(4)自分ルールが存在せず、社内ルール・決め事を率先して守る!

飲食業では、「3・5・10の壁」があると言われますが、店が増え、そして、人が増えてくると、過去のマネージメントでは機能しなくなるため、組織の拡大とともに、マネージメントの手法を変える必要があります。この変化ができない会社が3・5・10の壁に阻まれることになり、変化ができる会社はスムーズに成長を遂げていくことになります。
 
 
特に、人が増えてくるということは、「色々な価値観の人間が増える」ということであり、この点が、人が増えることでの大きな課題となるのです。
 
創業期というのは、経営者の価値観と同じ、もしくは、人間性が好きで一緒に働いている人が多く、だからこそ一体感があり、皆のモチベーションも高いため、それが売上に繋がることが多いのです。
 
もちろん、業態としての魅力で集客でき高い売上を作れるというのもありますが、そこにトップがいて一緒に働くからこそチームとして纏まるという側面もあります。
 
 
しかし、売上が伸び、店を少しずつ増やしていくことで、人も増えていくことで、”これまでにない”価値観が社内に入ってくるようになり、ここで一つ目のゴタゴタが起こるのです。
 
これを上手く乗り切るためには、これまで「グレー」だったものを少しずつ、「これが正解」という社内のルールを作り、様々なことの「白黒をはっきりさせる」ことが必要になるのです。これは業務上のマニュアル的なものでなく、どちらかと言えば社内ルール的なものを明確にしていくことが重要です。
 
例えば、「仕事には必ず期限と時間を設定しよう」とか、「朝礼は毎日やろう」とか、「休みはこんな感じでとっていこう」、「このテンプレートを使っていこう」、「ミーティングはこうやっていこう」、「アルバイトの教育はこういう手順でやっていこう」などといったものです。
 
 
人数が少ない時は、経営者の気分でやっていても人数も少ないので特に不平不満もでません。
しかし、人が増えると皆、基準や価値観がマチマチ(特に経験者ほど、過去の会社のやり方やルールを主張します)なので、やる人はやるけれどやらない人(守らない人)はやらない、といったことが起こり、ここから社員間の中で「不満」が出るようになり、そこでゴタゴタが起こってしまうのです。
 
だからこそ、共通の価値観や考え方を明確にするために、理念をつくったり、行動指針をつくったり、ハウスルールを作ったりと、”自社”の会社の基準を明確にしていくことが必要なのです。もちろん、これら以外にも仕事上の様々な基準を決めていくことがとても重要ですが・・・(これに関してはまた後日詳しくお伝えします)
 
 
 
ここまでは、経営者自身も頭では理解されているのですが、実際の運用となると・・・
 
 
実は、伸びない会社の経営者に共通しているのが、「経営者自身が、作ったルールや決めごとを守らない」ということです。
 
創業社長は、自分で作ってきた会社だし、自分のルールを優先してこれまで生きてきました。なので、いざ「ルールが・・・」となると、これを守るのが面倒で自ら率先してルールを破る人がいます。自分勝手にしたいからこそ、自分で会社を作ったのに、と思っている人もいます。(こういった方は、組織化することは向いていないですね)
 
 
・決めたことがあっても、社長自身が率先して実行しなかったり、
・ルールがあっても、俺は特別だと言ったり、
・自分のかわいい社員に対しては、ルールを守らなくとも何も罰則がなかったり、
 
などなど。こういったことには、社員スタッフは敏感で、
「社長がすぐにルールを破るのに、俺たちにあーだ、こーだいうのはおかしい」と言った不満をいう社員がでるのは想像できますよね?
 
私の経験上、こういったパターンで会社を辞めていくという人をたくさん見てきました。辞めていく人も問題はありますが、経営者の姿勢に不満を持って辞めていくということはとても多いのです。
 
せっかくいい店をつくってたくさんのお客様から支持されていても、せっかくいい人を集めても、社長自身が率先してルールを破ることで、会社の成長を阻害しているというのは、非常にもったいないと思いませんか?
 
 
まだまだ会社の規模が小さい時は、社員の人数も少ないので、社員の誰もが「社長(経営者)」しか見ていないのです。また、「社長をよ~~~く見ている」のです。社長がどんな行動をするのか、どんな発言をするのか。本当に一挙手一投足まで細かく見ています。(自分のことはさておいて・・・)
 
これを特に創業期のときは、経営者(社長)自身が自覚した行動を取らないと会社として成長していくことはないでしょう。
 
 
さて、3店舗、5店舗ぐらいの経営者さんで、会社がイマイチ成長していかないなあ、社員の離職も多いなあと感じている方。
 
あなた自身の、自分ルールで仕事をしていませんか?
社員にだけ、ルールを守ることを課し、自分は好き勝手にやっていませんか?
 
今一度自分の行動、言動を振り返ってみてください。