

多くの飲食店の経営者さんが「叱る」ことや「厳しく指導する」ことを怖がり、言いたいことも言えず、「どうやって社員を教育すべきか」と悩んでいる
「ほめて伸ばそう」「長所を伸ばそう」というのが、最近の風潮。
今の時代の飲食店の社員さんは、小さい頃から「怒られる」ことに慣れていないため、厳しくするよりも、褒めて伸ばそうという考えの人がほとんど。
逆に、「指摘」したり、「厳しく」接したりすると、すぐに不平不満を言ったり、最悪の場合は辞めてしまうということが起こっているようです。
こういう背景もあり、多くの飲食店の経営者さんが「叱る」ことや「厳しく指導する」ことを怖がり、言いたいことも言えず、「どうやって社員を教育・指導すべきか」と悩んでいる方が多いように感じています。
相手に合わせて、厳しく教育・指導することも必要
確かに、私の感覚的にも、叱るまではしませんが、社員に「厳しく」指摘したりすると、こちらの言うことに全く聞く耳を貸さなかったり、ひねくれて何もしなくなるというスタッフもいます。
しかし、こういう社員は、そもそも仮に「褒めた」としても、結局は指摘したことを守ったり、言われたことを素直に受け止めるとは思えないのです。(実際に、「褒めた」としても人の意見を素直に聞き入れない社員はたくさんいます)
やはり、”できる”社員は、こちらが真剣に指摘したり、相手のことを考えて厳しく言ったりしたとしても、それを素直に受け止めて、行動したり、自分の行動を変えようとします。
つまり、すべての人に対して「褒める」「厳しくする」のではなく、相手の「階層」(スキル、経験、意欲など)に併せて、教育・指導方法を変えることが重要だと思うのです。
「262の法則」に従った社員教育・指導を実施しよう!
組織論で「262の法則」というのがあります。
2割の意欲の高い社員。6割の普通の社員。そして、最後の2割は、意欲の低い(スキルが足りない、仕事ができない)社員に、どんな組織(飲食店)でも別れてしまう。そして、それぞれに対して適した対応が重要である、というもの。
きっと、この最後の2割の「意欲のない社員」は、色々な面で課題があり、この社員へどういった教育・指導するのかを課題にされている会社(飲食店)は多いのではないかと思います。
私は、この262の法則を活用し、各階層を下記のように定義付けています。
・2割の意欲の高い社員
・・・「指示がなくとも行動できる」
・6割の普通の社員(上記層に近い人)
・・・「指示があれば、継続して、行動できる」
・6割の普通の社員(下記層に近い)
・・・「できることはできるが、指示がないとやらない人、継続できない人」
・下部の2割の意欲の低い社員
・・・「指示したこともできない、ルールさえも守れない」
下部の2割の社員に対しての教育・指導方法と接し方
このように、下部の2割の社員というのは、基本的に「自分勝手」でルールや決めごとを守らない傾向が強いのです。また、にもかかわらず、自分では「できている」と思っている社員が結構多いのも厄介なところです。
なので、こういった社員には、ある程度厳しく教育・指導し、ルールを守らせたり、決めごとをしっかり順守させることが重要であり、ルールを守らないことに対してこちら側が何も反応しないと、かえって、言い方が悪いですが、つけあがってより”悪い態度”を助長させる傾向が強いのです。
もし、何も指導しないと、”組織が組織(飲食店が飲食店)として機能しなくなる”きっかけにもなりますから、この層は「辞めても仕方ない」と思って対応することが大切ではないでしょうか?また、厳しい言い方になりますが、そもそも「できない」社員であるため、たとえ辞められても組織的には何も支障もないでしょう。
しっかりと向き合って社員と接することが重要
そして、それ以外の社員には、もちろん言い方や指導方法を考える必要がありますが、私自身としては、相手のことを本当に思って、昭和的かもしれませんが、「こころ」で向き合って接すれば、ある程度厳しく教育・指導しても「分かってもらえる」率は高いと感じています。
冒頭にも書きましたが、確かに、最近の子は、小さい頃から「叱られる」ことがなく「叱られる」ことに慣れていない側面はありますが、しっかりとした理由があり(内容をしっかり説明することが大切)、本人のことを思った指摘であれば、厳しい指導も受け入れる要素はあると思います。
これは私の過信かもしれませんが、そういった教育・指導を待っている社員もいるのでは、と思います。
要は、相手のスキルや性格に合わせて指導することが大切で、世間の風潮を恐れて、通り一遍な社員の教育・指導をすることが最も良くないことなのです。