本当にその研修と教育、効果がありますか?

店長次第で売上の2~3割が変わる──これは現場の実感でもあり、多くの経営者が同じように感じているはずです。
会社を成長させるうえで「店長をどう育てるか」は最大のテーマのひとつ。そのために、手を変え、品をかえと、店長に色々なアプローチ(外部研修、内部研修や教育)をされていることと思います。
ところが、この10年ほど10店舗前後の飲食企業を支援してきた中で、私が感じるのは、このステージの社員やスタッフに対して一般的に良いとされている研修や教育が、むしろ成果を遠ざけている場面を何度も見てきました。

一般的に行われている研修を実施したりや他社がやっているからと取り入れても、規模や人材層とのギャップが大きく、かえって混乱を招くことがあります。ここでは、「一般的には正しいと思われているけど、10店舗前後の飲食企業においては間違い」な7つを紹介し、その理由を整理しました。

 

 

① 研修・セミナーで知識を習得させても意味がない!──知識を現場で具体的な行動に変換できないから

経営者さんや幹部さんは、外部なり内部の研修を実施する際に求めるのは、一般的な知識を習得させることだと思います。
ただし、それを日常業務に変換するサポートがなければ、店長は学んだ知識を持ち帰っても何をどう実践すればいいのか分からないままなんです!
結果、「いい話を聞いた」で終わってしまい、行動につながらないのです。

例えば原価管理なら「原価率をコントロールせよ」では不十分。
具体的に「この表に毎日の仕入れを入力し、この数字が○%を超えたら仕入れ量を調整する」といった、具体的な方法を共有しないと店長やスタッフの行動は変わらないのです!

つまり、店長に必要なのは知識ではなく“仕事の型(やり方、具体的な方法)”。
経営者側は「知識を得れば自分で考えて応用できる」と思いがちですが、実際の現場ではそこが最も難しい部分です。だからこそ「行動に変換する手引き」がなければ育成効果は出ません。

▼詳しく読む
「店長教育は知識の習得よりも具体的な飲食店の店長としての行動策の共有化が有効!」

 

 

② 店長自身の考えで運営させてはならない!──自分で考えられる人はすでに独立しているから

「店長なのだから、自分で考えて運営してほしい」と願う社長や幹部は多いです。しかし、自分で一から考えて進められる人材は、すでに”独立して自分の店”を持っています
 
現実の店長層は「考えたい気持ちはあるけれど、何をどう考えればいいか分からない」状態。だから期待しても行動に移せないのです!
 
また、「自分でやりたがる人」ほど、実は、基本ができていない人が多く、どちらかと言えば「目が話せない店長」です。こんな人に「店の仕事を任せる」とロクなことはないと思いませんか?
 
つまり、店長育成の第一歩は、店長として、店として「やるべきこと」を店長に考えさせて構築させるのではなく、会社自体が、店長業務や店の仕組み、教育方法などを構築することがとても重要なのです!
  
▼詳しく読む
「任せる前に「守破離」を設計する|できる飲食店の店長を育てる現場の構造改革」

 

 

③ ダメなところを指摘しないままにしてはならない──「このままでいい」と誤解して成長が止まるから

最近の教育風潮として「褒めて伸ばそう」「長所を活かそう」という考え方が主流です。
もちろんこれは大切な視点ですが、それだけでは店長やスタッフは育ちません。
 
現場では「叱られることに慣れていない」社員が多いのも事実です。だからこそ、ただ厳しく接するだけでは反発や不満につながります。
しかし、理由をきちんと説明し、相手の成長を願って伝える“本気の指摘”であれば、厳しさは不満ではなく信頼に変わるのです。
 
むしろ、「何も言われない=このままでいい」と誤解させることが最大のリスク。相手のレベルや性格に応じて、褒める・認めると同時に、改善点は明確に指摘することこそが、本当の意味での育成です。

▼詳しく読む
「『褒めて伸ばす』のみでは弱い|飲食店経営者が使い分けるべき“段階別店長教育術”とは」

 

 

④ アルバイトの初期教育を店長に任せてはならない──初期教育を誤ると離職率が高くなるから

「アルバイトが定着しない」と悩む店は多いですが、その原因の多くは最初の受け入れ方にあります。初期教育を店長任せにすると、店舗ごとに指導の濃さや方向性がバラバラになり、結果として早期離職や低パフォーマンスにつながります。
 
例えばドリンク担当を任せるときも、「なんとなく慣れて」と放置するのと、「1週間後には生3+サワー5を80秒以内」と明確な目標を提示するのとでは、育つスピードに天と地の差が出ます。
 
初期教育は単なるオリエンではなく、成長曲線のカーブを決める一番大事なポイント。標準化されたプログラムを会社として用意することで、離職率が下がり、教育コストも削減できます。

▼詳しく読む
「飲食店のアルバイト離職率が高くなる“本当の理由”」

 

 

⑤ 店長からの提案を期待してはならない!──「どう考えたらいいか」を知らないから

「店長からもっと提案が欲しい」と願う経営者は多いですが、実際に現場で起きているのは、「どう考えたらいいのか分からない」から提案できないという現実です。

決して「やる気がない」「考えたくない」わけではありません。
ただ、提案を組み立てるための思考の順番や型を持っていないため、頭の中で止まってしまっているのです。

だからこそ、店長育成においては「正しい考え方」を学ばせることが必要になります。
 
例えば、商品開発をテーマにして考える場合──

・テーマを決める
・テーマに沿った食材を抽出する
・テーマと食材に沿った料理を考える(もしくは調べる)
・コンセプトに合致するキーワードに沿ったものに変更する
・実際に試食
 
「商品を提案しろ!」というのではなく、このように「商品開発の考え方」をフローにして考え方、進め方をまず教えるのです。これを何度も繰り返すことで、少しずつ「商品開発」ができるようになるのです。
 
つまり、提案が出ないのは能力不足ではなく、考える方法・手段を知らないだけ。ここを誤解して「提案がない=やる気がない」と決めつけてしまうと、せっかくの成長の機会を失ってしまうのです。 
 
▼詳しく読む
「飲食店長から提案がない理由は“考え方”を教えてないから|飲食店経営者が教育すべきプロセスとは」

 

  

⑥ お店の課題設定を店長に任せてはならない!──本当の問題を見抜く視点や“あるべき姿”が分からないから

「店長に課題を考えさせよう」と思っても、実際にやらせてみると現実的には難しいことが多いのです。
例えば、私が支援先の店長に「今の店の問題は?」と質問すると、95%以上の店長が口にするのは、
 
・エアコンが効きにくい
・トイレのドアが壊れている
・椅子が壊れている
・人が集まらない
 
といった設備や採用に関することばかり。つまり、誰でも気づきやすい“ハード面”の話に集中してしまうのです。

一方で、実際に経営や売上に直結するのは、
・提供時間が遅い
・商品のクオリティにバラつきがある
・接客やサービスにムラがある

といったオペレーションやサービス、つまり、「お客様満足度」に関わることです。ところが、こうした“本当に解決すべき問題”を指摘する店長はほとんどいません。
 
なぜかというと、店長は日々の業務に追われ、店全体を俯瞰することが難しいからです。さらに、「理想的な店舗の姿(あるべき姿)」が自分の中に明確に描けていないと、今とのギャップ=課題を見つけることもできません。
 
ですから、課題設定を丸投げするのではなく、経営者や本部が「あるべき姿」を提示し、一緒に課題を整理していくことが必要なのです。
 
▼詳しく読む
「経営者の新ミッション:飲食店長に課題発見を求める前に、仕組みで支える教育設計」

 

 

⑦ 1ヵ月以上チェックせずに任せてはならない!──指示を理解していなかったり全く行動していないことが多いから

指示が現場に伝わっていなかったり、「あれやっといて」と言ったことと全く違うことをやっていたり、そもそも何も動いていないケースも少なくありませんよね?

これにはこんな理由が考えられるのです!

理由①「聞いているフリ」だけで、実は理解していない人が多い
理由② 指示の受け取り方や前提となる「頭の構造」にズレがあるため、思いの疎通ができていない
→ だからこそ、話をしただけでは通用しないのです


こんな状態(指示したことをやらない、あるいは、指示を全くやっていない)になっているかもしれない自社の店舗。にもかかわらず、店長に一度指示を出したまま、そのままチェックせずに1ヵ月も放置する
──こんなこと、できますか?普通、できないはずです。

だからこそ、“チェック”“確認”がものすごく重要。以下のしくみを取り入れましょう!
 
▼ 詳しく読む
「『伝えた』は通用しない|飲食店長育成の成否を分ける“確認文化”のつくり方」

 

 

まとめ

企業の成長ステージによって、店長育成に求められるものはまったく変わります。
一般的に実施されている研修や教育は、大手チェーン店等のスタッフに有効的かもしれませんが、私のこれまでの経験上から言えば、10店舗未満の飲食企業には現実とかけ離れている(現場で活かせない)部分が多いのです
 
実際、10店舗未満の会社では、「数字の理論」や「モチベーション論」も重要なのですが(これはこれで学んでもらう)、それよりもその知識を現場に直結する“現場のやり方(手法、手段)”を学ばせないと、現場で活用することができないのです。
 
だからこそ、世間でよく言われているような研修(特に、意識改革など)を受けても、残念ながら成果につながらないことが多いのです。

私自身、30年近く、10店舗未満の飲食企業を専門にコンサルティングを続けてきました。
 
だからこそ断言できます。“世間一般のやり方”をそのまま取り入れても意味はない。あなたの会社のステージに合った育成をすることこそが、最短の成長ルートなのです。
 
もし「うちの会社に合った育成方法は何だろう?」と感じているなら、ぜひ一度、当社の研修を活用してください。きっと現場で違いを実感していただけるはずです。
  

現場を動かし、成果につながる“行動の型”が店に持ち帰れる。
だから、明日から店長の行動を変えられる研修。それが当社の「飲食店プロ店長育成研修」
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