「理念・クレドの暗記」と「毎日の朝礼での唱和」。これがコンサルティングの最初に行うこと!

私が飲食店のコンサルティングを始めるとき、まず最初にお願いしているのが、会社の「あり方」を明確にすることです。そして、その「あり方」をスタッフ全員で共有し、日々の業務に落とし込んでいきます。

そのための最初のステップとして、すべてのクライアントに必ず課すことがあります。それは、「理念・クレドの暗記」と「毎日の朝礼での唱和」です。

多くの経営者さんが「理念は作ったものの、現場に浸透しない」という悩みを抱えています。その一番の原因は、スタッフが理念に“触れる”機会が少ないこと。そもそも、理念を覚えていなければ、それに沿った行動はできません。

 

3つの店舗で分かれた明暗

実はこの「暗記」と「唱和」を徹底してもらったあるご支援先で、私自身も驚くような結果が出たんです。
 
その会社には3店舗ありました。同じように「理念の暗記」と「朝礼での唱和」を課題に設定しました。
 
・A店:社員スタッフ全員(約5名)が3日以内に理念を暗記し、毎日の唱和を開始。
・B店:暗記に約1ヶ月かかり、その後ようやく唱和を始めました。
・C店:「面倒だ」「意味がない」とは言わないものの、誰も暗記しようとせず、唱和も実施しませんでした。

※理念とクレドは合わせてA4用紙1枚、約300字ほどの量があり、暗記するにはそれなりの努力が必要です。

 

3ヶ月後、数字に表れた驚くべき変化

それから3ヶ月後、3店舗に大きな変化が起こりました。

・A店:特別な新しい施策は何も行っていないのに、売上が20%もアップしたのです。
・B店:売上もスタッフの動きも、何も変化がありませんでした。
・C店:社員が一人、また一人と退職を希望するようになり、もちろん売上が上がることもありませんでした。

この結果には、私自身も本当に驚きました。特にA店は、新しい販促やメニュー開発もしていないのに、なぜ売上が上がったのか?

その会社の理念・クレドには、お客様への姿勢、仕事への考え方、商品へのこだわりが記されていました。これを毎日声に出して唱和することで、スタッフは無意識のうちに、お客様視点での行動や商品に対する想いを深めていったのではないでしょうか。その結果、お店の質が上がり、お客様の満足度が向上し、それが最終的に売上アップに繋がったのだと想像しています。

 

永続的な成長のために、今こそ「アナログな努力」を

この経験から、私はどのご支援先でも、この事例を話すようにしています。そして「暗記」と「唱和」を確実に実行していただいた会社は、例外なく良い結果を出されています

スタッフにとっては、暗記も唱和も、正直面倒なことかもしれません。「もっと売上が上がる方法を教えてくれ」と思う人もいるでしょう。しかし、会社の基本的な考え方、仕事のやり方、お客様への向き合い方を理解せずに、表面的なテクニックだけを真似しても、一時的な成果しか得られません
 
 
なぜなら、お客様は「心がこもっていない」ことに気づいてしまうからです。
 
 
理念・クレドの重要性を最も理解しているのは経営者さんです。しかし、スタッフの反発を恐れて、この一歩を踏み出せない方もいます。
 
ですが、永続的に売上を伸ばし、会社を成長させたいのであれば、チーム全員で軸となる「考え」を共有することは不可欠です。それがなければ、たとえ一時的に売上が上がっても長続きせず、強いチームをつくることも難しいでしょう。
 
 
理念の浸透に悩んでいるなら、まずはこのアナログな「暗記」と「唱和」から始めてみませんか?