飲食店のマニュアル作成方法を解説する図解画像。大きく「仕事の習得スピードを上げ、質を落とさない 飲食店のマニュアル作成法」と表示。中央には、マニュアルに必要な3要素として「あるべき状態(ゴール)」「目的(何のために)」「コツ(ポイント)」を紹介。下部では「属人化を防ぐマニュアルの作り方3ステップ」として、「言語化する」「仕事を分解する」「活用まで仕組み化する」の流れを図解している。右側には接客マニュアルや料理マニュアルのサンプルと、スタッフがマニュアルを確認する様子の写真を配置し、「品質とスピードを両立する生きたマニュアル作り」を訴求している。

 

仕事が確実に、スピーディに習得でき、仕事の質が落ちない飲食店のマニュアル作成方法

多店舗展開を進める際、「マニュアルさえ作れば、店の質は維持できるはずだ」と考えていませんか?しかし、多くの経営者様が直面するのは、せっかく時間をかけて作ったマニュアルが現場で使われず、形骸化してしまうという現実です。

その結果、店舗が増えるたびに、接客や料理の品質がバラバラになり、売上が低下してしまう——。本記事では、その根本原因を私の現場経験から解き明かし、属人化を防いで仕事の習得スピードを劇的に上げる「生きたマニュアル」の作り方を徹底解説します。

この記事の執筆者】
中西 敏弘
中西フードビジネス研究所 代表。飲食企業の多店舗展開支援や、人を活かす飲食店経営の仕組み作りを専門とする飲食店経営コンサルタント。
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1:なぜ飲食店にマニュアルが必要か?本来の役割と多店舗展開の課題

 
多くの方が、「多店舗化を進めるにはマニュアルが必要だ」「きちんとした仕事をさせるためにはマニュアルが必要」とマニュアル整備に励みますが、しかしながら、マニュアルを作っただけで、多店舗展開が順調に進んだり、仕事がうまく進むかといえば、そんなことはありません。

  

「なぜ、飲食店にはマニュアルが必要なのでしょう?」

ところで、みなさんはこの質問にきちんとした説明ができますか?

飲食店でマニュアルが必要な理由を解説した図解。本来の役割である仕事の標準化・教育補助に対し、現場で起こる『形骸化』や『質が上がらない』という2つの課題を提示。作っただけで終わらせず活用方法まで仕組み化する『生きたマニュアル』の重要性と解決のポイントを解説

 
通常は、皆で作業内容を統一化し、誰がやっても同じような仕事ができるようにするためにマニュアルは作るはずですよね。ですから、本来は、仕事を教える際の「補助的なツール」になるべきです。

しかし実際には、店に置いてあるだけで、新人社員や新しいアルバイトが入店した際の「読み物」になり、その後マニュアルを使って仕事を深めたり、内容を見直したりすることはほとんどないのが現実でしょう!あるいは、もっとひどい店だと、「あれはマニュアル上ではね…」とマニュアルを全く無視した仕事をしている店もあります。

これでは、せっかく「店の仕事の標準化」をはかるために作ったものが、全く役割を果たしておらず、これなら作らない方がいいでしょう。

さらにもう一つの課題を上げると、「マニュアル通り」に忠実にやったとしても、その行動、仕事の目的等を把握しないで、ただ「マニュアル通り」やってしまうと、作業になってしまい、接客を例にとればお客様を感動させることができず、仕事に弊害をもたらすことも増えてきています。

このようにマニュアルは、本来は多店舗展開を進める上では、とても重要なツールであるにも関わらず、これらの課題があるばかりか、マニュアルというとあまりいいイメージを持たない人が多いのも事実。なぜこのような事態を招いているかというと、作業内容等を「作っただけ」のままにしておくからです。

社内でマニュアルを効果的に活用するためには、単に書面化するだけではなく、「現場でマニュアルの活用方法まで仕組化する」ことを考えた上で作成すれば必ずや「生きたマニュアル」となるでしょう。    

 

 

 

2,マニュアルがあっても品質が下がる原因|料理と接客の「落とし穴」
 

マニュアルを作る際には、先述した通り、「現場でマニュアルの活用方法まで仕組化する」ことを踏まえて作ることが重要だとお伝えしました。

飲食店のマニュアル作成における課題を解説した図解。本来は仕事の標準化や質の低下を防ぐためのマニュアルがあるにも関わらず、いつの間にか『接客の質の低下』『料理の質の低下』『以前できていたことができなくなる』といった問題や、スタッフによる出来栄えのバラつき、クレーム増加が起こる原因を検証。現場での活用方法まで仕組み化することの重要性を提示

 
 

2-1. 料理の品質が低下する根本原因


一般的に、商品マニュアルは多くのお店で「手順」と「分量のみ」が記載された「レシピ」が活用されていると思います。これを活用し、新しい社員やアルバイトに商品つくりを教えていくのですが、どのような教え方をしているかといえば、恐らく「手順」と「分量」のみを教えているはずなんです。

飲食店の料理マニュアルの作り方を解説した図解。レシピの手順と分量だけを教える一般的なマニュアルの問題点として、美味しい状態にする視点が欠け、盛り付けや味の低下に繋がるリスクを提示。品質を落とさないためにマニュアルへ記載すべき3つのポイントとして『あるべき状態(ゴール)』『注意すべきこと』『コツ(ポイント)』を挙げ、これらを教える仕組み作りや店内の加工度を高める重要性を解説

 

しかし、この「教え方」では「教えられた側」は手順と分量のみを覚えようとしてしまい、最も料理で大切な「美味しい状態」で料理を完成させるという視点が欠けているのです。

そのため、手順は覚えていても、いつの間にか盛り付け方が変わってしまったり、最悪の場合、味までも変化してしまうということが起こります。きっとアルバイトは、忙しい営業中ほど、「手順通り作業をすすめる」ことに意識が向いてしまっているため、こういったことが起こるのでしょう。

こういった事態を招かないようにするためには、商品作りを教える際に、

・どういった状態で完成させれば最も美味しい状態なのか(あるべき状態)
・あるべき状態をつくり上げるために何を注意すべきか
・商品を作り上げるためのコツは何なのか

などを丁寧に教えるべきなのですが、実際にはどのお店においても上記のことを踏まえて教える人は皆無に近いでしょう。

つまり、商品の品質が低下してしまうのは、「マニュアルの記載内容」と「教える側のスタッフ」に原因があると言えます。

”商品の品質を落とさない”ことを実現できるマニュアルを作るためには、上記3点のことをマニュアルに記載することが重要であり、この3点をしっかりと「教える」ようなマニュアルの使い方を社内で共有、浸透することが不可欠なのです。

今は、昔のように、「焼くだけ」「チンするだけ」といった料理ではもはやお客様を満足させることはできません。店内の加工度を高めなければ、お客様を満足させることはできなくなってきました。

そのためにも、「教える側」「教わる側」が時間がたっても高い品質が維持でき、また、商品つくりをマスターするスピードもできるだけ短期間で可能なマニュアル作りが必要だと言えるでしょう。

 

 

2-2. 接客の品質を維持できない構造的な問題


接客に関しても同じことが言えます。

飲食店の接客マニュアルの作り方を解説した図解。『いらっしゃいませ』の言い方を例に、語尾を上げて活気を出す、語尾を下げて高級感を出すなどのお店のコンセプトに合わせた『あるべき姿(ゴール)』を設定・共有する重要性を提示。ゴールがない場合の押し問答のリスクを挙げ、接客の品質を維持するために『ゴールの明確化』『スタッフ全員での共有』『新人教育での基準化』が必要であることを解説

 
例えば、この「いらっしゃいませ」という接客用語はどの店でも使っていることばですね。しかし、この言葉の”言い方”がなかなか統一されていないお店が意外に多いはずです。

その理由は、お店としての「”いらっしゃいませ”のあるべき姿(ゴール)」を設定していないからです。「いらっしゃいませ」という簡単な言葉にも言い方はたくさんあります。

・語尾を右肩上がりでいう言い方(活気が出る)
・語尾を下げる言い方(高級感がただよう)
・とりあえず言っているだけ(何も伝わらない)

さらに言えば、お店のコンセプトに合わせた言い方も大切です。もし、元気良さと活気を出したいお店なら、

「できるだけ語尾を上げて大きな声を出していらっしゃいませといい、この一言でお客様が『なんて活気のある感じのいい店なんだ』と感じることが出来る状態」

というように纏めると、「元気良さと活気を出したいお店」のいらっしゃいませの「あるべき姿(ゴール)」として明確になるでしょう。

これを皆で共有できていれば、いらっしゃいませの声がバラバラになったりしませんし、新人さんに教えるときにも「基準」を明確に伝えることができます。

もし、この「ゴール」がない場合、店長とスタッフ間で「いや、言っていますよ」「いや、こっちには全く聞こえない」という押し問答を繰り返すことになります。こうなってしまう原因は、お互いに「ゴール」を共有できていないからです。

※「いらっしゃいませ」を他店より活気良く発声するための取り組み、仕組み化については、こちらをご覧ください>>>

 

 

飲食店のマニュアル作成における『ゴールの共有化』の重要性を解説した図解。ゴールやあるべき姿が曖昧なことで起こる、仕事の仕上がりのマチマチ(クレンリネス、料理の盛り付け、在庫管理、ドリンク提供のタイミングのバラつき)やお客様満足度低下、クレーム増加のリスクを提示。店舗の質が落ちる本当の原因をスタッフの能力不足ではなく『基準がない・共有されていない』という構造的要因とし、ゴール設定からマニュアル化、共有による解決プロセスを解説

 
上記の「いらっしゃいませ」の例だけではなく(例えば、クレンリネスなども)、「ゴール」の共有化ができていない、もしくは、曖昧になっているお店ほど、店の「質」はすぐに低下します。

なぜなら、ゴールが正しく設定されていないため、教える側も正しく伝えられず、やる側も「どこまでやればいいのか、どのようにやればいいのか」という基準が確立されていないため、いつも仕事の仕上がりがマチマチになってしまうからです。  

店の質が落ちてしまうのは、一見すると、スタッフの能力不足という問題として考えられることが多いかもしれませんが、実は会社としてきちんと「基準やあるべき姿(ゴール)」を設定していないこと、また、その「基準やあるべき姿」が共有化されていないことこそが本当の問題なのです。

 

 

 

3,【実践】属人化を防ぐ飲食店マニュアルの作り方3ステップ


マニュアルというのは、本来、店の仕事を標準化、単純化し、店の仕事の質を低下させないようにすることが目的です。
また、当社では、より店の仕事が属人化しないように、さらに言えば、仕事の習得スピードを上げることも目的としたマニュアルを作り、活用しています。

この2つの目的を果たすマニュアルはいかにして作成すべきか? 当社のご支援先で行っている、生きたマニュアルを作るための3ステップをご紹介します。

 

属人化を防ぐ飲食店のマニュアルの作り方3ステップを解説した図解。ステップ1『無意識にやっていることの言語化(振り返る・書き出す・伝える言葉にする)』、ステップ2『仕事を科学する考え方での行動分解と3要素(あるべき姿・目的・コツ)の抽出』、ステップ3『活用方法をセットで仕組み化(教える仕組み・使う仕組み・見直す仕組みの3つの運用ルール)』という、作成・活用・改善のサイクルを回すプロセスを解説

 

ステップ1:まずは、「無意識にやっていること」を言語化する

 
様々な仕事を属人化させず、誰もがマスターでき、そして、誰もがそのスキル習得を短時間で達成するために最も重要なことは、「言語化」することです。なぜなら、「ことば」にできなければ、相手に伝えることができないからですね。「ことば」にできるからこそ、細かな仕事のコツなども教えることができるわけです。

では、「言語化する」ためには、どのようなことが必要なのか?

これは、私が普段のコンサルティングで行っていることを例として説明するのが一番早いでしょう。

 

◆ロールプレイングで、「接客」を言語化する!

先日あるクライアント先で、アルバイトさんを中心とした接客勉強会を行って来ました。テーマは、「無意識な行動を言語化する」です。
勉強会では、ただ単にロールプレイングを行うのではなく、以下のステップで「言葉」を紡ぎ出してもらいました。

飲食店の接客マニュアルの作り方として、ロールプレイングによる『接客の言語化』プロセスを解説した図解。ステップ1『お出迎え等の接客場面を限定し二人一組でロープレを繰り返す』、ステップ2『接客側・お客様役それぞれの視点で良い印象を徹底的に考え意見を出し合う』、ステップ3『出た意見を笑顔でアイコンタクト、明るい声などのポイントとして自分の言葉で文字に書き起こす』という手順を提示。経験値が高い人ほど難しい言語化を仕組み化し、教える技術を高める重要性を解説
  • 接客場面を限定する
    今回は「お出迎え」に指定し、二人一組で何度もロープレを繰り返します。
  • 「良い印象」を徹底的に考える
    接客側・お客様役それぞれが「どうすればお客様に良い印象を与えられるか」を考えながら行動し、お互いに意見を出し合います。
  • 出た意見を「文字」に変換する
    最後はテーブルに付き、出し合った意見を、自分の言葉で紙面に「文字」として書き起こしてもらいました。

出迎えという仕事を普段は何気なく行なっているわけですが、その仕事のポイントを改めて考え、「言語化する」というのは、実は、経験値が高い人ほど難しいようです。昨日も、経験年数の高い店長やスタッフほど苦戦していました。

これが、実は「教えることが下手」ということにも繋がるのです。

 

◆「できる人」ほど、無意識に行動しているから、言語化が難しい!

例えば、接客を教えるにしても、「こんな感じでやって」と言っても、それで接客がうまくなる人は恐らくいないはずです。また、「こんな感じでやって」と伝えることで、クオリティの高い仕事ができるようになるわけがありませんよね。
 

飲食店のマニュアルの作り方を解説した図解。『できる人』ほど無意識に行動しているため言語化が難しく『こんな感じでやって』という感覚的な指導では人が育たない課題を提示。出迎え時のアイコンタクトによる安心感・信頼感の獲得を例に、行動の『意味』や『効果』を言語化することで、全員が同じ基準で行動でき品質が安定するメリットを解説。仕事の質を低下させないマニュアル作りのステップ1『普段無意識に行っていることに気づく』、ステップ2『行動の目的・効果・ポイントを考える』、ステップ3『自分の言葉でことばにする(言語化)』、ステップ4『共有し、伝え、実践・改善していく』の手順を解説

 
「出迎え時に、お客様の目を見て、目線を合わせて話す(アイコンタクト)ことで、お客様に安心感や信頼感を与え、好感度を向上させるんだ。だから、目を見て、そして、最高の笑顔で出迎えてほしい…!」

などと、接客時のポイントと効果等を言葉で分かりやすく伝えなければ、接客の仕事がうまくなるはずがありません。自分が無意識に行なっている行為を、「ことば」で正しく伝えることが、高い品質の仕事を行うことに繋がるのです。

このように、仕事の質を低下させないマニュアル作りの第一歩は、普段「無意識に行っていることを言語化する」ことであり、これがマニュアル作りの第1歩だと言えます。

 

 

 

ステップ2:「仕事を科学する」という考え方で、行動を分解して3要素を抽出する

 
無意識の行動を「言語化」すること。これがマニュアルつくりの第1歩ですが、この「言語化」をさらに確実なものにするためのコツがあります。

それは、必要になる考え方が仕事を「分解する」ということです。

接客を改善するにしても、漠然と接客という「カタマリ」で捉えていては困難です。仕事を「分解」して捉え、「分解した」仕事のそれぞれの「あるべき姿」「目的」「コツ」を抽出すれば、言語化しやすくなります。

これが「仕事を科学する」ということです。

この「仕事を科学する」という考え方を接客サービスのレベルが高いと言われるスターバックスを例にだして分かりやすく説明してみましょう。

 

◆スターバックスの接客を「分解」してみる

私達が接客を行う際には、お客様の流れに沿って仕事(接客)を行います。特に、お客様と接する場面(接点)での対応で、お客様はその店の「接客はいい」あるいは「悪い」と判断されることが多いのです。

スターバックスは、この接点を工夫することで、お客様の印象をよくすることにつなげています。そのひとつひとつの接点を分解して検証してみましょう。  

飲食店の接客マニュアルの作り方を解説した図解。スターバックスの接客を例に、お客様の流れに沿った3つの接点(1.出迎え、2.商品伺い、3.商品提供)を『分解』して検証。各接点の『あるべき状態(ゴール)』『目的(何のために)』『コツ(ポイント)』を整理し、明るい笑顔での挨拶、的確な商品説明での提案、作成中の声がけによる不安解消などを具体化。コミュニケーション重視、安心感・信頼感の提供、3rd Place(サードプレイス)の体現といった接客の特徴と、満足度を高める仕組みを解説

 
まず、出迎え時。
スターバックスは、通常飲食店で使用している「いらっしゃいませ」ということばを使用していません。「こんにちは!」「おはようございます」「こんばんは」ということばを使用しています。

さて、ここからが大切なのですが、なぜ「いらっしゃいませ」ではなく「こんにちは!」ということばを使用するのか?

それは、お客様に親近感を感じてもらいたいためです。「いらっしゃいませ」と声をかければお客様は返答できませんが、「こんにちは!」と声をかければ、コミュニケーションが取れる確率が高まります。これは、スターバックスの店舗コンセプトが「3rd Place」(3番目の場所)であり、リラックスできる場所として活用してもらいたいという考え方から来ています(おそらくです。中西の仮説です)。

また、スターバックスにおいては、各接点、つまり、お客様と会話をする場面では必ず「アイコンタクト」(目線を合わせる)を意識しているように感じます。これは、お客様に安心感と信頼感を与えるためです。目線を合わせて会話することを心がければ、お客様の受ける印象は格段に向上します。  

  

次は、次の接点である「商品伺い」を見てみましょう。
いつも感心するのは、スタッフの「商品知識の高さ」です。この商品知識があることでお客様に「安心感」を与えるとともに、料理の味さえも高める効果があるのです。もし、ここで的確な商品説明ができれば、お客様は食べる前から印象がよく、料理もより美味しく感じるのでしょう。

 

そして、最後の接点の「商品提供」にも工夫があります。
人は「待たされる」ことによってお店の印象が大きく変わってきます。スターバックスは、お客様の「不安感」を少しでも取り除くために、必ず商品作成しているスタッフが「声がけ」をしています。

「ただいま、●●の商品をお作りしています。もう少々お待ちくださいませ」

という「声がけ」を確実に行っています。この「声がけ」によって少し待たせても、お客様を「不快な気持ち」にすることなく、飲食を楽しむことができるのです。
 

このようにスターバックスの接客を「分解」し、各「接点」を詳しく検証してみると、色々な工夫が見られるわけです。上記の例を詳しく見れば、
 

飲食店のマニュアル作成における『必須の3要素』を解説した図解。教える側・学ぶ側の双方に分かりやすくするために必要な、1.あるべき状態(ゴール)の明示、2.目的(何のために)の明確化、3.仕事のコツ(ポイント)の言語化を提示。接客の例(出迎え、席への案内、注文伺い、商品提供)や、商品作成・仕込みの例(材料の準備、下ごしらえ、調理・仕上げ、盛り付け・提供)に沿って仕事を『分解』し、3要素を言語化することで店舗の質が向上する仕組みを解説

    

・何が最高の状態か(あるべき状態)?
・その行動を何のために行っているか(目的)
・その行動をマスターするためには、どんなコツが必要か?

これらが一目瞭然で分かります。
つまり、マニュアルを作る際に必要であると伝えた以下の「必須の3要素」が、教える側にとっても、学ぶ側にとっても分かりやすくなるのです。

① あるべき状態(ゴール)の明示
②目的(何のために)の明確化
③ 仕事のコツ(ポイント)の言語化

今回は、接客を例にだして説明しましたが、商品作成や仕込みの手順を作る際も同じことです。このように、仕事を「分解」し、3要素を言語化することで、店舗の質は向上します。

※下記のように、オペレーション中の仕事内容も言語化すると習得スピードは向上します!

なお、商品マニュアルは、皆動画で作成する会社が増えましたが、注意点があります。
その注意点は、こちらのページで詳しく解説しています。
「教えることを人に預ける前に|人を活かす飲食店経営が避けるべき“動画マニュアルの落とし穴”」

 

 

 

ステップ3:「活用方法」をセットで仕組み化する(運用ルールを作る)

 
最後に、最も重要なのが、作成したマニュアルを「どう使うか」という活用の仕組み作りです。マニュアルを「作っただけ」で終わらせないために、現場では以下の「3つの運用ルール」をセットで導入するといいでしょう。

飲食店のマニュアルの作り方・活用方法を解説した図解。作っただけで終わらせず現場で活かす3つのルールとして、1.マニュアルをトレーニングのチェックリスト(笑顔での挨拶、復唱などの例)として使いその場でフィードバックすること、2.月1回の上書き会議で現場の声を反映し定期的に修正すること、3.評価制度と連動させあるべき状態の達成度や仕事の質を正しく評価し成長に繋げることを提示。書面化だけで終わらせず『作る・使って育てる・見直して更新する・評価につなげる』サイクルで店舗の質を向上させる仕組みを解説


① マニュアルを「トレーニングのチェックリスト」として使う

マニュアルは棚にしまうものではなく、新人教育の際に常に手元に置くものです。「教えた・教わった」で終わらせず、マニュアルに記載した「あるべき状態(ゴール)」が達成できているか、店長や教育担当者がその場でチェックし、合否を出す仕組みを作ります。
 

②「現場のズレ」を定期的に修正する”上書き”会議

現場では、時間が経つと自己流が混ざり、少しずつ質が低下します。そこで、定期的にマニュアルを見直す場を設けます。「もっと効率の良いコツが見つかった」「この手順は今の現場に合わない」といった現場の声を反映させ、マニュアルを常に「最新の正解」にアップデートし続ける仕組みです。
  

③ 「マニュアル=評価制度」との連動

ただマニュアル通りにやることを強いるのではなく、マニュアルにある「あるべき状態」ができている人を正しく評価する仕組みを作ります。仕事の質(クオリティ)や習得スピードを評価の項目に入れることで、スタッフも「マニュアルをマスターすることが自分の成長と報酬につながる」と実感でき、自ら意欲的に取り組むようになります。

  

単に書面化するだけではなく、このように「現場でどのようにマニュアルを使って教育し、評価するのか」という運用のルールまでをセットで設計して初めて、マニュアルは形骸化せず、現場で「生きる」ものになるのです。

 

★「活用方法」をセットで仕組み化した例

飲食店のクレンリネス改善・マニュアル作成の事例として『クレンリネスチェック表』を解説した図解。店舗内の『どこを・どこまで・どう綺麗にするか』の基準を明確にし、入り口、ホール、トイレ、調理場、ドリンク場、洗い場などの場所ごとに1から3の評価基準でチェックする評価表を提示。目的である『スタッフ全員での基準共有と質の低下防止』を挙げ、具体的な使い方の流れとして『ゴールを確認する』『チェックする』『課題を共有する』『改善・実行する』『継続チェックする』の手順を解説

   

飲食店の接客マニュアル・サービスストーリーの作り方を解説した図解。接客方法を共有化し接点ごとのゴール(あるべき姿)を明確にする仕組みを提示。左側にはお出迎え、おしぼり提供、注文伺い、料理・ドリンク提供、中間サービス、お会計、お見送りという7つの接点と『ワクワクするなぁ』『丁寧だな』などのお客様に思ってもらえるゴールの具体例を一覧で掲載。右側には目的である『接客方法の共有化』『接客の質を統一』『お客様満足度の向上』『店舗の価値向上(売上・リピート・口コミへの貢献)』を解説

 

  

 

まとめ:マニュアルは「人を活かす」ための土台である

 
いかがでしたでしょうか。 マニュアル作りで最も大切なのは、単に手順を書き出すことではなく、その裏側にある「意図」や「コツ」を言語化し、現場のスタッフが迷いなく動ける状態を作ることです。

「マニュアルを作ると、スタッフがロボットのようになってしまうのではないか?」と懸念される経営者の方もいらっしゃいます。しかし、実際は逆です。

基準(あるべき姿)が明確になり、仕事の目的を理解しているからこそ、スタッフは自信を持って動くことができ、そこから「もっとお客様を喜ばせるには?」という、その人らしいサービスが生まれます。これこそが、私が提唱する「人を活かす経営」の根幹です。

多店舗展開を進め、さらに上を目指していくためには、社長や店長の「感覚」を、誰もが再現できる「仕組み」へと昇華させなければなりません。

「作ったけれど使われていないマニュアルがある」 「店舗が増えてから、明らかに質が落ちてしまった」 「現場の教育をスピードアップさせたい」

もし、今のマニュアルに限界を感じているのであれば、一度マニュアルを「科学」してみることから始めてみてください。それが、強い組織を作る第一歩となります。

 

 

  

※戦略策定から現場の仕組み作り、評価制度構築までをワンストップで支援する飲食店コンサルティングの全メニューはこちら>>>>