(5)事務作業が苦手な人で、成功している社長はいない!
今回のポイントは、他の人があまり言わないことですが、私自身、たくさんのご支援先を見てきて、成長しない会社の社長の大きな特徴だと考えていることです。
それは、「事務作業が苦手(嫌い)」ということです。
また、あまりじっと座っているのが好きではないというのもこのような人たちの特徴のひとつあり、さらに言えば、「現場に入りたがる」のもこのような社長さんに共通することでもあります。
現場に入ることは決して悪いことではないのですが、実は、「社長として何をしていいか分からない」から現場に入るという方が多いように感じています。
つまり、「事務作業が苦手」という人ほど、社長としての役割や業務を果たせていない人が多いということなのです。
15年前ぐらいのことですが、5店舗ぐらいに店が増えてきて、今後店を増やしていくにあたって、これからどうすればいいか分からないということで当社に支援をご依頼されてきた方がいらっしゃいました。
店舗の仕組つくりや従業員の教育などの支援も行いましたが、実のところ、一番の悩みは、「社長として何をしていいか分からない」ということだったと思います。
この方は、創業時は自らキッチンに立ちながら店の陣頭指揮をとり、少しずつお店を増やしてきた、叩き上げの社長さんでした。しかし、ある程度人が揃ってきたところで、店に立つ必要もなくなり、何をしていいか分からなくなったそうです。
なので、忙しい日や人が足りない日は店に入りますが、それ以外は、お客様とゴルフに行って交流を深めて、その後、店を利用してもらう、なんて日々を送ることが多いようでした。
そこで、まずは、店舗の管理の仕組みを作り、店長との面談やメニュー開発の方法、各種ミーティングの進め方などをレクチャーし、また、定期的に社員評価を行ったり、年に1度は経営計画を立てるために、その考え方を学んでいただいたり、経営計画発表会のやり方なども指導させていただきました。
すると、どんどん仕事が増えてきて、2年後ぐらいには、
「もう、ゴルフなんかやっている暇なんかないですわ。お客様との交流も大切ですが、社員との時間を作ってあげる方がもっと重要です」
とすっかり社長業が板についてきた感じでした。
本来は、社長として自分が何をすべきかを自分で考えて、様々な業務に当たってほしいとことですが、もしも何をしていいか分からなければ、誰かに聞くといったことが必要でしょう。
組織には、それぞれ役割があります。
社長には社長の。No.2にはNo.2の。部長には部長の。
店長には店長の役割があります。
それぞれが、自分の仕事の役割を果たしていかないと店の業績は上がりませんし、もちろん、会社の業績も上がりません。
ただ、皆、その役割を担うのは初めてのことが多いため、部下に対しては、「君の役割はこうだよ」「君の責任はこの役割を果たすことだよ」「この仕事を確実に行うのが君の仕事だよ」などのように、「やるべきこと」を提示してあげる必要があるのです。
でないと、部下は何をしていいか分からず、結局、役割も責任も意識しないまま仕事を日々進めるので、責任感のない仕事をするようになってしまうのです。
こういった会社ほど、トップである社長が、社長としての役割、業務を意識せず、ただ、目先のことばかり気にしすぎて日々を送られているように感じます。だから、会社としては成長しないんですよね?
社長として、この会社をどこに導いていくべきか?
1年先、3年先、5年先、どのような会社にしていくべきか?
自社を冷静に見極め、未来を見ながら、自社の長所を伸ばすべきか。
弱点を補強すべきか?
それを考え皆に示していくのは、会社のトップである社長しかできないのです。
この役割を認識せず、目先の売上や環境ばかり考えていて、会社を成長させられるわけがありません。
さて、あなたは、社長の役割を果たせていると思いますか?