(1)コンセプトの理解率と飲食店の生存率は一致している!
「売れ続ける店」には必ず理由があります。
それは、先日もお伝えしましたが、「原理原則」の基本に従ってお店つくりをしている店です。たとえ、一時的に、例えば、今であればSNSで一時、”バズった”としても、それはあくまで一時的に過ぎず、時が過ぎればまた、元に戻ってしまいます。
数年前、あるご支援先で、
「あの店で、SNSでバズってすごい繁盛しているそうなんです。なので、うちも取り入れてやってみます」
「へえ~すごいですね!でも、うちのターゲット層を考えると、どうなんですかね?バズっているお店と比較すると、ちょっとうちの客層は年齢層が合わないんじゃないですかね?」
とお話ししましたが、自分がせっかく考えたことを否定されたと思ったのか、気分を悪くされたみたいで、色々と話しましたがご理解をいただけず、結局のところ、SNSが得意な人にお願いしてSNS投稿を行いました。
すると、見事バズることに成功しました。当たり前ですが、売上も非常に伸びました。社長としては鼻高々で、すごく自慢されたような気がします。
ただ、来店していたお客様が、本来、狙っているお客様層でなく、これまでの常連客の方からは苦情もあったようです。また、想像以上の来店者でなかなか思うような営業もできないという日もありました。
そんな中、数か月が過ぎると、半年後には客足も止まり、そして、元の売上(SNS投稿前)に戻ってしまいました。。。
原因としては、本来獲得すべき客層よりも年齢層が低く、実際にお店に訪れた人にとっては、「価格は高く」感じ、その方たちがリピートすることが少なかったからです。つまり、自店のターゲット層のボリュームを増やせず、違うターゲット層の集客になったことにより、売上の底上げには繋がらなかったのです。
また、あるご支援先では、コロナ禍の頃、何か対策をしないといけないということで、お店の軒先を改造しスープ店を始めました。
商品にも非常にこだわって、美味しいものができ、宣伝効果もあり最初は行列ができたりなど好評でした。しかしながら、半年後には、ほぼ開店休業状態になってしまいました。
原因は、立地条件が「スープ店」に合っていなかったのです。
基本、スープ店は、衝動来店型のお店です。ですから、店前通行量が重要で人通りがある一定以上ない限り、売上を持続させることは非常に難しいのです。ですが、この店の店前は交通量が減り続けている場所で、某ハンバーガー店も撤退するぐらいの立地なのです。なので、交通量が少ない、人が集まりにくい場所で、衝動来店型のお店を出店しても高い確率で失敗してしまうのです。
大切なのは、この失敗が店つくりの原理原則に沿ってなかったことだと認め、次に活かせればいいのですが、両方の事例とも、なぜ、その原因をスタッフのやる気がなかったとか、人が揃わなかったからと、別の原因に転化してしまったため、結局、このあとも同じような失敗をしていまうようになるのです。
永く飲食店のコンサルタントとして仕事をしていますが、原理原則に乗っ取った店つくり、特に、「コンセプトつくりの重要性」を話しますが、これを理解できる方が、全体の10%ぐらいしかいません。あとの90%の方は、重要だとは分かっていても、本当の意味で理解している人がいないのが現状です。
そして、面白いのが、飲食業の生存率とこの%がほぼ同じということです。
先日もお伝えしましたし、皆さんもご存じのとおり、飲食業の生存率は10%程度であり、くしくも私が感じている、コンセプトの理解度と一致するのです。
やはり、店つくりには原理原則があり、その基本に乗っ取った上での店つくりでないと、やはり、永く売れ続けることは困難なのです。この30年ぐらいを振り返っても、某ステーキ店や某ハンバーグ店、食パンの店などなど、一時は脚光を浴びる店は必ずあります。しかし、これの店は今ほとんどの店が姿を消しているか、規模が縮小してしまっています。
これは考え方次第ですが、飲食店を経営するということは、「永続する」ということも大切なことで、店を出せば、そこで働く人がいるわけですから、その人たちを守るためにも、永くお店を続けることは、私はとても重要だと考えています。
そのためにも、店つくりの基本的な考え方、マーケティングの基本的な考え方をしっかりと学び、原理原則に沿ったうえでの店つくりを行うべきではないでしょうか?
・ターゲットをどう設定すべきか?
・利用動機と立地、そして、消費形態をどう一致させるか?
・その上で、どういったメニュー構成にするのか?、
・どんな接客サービスを現場で実施するか?
・他との違いをどう顧客にアピールするか?
・どこが他店との差別化するか?
・どんな体験がお客様が店でできるか?
最低限、これの質問に沿ってそれぞれを深堀していくことが重要です。
今だに、
美味しい商品さえあればいい。ターゲットなんか関係ない。
利用動機やそんなことより、売ればいい!
などど、言っていては「売れ続ける店」になることは不可能です。
「売れ続ける店」になるためにも、マーケティングの基本的な考え方を学び、そして、それをコンセプト作りに活かせるようにしていきましょう。