(1)”マネ”ではなく、”ホンモノ”を知ることが成功のカギ

たくさんの社長さんとお会いしてきて最も感じるのは、成長する会社の社長さんには、「自分の軸(考え)がはっきりしている」ということです。

どんな会社にしたいのか、どんな店つくりにしたいのか、などなど、自社や自分の考えがはっきりしているのです。

コンサルタントという仕事をしていますから、社長さんに「どんな会社にしたいですか?」という質問をよくさせていただきますが、この質問に端的に自分の考えをきちんと話される社長さんは、かなりの確率で成功されています。もちろん、勉強を重ねながら、考えが少しずつ変わる場合もありますが、「自分がどうしたいか?」という自分の考えがはっきりしているのです。

きっと「そんなの社長だから当たり前でしょ?」と多くの人が思うかもしれませんが、実は、これがハッキリしている人は少ないのです。

意外に多いのが「あの会社のようにしたい」と、自分の知り合いで、業績の良い会社の例をだされるパターンです。

もちろん、他社をベンチマークし、いいところを”マネる”ことは決して悪いことではありません。

しかし、マネのままでは、やはり、単なるマネにしかならず、「ホンモノ(本物)」にはならないのです。なので、ある程度のところまではいくのですが、結局はずっと成長することができないのです。

では、なぜ、マネをするだけでは”ホンモノ”になれないのか?

それは、多くの成長できない社長の特徴として共通してもいるのですが、「原理原則」を理解せず、”ウワベ”ばかり同じようにする(だからマネなんですね)だけなのです。

経営のあり方、お店のコンセプトつくり、社員・スタッフ教育の原理原則や本質について、コンサルタントして色々な手段を通して、お伝えしようとしますが、ほとんどの場合聞き入れてもらえず、「手段」ばかりを質問、相談されることが多いのです。

「どんなメニューをいれたらいいですか?」

「どんな販促をしたらいいですか?」

「他の会社で、大入りをだしているので、その方がみんなのやる気があがるのでやろうと思うのですが、どうでしょうか?」

「あの会社で、この業態の調子がいいそうなので、うちもやろうと思うのですが、どうですかね?」

などなど、このような「手段」の相談が多いのです。

「手段」ばかりを大切にされるので、結局、自分の軸(考え)を作り上げることができないのでしょう。

反対に、成長する会社の社長さんは、「手段」についてよりも、例えば、

「ターゲットは、やはり、ペルソナのように絞り込んだ方がいいのですかね?」

「スタッフのやる気を高めるためにも、自主性を高められるような風土にしたいのですが、何かいい方法はありますか?」

などなど、本質的な部分についての質問や本質的な考えをもとにしたところから他社での例を教えてほしいなど、「原理原則」を理解したうえで、その上でどうすべきを相談される人が多いのです。

つまり、自分の軸(考え)を作り上げることが重要だと知っているからこそ、原理原則を大切にされるのでしょう。

ではなぜ、原理原則や本質的な考え方が大切なのか?

それは、原理原則を理解していないと「再現性」が低いからです。

例えば、お店でいえば、原理原則を知らなくとも「たまたま」当たることはあります。しかし、経営を永く続けていくには、「再現性」が必要で、「一発屋」ではダメなのです。

反対に、原理原則を知り、本質的なことを知った上で決断することは、きっと「再現性」が高く、会社や店を成長させることができるのです。

飲食業界は参入障壁が低く、たくさんの方が参入されますが、事業の継続率が非常に低いのはご存じの通り(起業後10年後の生存率は10%だと言われています)。ただ原理原則や本質を大切にせず、「ウワベ」だけをマネしているからこそ再現性も低く、生存率も低いのです。

会社を成長させ、永続させていくためには、やはり「原理原則」「本質」を知ることが大切です。マネをしても構いませんが、なぜ、そのマネしたいものが成果をだしているのかの答えを導き出せないまま、マネをするだけでは、絶対にあなたは成功しないでしょう。

ぜひ、成功したいのであれば、「原理原則」を大切にしてください。

そして、そこから「自分の軸(考え)」を作り上げることを大切にしてください。さらに言えば、「自分の軸」がない社長に、部下は誰もついていきません!