
SNSの使い方の本質を本当にご存じですか?
物価高騰の中、恐らく飲食店へ足を運ぶ回数は以前よりも減る傾向にあるでしょう。またその飲食店も、値上げをせざるを得ない状況。ますます飲食店には厳しい環境が続きます。
そんな中、少しでも集客に繋げたい、とSNSに力をいれる人も多いように思います。
ただ、集客にSNSを使うことは間違っていないのですが、本質を理解していない人が多いように思います。
というのは、今は、お客様の店選びの際に、「店が直接宣伝したものを見て選択する」のではなく、お客様自体が感じたこと、つまり、「お客様自身が実際に体験した感想を読んで店を選ぶ」人が増えたからです。そして、この感想こそがSNSの発信だということです。
これがどういうことか?
近代マーケティングの父、フィリップ・コトラーが、『マーケティング3.0』『マーケティング4.0』の両著書の中で、時代の変化として明確に指摘しています。ここで少し、コトラーの理論を紐解きながら、先ほどのSNSの本質について解説しましょう。

コトラーは、マーケティングが1.0から4.0という具合で変わってきていると話しています。これを、日本の飲食業の変遷とともに見てみます。
マーケティングの変遷と「売り方」の変化
・1.0(製品中心)/1970年代〜
日本の「外食元年」を経て、チェーン店が急拡大した時代。「安くて旨いもの」を出しさえすれば、出店するたびに客が入った、作れば売れた時代です。売り方も、「こんないいものあるよ!」と、商品をアピールすれば事足りました。
・2.0(顧客中心)/1990年代〜
バブルが崩壊し、市場が飽和して競合が激化した時代。「他店との差別化」をしないと選ばれなくなりました。この時代は、「うちは他とここが違います」と差異をアピールするようになります。
・3.0(人間中心)/2010年頃〜
スマホが普及し始め、モノの豊かさより「心の満足」が重視される時代。単に腹を満たすだけでなく、店の志や「どんな体験ができるか」が重視されるようになりました。売り方は、「こんな体験ができる店ですよ」と、商品よりも体験をアピールすることが重要になりました。
・4.0(自己実現)/2010年代後半〜現在
SNSがインフラ化した現代。スマホを通じて顧客同士が繋がり、自分の体験を「推奨」し合うことで、それが最強の宣伝力を持つようになった時代です。3.0までは発信の主体が「店」でしたが、4.0では「個(お客様)」に主導権が完全に移り変わったのです。
宣伝の主役は「店」から「お客様」へ
このように、1.0からの変遷を「売り方」という視点で見ると、大きな変化に気づきます。3.0まではPRの主が「売り主」「店側」であったものが、4.0になると、「SNSという武器」によって、お客様自身の言葉で拡散されるようになったという点です。
かつて、情報の主導権は「店側」にあり、店が出す広告が、お客様にとっての唯一の判断材料だったのです。
しかし今は、SNSの出現により、主導権は完全に「お客様」に移りました。店がどれだけSNSで「うちは最高です」と叫んでも、お客様が「実際はこうだった」と一言つぶやけば、そちらが真実として選ばれる時代なのです。
このように、コトラーが説くこの理論を知れば、TikTokやインスタなどをバズらせることがSNSの本質ではなく、お客様の体験価値を上げて、それを発信してもらうことが重要だということが分かると思います。
「バズ」は一過性に過ぎない
もちろん、短期的に見ればSNSをバズらせることで一時的に売上は上がるでしょう。 しかし、自店の本来のターゲットではない人や、二度と来店しない人(例えば一部のインバウンド客など)を集客しても、次に繋がる確率はほとんどありません。
それどころか、せっかく来店いただいても、店の営業内容(品質、接客、オペレーション、雰囲気など)が悪ければ、二度と選ばれないばかりか「期待外れだった」と逆に評判を落とすことにも繋がりかねません。
つまり、現代のSNS対策とは、スマホの画面を操作することではないということです。
お客様がわざわざ足を運び、相応のお金を払ってでも得たい「体験の質」をどこまで高められるか。接客、商品、雰囲気、そして滞りないオペレーション。この「現場の力」が伴って初めて、お客様のSNSが御社の最強の営業マンに変わるのです。
特に、固定客を増やしていくことが生命線であるお店においては、この「体験価値」をいかに上げられるか。これこそが、今の時代のSNS対策であり、本質的な売上対策ではな いでしょうか。
体験価値を高めるのは「当たり前の継続」
さて、この「体験価値」を上げることについて、何か特別な魔法が必要だと考えられるかもしれません。もちろん、唯一無二の商品やハード面の特徴も重要です。しかし、それらもやがては「一時的なもの」になりかねません。
結論を言えば、基本的なオペレーションの質が高いこと。
これこそが、最終的にお客様の体験価値を向上させるのです。
先日、数年前まで支援をしていた社長さんと連絡を取る機会がありました。「中西先生のおかげで今は絶好調です!」という嬉しいご報告をいただいたのですが、この支援先に対して、私は何か特別な「裏技」を指導したわけではありません。
この支援先では人材教育を中心に携わらせていただきましたが、最も力を入れたのは、オペレーションの質の向上です。接客や商品のクオリティはもちろん、提供スピードなど、お店の営業全体の質を上げることに注力しました。
人員配置を見直し、より効率的な仕組みに変え、スタッフがよりお客様の近くで動けるオペレーションの型を作りました。同時に、スタッフの考え方を「お客様ファースト」へと変え、毎月課題を抽出して店全体で改善に取り組む。さらにクレンリネスの徹底にも力を入れていただきました。
特に、素晴らしいのは、これを一時的なイベントではなく、3年以上経った今も「行動を継続している」ことです。
私は、このお店の売上が上がったのは「当然の結果」だと思っています。というのは、毎月の改善は「お客様の不満を消す」ことを主旨としています。これを毎月ずっと積み重ねているわけですから、お客様の体験の質が上がっていくのは普通のことだからです。そのアップ額が私の想像を超えていただけの話なのです。
マジックを求めるな、会社を前に進めよ!
他にも、「行動を継続した」居酒屋の会社がありましたが、こちらもどこよりも毎月毎月「改善」を継続したことで、どこよりも高い売上を作ることができるとともに、今では、全国から視察が来るまでの店舗になっているようです。
しかもこの店は、もちろん繁盛店として紹介はされているようですが、「教育が行き届いた店」という評判が高いそうです。つまり、店の当たり前の行動(出迎えから退店までの接客や商品の質、商品提供スピード、スタッフの気遣いなど)が、どこよりも素晴らしいということです。
私の経験上、長く繁盛している店ほど、当たり前にやるべき行動の質が高く、それを高め続ける努力を継続しているように感じます。だからこそ、「お客様の満足度=体験の質を向上」させ、高い売上を維持しているのです。
売上を上げるために、何か特別なマジック(魔法)は必要ありません。 むしろ、マジックや小手先のSNS対策に頼ろうとすればするほど、継続的な成長は難しくなるでしょう。
私がいつも「会社を前に進める」と言っているのは、この「当たり前の行動」を継続できる風土・習慣をつけることです。そのために、現場スタッフがスムーズに動ける環境と仕組みを作り、リーダーがそれを率先して動かす。これこそが、本当の意味で「会社を前に進める」ということです。
もし、「今年こそは会社を変えたい……」「会社を前に進めたい・・・」とお考えでしたら、ぜひ一度、こちらのページをチェックしてみてください。
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