持続的な多店舗展開の推進のために、「人を活かす飲食店経営」がおすすめ

当社は、数多くの飲食店に関わる中で、「人を活かす飲食店経営」の実現を支援してきました。飲食店の多店舗化を進める経営者にとって、やがて避けられないのが“多店舗展開”という次のステージです。

しかし、ただ店舗数を増やすだけでは長続きしません。持続的に多店舗展開を進めるためには、“人を活かす経営”という考え方が欠かせないと私は考えています。
 
私自身がなぜ「人を活かす飲食店経営」を志すようになったのか──その背景については、こちらで詳しく紹介していますのでぜひご覧ください。
👉「飲食店 多店舗展開を成功させる方法|経営者の“思い”と人を活かす仕組み」

 

人を活かす飲食店経営とは?|多店舗展開を持続的に進めるために

「人を活かす」とは、「人の成長を促すこと」です。
だからこそ、一番の財産である“人”を経営の中心に据えることが、会社づくりの出発点になります。
 
経営の中心に人を置くとは、単に“人を大事にする”という言葉だけではありません。スタッフ一人ひとりがイキイキと働き、ワクワクしながら挑戦できる環境をつくることです。人が成長し、現場が変われば、売上や利益は“あとから必ずついてくる”。この順番を決して間違えてはいけません。
 
私が数多くの現場を見てきて実感しているのは、人が育った会社は必ず強くなる、ということです。小手先の販促や一時的な仕組みでは続きません。しかし、人を活かす仕組みを持った会社は、どんな環境変化にも揺るがず、持続的に成長していきます。
 
そして、その取り組みを支える土台が「理念」です。理念なき経営は、いくら数字を追っても長くは続きません。理念を追求し、全員で共有することで、人の成長は会社の成長と重なり、組織に一体感と推進力を生み出します。
 
つまり、「人を活かす飲食店経営」とは、次の3つの経営を進めることです。
 

1:理念経営

存在意義を明確にし、利益だけでなく社会的使命を果たす会社。理念があるから判断がぶれず、社員の心も一つになる。
 

2:人の成長を主眼にした経営

人を育て、人を輝かせる。人が育てば、現場は必ず強くなり、会社も伸びていく。
 

3:永続経営

その場しのぎではなく、未来を見据えて続いていく経営。次の世代まで成長を受け渡せる会社こそ、本物の経営です。

 
 

人を活かす飲食店経営のメリット|多店舗展開を成功に導く力

「人を活かす経営」は、単なる“良いことをやっている”という自己満足ではありません。むしろ、人を活かす経営は、多店舗展開を持続的に進めるための最大の武器になります。人を大切にし、その成長を促す取り組みは、必ず会社の成果に跳ね返ってきます。時間はかかっても、現場の力が積み重なることで、売上や利益といった数字にも直結していきます。
 
では、実際にどんなメリットがあるのかを整理してみましょう。
 

1,スタッフのパフォーマンス向上と定着率アップ

人を活かす経営では、スタッフ一人ひとりの強みや個性を尊重し、それを活かせる環境を整えます。自分の持ち味を発揮できることで仕事へのモチベーションが高まり、自然とサービス品質や生産性が向上していきます。さらに、ただ評価されるだけでなく「自分は大切にされている」と感じられることで、会社への信頼や愛着が深まり、離職を考える理由が少なくなります。結果として、経験を積んだスタッフが長く働き続け、チーム全体の力が安定して発揮されるようになるのです。

 

2,顧客満足度の向上とリピーター獲得

人を活かす経営では、スタッフがやる気を持って働くようになることで、単なる接客の質だけでなく、店舗全体のサービス水準が高まります。積極的な意見や改善提案が出やすくなり、商品やメニュー、オペレーションにもプラスの変化が生まれます。結果として、お客様は「居心地がいい」「料理が安定して美味しい」「スタッフの対応が温かい」といった総合的な満足を感じるようになります。こうした体験は「また来たい」という気持ちを強め、リピーターの増加や口コミによる新規顧客の獲得につながっていくのです。

 

3,経営の安定と成長

人を活かす経営では、理念の共有や教育によって、スタッフが「何を大切にすべきか」を理解し、自ら考えて行動できるようになります。これにより、指示待ちに頼らない主体的な人材が育ち、店舗運営は安定します。さらに、仕組みを整えることでサービスやオペレーションが標準化され、どの店舗でも一定の成果を出せるようになります。人の成長と仕組みの定着、この両輪がそろうことで、会社全体が持続的に成長していく力を手に入れるのです。

 

4,採用活動の優位性

人を活かす経営を実践している会社は、「人を大切にしている」という評判そのものが最高の採用広告になります。スタッフがイキイキ働いている姿は社外にも自然と伝わり、「あの会社で働きたい」と思う人材を惹きつけます。深刻な人材不足の時代においても、こうした評判は他社にはない強みとなり、質の高い人材が集まりやすくなります。さらに、働く側から選ばれる会社になることで、採用コストを抑えつつ、会社の価値観に共感するスタッフを採用できるため、結果として定着率の高さにもつながり、他社との差別化を実現できます。

 

  

  

   
  

「人を活かす経営」に対する誤解

一方で、飲食店の多店舗展開を目指す経営者ほど、誤解しているのが次の点です。

「人を活かす経営をやっても、すぐに売上は上がらないのでは?」

これは半分正解であり、半分誤解です。

確かに、取り組みを始めて1〜2か月で数字が劇的に変わることはありません。
しかし、人を活かす経営の本質は「教育」「仕組みづくり」「店舗改善」といった基盤整備にあり、これらはすべて最終的には売上アップにつながります
 

教育…数値管理やマネジメント、アルバイト教育など、現場で役立つスキルを学び、成果を出すための力をつける。スタッフが成功体験を積むことで、自信が育ち、さらに成長が加速する。

仕組みづくり…働きやすい環境や改善サイクルを整えることで、継続的に成果を出せる状態をつくる。属人的で不安定なやり方から脱却できる。

店舗改善…現場での小さな改善を積み重ねることで、売上や利益に直結する具体的な成果が生まれる。

 
特に、教育に関しては「売上アップ」に繋がるものでなければ意味がありません。スタッフ一人ひとりにとって最も実感しやすい成果は“数字としての結果”だからです。自分の取り組みが売上や利益に跳ね返ったとき、「やればできる」という強烈な成功体験になり、次の挑戦への意欲と自信につながります。
 
また、成果は数字だけではありません。新人アルバイトが接客でお客様に褒められたとき、スタッフがリーダーとして仲間をまとめられるようになったとき──こうした小さな成長の手応えもまた、本人にとっては大きな成功体験です。人を活かす経営では、この“人の成長を肌で感じられる瞬間”が数多く積み重なり、それが現場の活気を生み出します。

つまり、売上という分かりやすい成果と、人の成長という目に見えにくい成果、その両方が必ず「結果」として現れます。人を活かす経営とは、この両方を着実に積み重ねることで、会社の安定と成長を実現する経営なのです。

  

 

人を活かす飲食店経営を多店舗展開の成果につなげるためには?

しかし、すべての会社で自動的に売上に繋がるわけではありません!

基盤づくりをしながら売上アップを図ろうとしているのに、その意味を理解していない経営者の場合、せっかくの時間や労力が無駄になってしまいます。

というのも、こうした経営者の特徴は「目先の売上」を追うばかりで、すぐに結果を求めがちなことです。もちろん、経営において売上は極めて重要な要素ですが、そこだけを見ていると、結局は永遠に「売上」という短期的な数字を追い続けることになります。そして、そうした経営者ほど小手先の販促やキャンペーンに依存し、教育や仕組みづくりといった本質的な投資を軽視しがちです。

しかし、教育や仕組みをつくることはすべて「売上アップ」のためです。
これらが社内に浸透すればするほど、その効果は確実に売上に跳ね返ってきます。それでも待てずに途中でやめてしまう経営者を、私は本当に数多く見てきました。そういう会社は、結局「基盤が育たないまま、売上に一喜一憂する」という同じ失敗を何度も繰り返してしまうのです。

すぐには売上は上がりません!

しかし、少なくとも6か月ほど経営者が本気になって学びや仕組みづくりに取り組み、社員も皆で同じ方向を向いて努力すれば、必ず結果に繋がります。短期的に一喜一憂するのではなく、中期的に腰を据えて取り組む覚悟こそが、成長を実現するカギとなるのです。

結論として、「人を活かす経営は売上が上がらない」というのはウソです。
正しく取り組めば、人の成長と仕組みの浸透が必ず成果を生み出し、売上にも大きく反映されます。むしろ、人を活かす経営こそが、持続的に売上を伸ばす唯一の道なのです。

  

  

  

飲食店の多店舗展開を支える「人を活かす経営」の具体的な取り組み

①人(個)を活かす多店舗化ための必要条件

   
飲食店を多店舗化するとき、ただ同じ店を増やすだけでは「個性」が埋もれてしまいがちです。
動画では、一店ごとの個性を大切にしながら、組織としての最低限のルールや判断基準を整える方法を解説しています。

マニュアルを作り込みすぎて現場の自由度を奪うのではなく、基準を明確にすることで、スタッフの自律性を保ちながら安定した店舗展開を実現する考え方を学べます。

 

②理念を現場に浸透させる方法

   
理念は作っただけでは意味がなく、現場の一人ひとりが日常の仕事で活かせる状態になって初めて力を発揮します。

この動画では、アルバイトスタッフまで含めて理念を浸透させる具体的な手法を紹介。

現場で繰り返し使える言葉の落とし込み方や、日常業務に理念を結びつける仕組みづくりを学ぶことで、組織全体が同じ方向に進む土台を築けます。

 

③飲食店社員向け勉強会カリキュラムの考え方

   
多くの現場では「知識がないから行動に移せない」という課題があります。基礎知識や判断基準がなければ、スタッフは何をどう改善すべきか分からず、結果として行動が止まってしまうのです。

この動画では、社員が必要な知識を学び、それを実際の現場で行動に結びつけるための勉強会設計のポイントを解説。数値管理や改善提案をテーマにする方法、学んだことを小さく実践させて成功体験に繋げる方法など、教育を“結果につなげる”実践的な工夫を紹介しています。

 

④社員・アルバイトを規則だけで動かそうとしていませんか?

  
人、店が増えてくると、「組織」として機能させるために、様々なルール(規則)を作ります。ただ、組織がまだまだ未熟なときは、なかなか「ルールを守る」という習慣、風土がなく、苦心されている方も多いかと思います。
 
そんなとき、規則を守らせるためによくやることが、「懲罰(罰則)で縛る」ということ。
 
罰則があることで、規則を守らせたり、様々なことへの抑止力につなげたいと考えるようですが、僕の経験上、意外に上手くいっている会社は少ないかなと感じています。
 
罰則も大切ですが、僕は組織が拡大、成長していくためには、それよりももっと大切なことがあると考えています。
 
ここでは、上司の部下への接し方のあり方を考えていただく内容です。

 

⑤評価制度を上手く機能させる方法

  
評価制度は「作れば終わり」ではなく、納得感を持って運用されて初めて意味があるものです。
動画では、社員の不満が出にくく、現場で定着する評価制度の設計ポイントを紹介。

評価基準のつくり方から、実際の運用フロー、面談での伝え方まで、評価が“人の成長”と“会社の成果”の両方につながる仕組みを具体的に解説しています。

 

 

まとめ

「人を活かす飲食店経営」とは、単なる理想論ではなく、理念・人の成長・仕組みづくりを土台にした実践的な経営のあり方です。
 
短期的な売上に一喜一憂するのではなく、人を育てる基盤を整えることで、必ず“売上”という数字の成果と、“人の成長”という見えにくい成果の両方が現れます。これこそが、持続的に会社を成長させる唯一の道です。

本ページで紹介したメリットや誤解の解消を踏まえつつ、次に大切なのは「実際にどのような取り組みを行うか」を知ることです。人を活かす経営は、飲食店が多店舗展開を持続的に進めるうえで最も有効なアプローチの一つです。

動画では、ご支援先で実践してきた具体的な事例を取り上げています。ぜひ参考にして、自社に合った形で取り入れてみてください。