や、人を活かす飲食店経営の仕組み作りを専門とする飲食店経営コンサルタント。
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多店舗化を目指す飲食店は、早期に「初期教育プログラム」を構築すべきである!

さて、なぜ、早期に、自社で育成する仕組みを作るべきなのか?
 

飲食店の多店舗化を成功させるために必要な「自社で育成する仕組み」を解説した図解。価値観を共有する教育プログラムの重要性をテーマに、クレンリネスを例として「最初に身に付けた習慣は変えにくい」ことを比較画像で紹介している。また、経験者任せでは仕事の質が統一されにくいため、調理や接客を一から学べる初期教育プログラムを整備し、自社の考え方や仕事の基準を浸透させることの必要性を解説。さらに、高卒の新卒や未経験者でも1~2年で戦力社員へ育成できる教育制度の構築が、飲食店の人材育成、社員教育、アルバイト教育、店舗品質の維持、多店舗展開、売上向上につながることを訴求した画像。

  
多店舗化を進める過程で、人を増やす際に大切になってくるのは、「価値観」をいかに共有できるかです。経験者はそれまでの店、会社で育った価値観があり、これは働き方だけでなく、仕事に対する考え方も含めてなのです。
 
例えば、自社では、「クレンリネス」を徹底したいので、一作業が終わったら必ず作業台を拭いたり片づけたりすることを徹底したいと思っていても、経験者は、そういったことをクセ付けされなかった人は、絶対にそのクセが治らず清掃するという習慣を身に着けさせることが難しいからです。
 
 
「こんな小さいこと????」
 
 
と思うかもしれませんが、最初に身に着けた習慣というのは、なかなか変えることは難しく、また、年齢がいけばいくほど余計に変えることは難しいものです。
 
ですから、調理作業にしてもホール業務にしても「一」から学べる仕組みをつくり、自社の考え方や仕事のやり方を徹底して身に着けてもらうようなカリキュラムをつくるべきでしょう。そして、極端に言えば、高卒の新卒生が来ても1年から2年で社員としては普通に働けるぐらいの仕組みをつくれれば最高です。
 
あと、もつひとつ重視してほしいことがあります。
それは、この教育プログラムの運用を「人財育成専門」のスタッフを数名担当者として任命して、「その担当者がある程度は教える仕組み」にするべきでしょう。
※ぜひ、当社の「飲食店教育プログラム構築支援コンサルティング」を参照してください>>>

 

 

 

「教える」を学んでいない人が、「教える」ことの怖さ

飲食店の社員教育・アルバイト教育における「教え方」の重要性を解説した図解。作業のやり方だけを伝える教育では、仕事の質が低下し、店舗数が増えるほど売上が下がる原因になることを比較形式で紹介している。一方、仕事の目的や重要性、あるべき姿、コツやポイントまで伝える教育を行うことで、スタッフが正しい基準で仕事を習得し、品質を維持・向上できることを表現。画像では、仕事の質の低下と売上低迷の関係、そして「教える」とは単に伝えることではなく、相手をできるようにさせることだという考え方を解説しており、飲食店の教育プログラム、人材育成、店長教育、多店舗展開、接客品質の維持、売上向上につながる仕組みづくりの重要性を伝えている。

  
多くのお店では、社員の「初期教育」もお店に任せている(任せっぱなし)ことが多いと思います。ただし、「教え方」をしっかり学んでいない人が「教える」と、多くの場合、「作業のやり方」だけを教えてしまうため、本来の「あるべき姿」で仕事を身に着けないため、すぐに、仕事の質が落ちてしまうからです。 
 
 
3店舗ぐらいから5店舗前後でよくあるのが、
 
「昔はこの作業をきちんとやっていたのに、いつの間にかやらなくなった」
「気が付いたら、やり方が勝手に変わっていた」
「昔は、ここまでやっていたのに、いつ間にか、やらなくても普通という雰囲気になっていた」
 
なんてことが良く起こるのです。これは、「仕事の質」がどんどん低下していることであり、その結果、売上が思うように伸びない店が多発してくるのです。
 
つまり、店が増えるとともに、売上が下がる多くの原因は、この「質の劣化」なのです。
 
 
では、なぜ、「質の劣化、低下」が起きるのか?
 
それは、「教える人」が仕事をただ「作業」的に教えてしまっているからです。私はこういった状態を、
 
「それは教えているのではなく、ただ、作業のやり方を伝えているだけ」
 
と話しています。
だからこそ、いつの間にか大切な作業が省かれたり、重視して行わなくなったりするのです。
※「教える」とは、「伝える」ではなく、相手をできるようにさせることを参照>>>
 
 
もし、最初に「教える人」が、
 
「この仕事は、こういう目的があって、非常に重要な仕事なんだ。これをしっかりやらないと、あとあとお客様に迷惑を掛けたりすることになるんだ。だから、確実に丁寧にやってほしい。そして、ここはこの状態までできて始めて『できた』になるから、ここまでしっかりやってくれよ」
 
みたいに、仕事のやる目的、そして、あるべき姿をしっかり伝えず、ただ、「作業(やり方)」だけを伝えているので、どうしても仕事の質が劣化してしまうのです。また、ただ、「伝える」だけなので、仕事を上手くできる方法、つまり、コツ・ポイントなどをしっかりと伝えていないので、「教わった側」が次の人に教える際にも、同じようにただ伝えるだけになるので、業務の質も劣化しますし、また、その業務を身に着けるまでにも非常に時間がかかってしまうのです。

 

  

 

最初に誰が「教える」かの重要性。初期教育の重要性

飲食店の初期教育の重要性と、自社で人材育成できる教育プログラムの作り方を解説した図解。最初に誰が教えるかが店舗の将来を左右することをテーマに、「教える」を学んだ専任スタッフによる初期教育が、店舗品質の維持とアルバイト・社員の成長につながることを紹介している。画像では、初期教育プログラムの流れとして「何から教えるかを決める」「ステップごとに育成する」「日々の教育内容を明確にする」「習得期間を設定する」「テストで確認する」の5つのポイントを整理。計画的な社員教育と人材育成を仕組み化することで、未経験者でも着実に成長し、飲食店の教育制度、店長教育、多店舗展開、サービス品質の維持、売上向上につながることを表現した画像。

 
こうやって考えると、最初に教える人って、非常に重要だと思いませんか?
 
だからこそ、最初の段階では「教える」ことをしっかり学んだ専任スタッフがしっかりと「教える」方が、あとあと、店の質が劣化しにくくなりますし、店のアルバイトの育成もしっかりとできるようになるのです。
 
 
・最初に何から教えるのか?
・どうステップを踏ませて、研修を実施していくのか?
・日々、何を教えるのか?
・通常であれば、どれぐらいの期間で仕事をマスターしてもらうか?
・ステップごとにその都度テストがあり、それをクリアしないと次にいけないようようにして確実にスキルアップさせる、

 

などなどのポイントを踏まえながら、教育プログラムを作成するといいと思います。これを専任スタッフときっちり教えるポイントなどを共有し、「教える」経験値を増やしてもらうと、ある程度の期間で「自社で育成できる仕組み」が完成するでしょう。

 

 

初期教育プログラムの作り方(100時間研修の作り方)

当社では、初期教育プログラムを「100時間研修」として構築しています。100時間とは、アルバイトが1日で働く時間を5時間ぐらいと想定し、その20日分ということです。目安としては、新人で入店して1ヵ月から1ヵ月半で「一人の戦力として使える状態」を目指します。

では、この初期教育プログラム(100時間研修)の作成ポイントを下記にまとめておきます。

 

①100時間検討シートにて、大枠のプランニングを行う!

飲食店の100時間研修プログラムを設計するための「100時間検討シート」による大枠のプランニングを解説した図解。100時間研修終了後のゴールを「一人の戦力として活用できる状態」と定め、そこから必要な具体的仕事内容を抽出し、仕事を3つのステップに分けて目標を設定する流れを紹介している。各ステップではポジションや習得期間、達成目標、具体的な仕事内容、ステップクリアテストを設定し、段階的にスキルを身に付ける教育プログラムを構築する考え方を解説。飲食店の社員教育、アルバイト教育、人材育成、初期教育プログラム、店長教育、多店舗展開に対応した、教育制度を仕組み化するための実践的な設計方法を紹介した画像。

 
1.100時間研修終了後のゴール設定と「具体的な仕事内容」の抽出

どのご支援先でも、100時間研修終了後のゴール(新人アルバイトが、100時間研修後にどうなって欲しいかという状態)を「一人の戦力として活用できる状態」にしています。そして、この状態になるための「具体的な仕事内容」を抽出します。
  

2.仕事の3分割とステップごとの目標設定

上記の仕事を3分割し、それぞれのゴールの状態(達成目標)を決めます。中心となる仕事内容を書き出していきます。

【ポイント!】各ステップごとに、ステップクリアテストを設ける!
各ステップを終了する際に、確実にそのステップのスキルを身につけたかどうかのテストを実施するようにしてください。

例えば、ある店では、2ステップの終了時に「取り分け、4等分、30秒以内」というテストがありました。これは、その店ではすべてのお客様に、サラダやパスタなどをスタッフ側が取り分けるようにしていたからです。これがこの店の大きな特徴になっていたので、この業務が確実にこの期間内にできるようトレーニングし、確実にスキルが身についたのかをテストしていました。

このように、アルバイトに対してひとつの目標があれば、そのスキルを身につけなければならないと、目指すべきもの、習得すべきものが明確になるので、アルバイトもスキルを身につけやすくなるのです。

 

 

②毎日の研修内容を考える!

大枠の内容を考えると、この後は、毎日何をするのかを下記のシートにまとめていきます。これは会社の方で、「教える順番を強制する」ということになるのです。

   

※最初に「教えた」ことが「優先順位の第1位」となることを認識しよう!

飲食店の新人教育で重要な「教える順番」を解説した図解。最初に教えた内容が新人スタッフの優先順位になることをテーマに、「作業」から教える教育と、「目的・ゴール」から教える教育を比較している。作業を先に教えるとハンディ操作やルールが優先され、お客様への配慮や笑顔がおろそかになりやすい一方、仕事の目的やあるべき姿を先に伝えることで、お客様目線で考えながら接客できるスタッフへ成長する流れを写真と図で表現。また、ハンディ操作は営業前に繰り返し練習して自信をつけてからホールに立たせる教育方法も紹介している。教える順番を変えることで、アルバイト教育や社員教育の質が向上し、仕事の習熟度、定着率、離職率改善、採用費削減につながることを伝える飲食店向け教育プログラムの解説画像。

「新人さんを教える」際に、気をつけたいことは「教える順番」です。
例えば、接客の「注文伺い」という仕事を新人さんに教える際、多くの人はハンディ操作や伝票の書き方、そして店の決め事(ファーストオーダーの入力方法やキッチンへの声掛けなど)を教えがちです。

ただ、人は、最初に教わったものを「一番大切なもの、一番重要なもの」と認識します。そのため、最初にハンディ操作や店の決め事を教えてしまうと、実際にホールに出たときに「ハンディ操作」を重要視してしまいます。つまり、「作業」が優先されるわけですね。

しかし、今は「作業」ではお客様は喜ぶはずがなく、「作業」をこなすことが優先されるわけですから、どうしても笑顔で接客したり、お客様のことを考えることに頭が働かなくなるのです。

こんな新人スタッフを先輩スタッフが見つけると、「笑顔でね」とか「テーブルもよく見てね」と指導しますが、新人スタッフは「作業をきちんとこなさないと」という意識が強く働きますから、なかなかお客様のことを考えて仕事をするということはできないわけです。すると、新人スタッフも「指摘される」ことが多くなりますから、働いていても楽しくないでしょう。

 

反対に、まずは注文伺いの目的は、「正しくお客様の注文を聞き、お客様に正しく情報をお伝えすること」であり、ゴール(あるべき姿)は、「これからおいしそうな料理が食べられそうだなあ、というような印象を持ってもらえる状態」ということを伝えます。 自分なりに「どうやれば、お客様にそんな印象を与えられるだろう」と考えさせて接客するようにさせると、ただハンディを打つだけではゴールを達成することは難しいということが分かり、「作業」を行うことよりも、どうお客様に「感じてもらえるか」を仕事の中心に据えて接客を行うようになるでしょう。

もちろん、ハンディ操作がままならないと落ち着いて仕事ができないでしょうから、これはホールに出る前に何日間か「営業前」に先輩スタッフがオーダーを取る練習を何度も何度も繰り返し、ある程度新人スタッフに「自信をつけさせた状態」でホールに出してあげれば、笑顔を意識してお客様の目をみてじっくりお客様の注文を聞き、そしてハンディ操作も無難にこなせるでしょう。

  

こんな風に「教える順番」「教え方」を変えると、新人スタッフのやる気や仕事の習熟度、そして店としてやって欲しい仕事がやりやすくなります。

何事も最初が肝心。順番を変えるだけで、その後の成長や離職率も大きく変わってきますから、この辺りを強化するだけで採用費も大幅に圧縮されます。

このアルバイト100時間研修と同じ形で社員の入社後の研修プログラムを作成し、これをもとに育成を行っていきます。


 
 
 
さて、今回の最後になりますが、お店で、アルバイトがアルバイトに教えたりしていませんか?実はこれってすごい怖いことですし、これがアルバイトの早期離職につながったり、売上低下を招く一番の原因かもしれませんよ。
 
ここまで今は関与しないと、いい店を維持することは難しいのです。

 

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