(3)社長、幹部が一番厳しいお客様になり、”上書き”し続ける!
昨日の投稿に続いて、「お客様目線」に関連することについて書いてみたいと思います。
スタッフたちに「お客様目線で仕事しないとダメだ」「お客様目線で考えたら分かるだろう?」なんてことを、社長さんや幹部さんは言いがちです。
言っていることは決して間違いではないのですが・・・
しかし、断言します!
現場に普段入っている人が、「お客様目線になる」ことは絶対に無理です!
なぜなら、何か考える時にすぐに、「これは●●をやるためにはどうしても必要」とか「言っていることは分かるけど、実際にやるのはムリ」などと、「現場の都合」をどうしても優先してしまうからです。
また、もう一つの問題は、スタッフ自身が普段から他の飲食店を利用している頻度が異常に少なく、飲食体験がお客様よりも大きく不足しているからです。
だから、お客様の気持ちになんかなれるはずがないのです。
「お客様目線で店の改善をして欲しい」と誰もが思うことですが、上記の2つの理由から私は絶対にムリだと考えています。
では、どうやって「お客様目線での店つくり」を行うべきなのか?
それは、会社のトップである社長や幹部が、常日頃から自店を何度も何度も利用して、そこから、お客様が求めることは何なのかを探りながら、会社側で「あるべき姿」をどんどんと”上書き”していくことが求められていると思います。
つまり、トップ自らが店に足を運ぶことが重要だということです。
そして、一番厳しいお客様になって、現場にどんどん改善を求めることが重要です。
私は、コンサルティングの中で、必ず実際に店に足を運ぶ機会を設けます。
なぜなら、お店がどんな状況なのか、そして、実際にお客様としてお店を利用してみないと、お店の課題や良いところを発見することができないからです。
ですから、時には、行列に並んで、実際に20~30分待って飲食することも多々あります。
そうやって実際にお客様になってみることで発見できることが多々あります。
例えば、先ほどの行列に並ぶにしても、ウェイティングルームで待っていて感じることもたくさんあるからです。
スタッフが声をあまり掛けにこないとか、ウェイティングルールが冬だったら思っているより寒いとか、夏だったら、暑すぎて誰も待たないとか。
これは実際のスタッフすら感じることもできないことで、この体験を店の改善に活かしていただくこともあります。
社長や幹部は、きっと他店へ行く機会も多いでしょう。
なので、飲食経験も豊富なので、その目線で自店を利用してみると色々な気づきが実はたくさんあるはずです。
店にしか問題はありません!
店に行かないと、問題は発見できないのです。
だからこそ、できる限り、お店に実際に足を運ぶことを大切にして欲しいのです。
ただし、実際は、社長や幹部の方が、自店を利用することを嫌がる人が多いです。理由は、常連さんに会ったり、忙しい時にはスタッフや他のお客様に遠慮してのことからかもしれません。
しかし、自店で自店をチェックする機会を、幹部の方ほど持たないとお店は現状維持のままで、いつの間にか他店との競争に負けてしまうかもしれません。それほど、現場に行くことをぜひ大切にして欲しいと思います。
そして、店には必ずチェック項目があると思うのですが、それをどんどん”上書き”して、日々改善を重ねていきましょう。この辺りをマネージャークラスに”任せっきり”になってしまうと、まだまだ「現場視点」が入ってしまうため、店のグレードアップすることはなかなか難しいでしょう。
さて、今回の投稿の最後になりますが、以前から私が危惧しているのが、現場スタッフの飲食経験の少なさです。
ここ数年たくさんのお店のスタッフと話しますが、本当に、「他店を知らない」「そもそも飲食経験が少ない」ということが非常に気になっています。
そのため、スタッフと勉強会で話していても、話が通じないことがあったり、お客様の気持ちが全く想像できないスタッフまでいます。
ぜひ、今後、会社として成長させていきたいのであれば、会社としてスタッフに飲食する機会を強制的にでも設けてほしいと思います。
私のご支援先で色々と試しましたが、「自分たちで行ってこい」と言って実際に言った人は、1%ぐらいしかいません。ですから、上司の方が機会を見て、実際に連れていくことが一番いいのかなと最近は思っています。
もしくは、数か月に一度は数人ずつ交代で他店の見学を行うようにさせるなどのことも必要かと感じています。
これぐらいやらないと、今のスタッフは自ら外食しようとはしないので。
お客様の気持ちが100%分かるようにはなりませんが、少しでも分からないと、接客するにも商品開発するにも、的外れになってしまいます。
「敵を知り、己を知 れば百戦危うからず」
で、自店が勝つためには、敵を知ること、今の流れを知ることが大切です。