(10)「営業中に求められる仕事やスキル」を言語化する!
アルバイト、パートの教育・指導を日々行っていると思いますが、彼ら、彼女らを確実に言葉は悪いですが、「使える状態」にするためには、どんなことを教育すればいいのでしょうか?
まず、入店後に教えることと言えば、ホールであれば、注文の取り方、お出迎えの方法、料理提供の仕方などなどでしょう。そして、キッチンであれば、料理の作り方から学ぶことでしょう。
さて、ホールであれば”接客のやり方”、キッチンであれば”料理の作り方”を教えれば、アルバイト・パートは、もう「一人の戦力として使える状態」になるのでしょうか?
なるわけないですよね?
なぜなら、単に、注文の取り方や料理の提供ができるといっても、それだけでは営業中には、役に立たず、他者との連携や、同時にお客様から呼ばれた時の対応、仕事が複数重なったときの優先順位を考えながらひとつひとつこなすこと、など「営業中に求められる仕事やスキル」が必要だからで、これらのことができるようにならないと実際には現場で「使える状態」にはならないからです。
しかし、実際にはこれらの仕事を教えている人がいないのが現実!
きっと多くの場合、「指示」で相手を動かし、そして、この辺りを感覚的にできる人が、「一人の戦力として使える状態」になっているはず。
つまり、実は、アルバイトの教育というのは、初期的なこと(注文伺いや料理提供など)しか、教えておらず、あとは、アルバイト・パートさんの能力次第というのが現実で、今、お店で戦力になっているアルバイト・パートさんの多くは、「育てた」ではなく、「育った」というのが現実なのです。
では、なぜ、先ほどの「営業中に求められる仕事やスキル」を教えることができないかと言えば、これは以前にも言及しましたが、各人が「無意識」に行っているからであり、ここを「言語化」できれば、アルバイト・パートさんにも伝えることができるはずです。
そこで、私のご支援先には、数年前から、この「営業中に求められる仕事やスキル」を言語化したツールを作成し、このツールをもとにアルバイト・パートさんへ指導するようにしていただきました。
すると、「教える側」は何を教えるべきかが明確になりますし、また、反対に、「教わる側」も何を教わるべきか、また、自分が仕事を上達するためには何をマスターすべきかも明確になりました。
さて、このツールをどう作成するかですが、まずは、キッチン、ホールともポジションを確立します。
これもアルバイト・パート教育をスムーズに行うポイントになるのですが、例えば、キッチンは図らずともポジションが決まります。ストーブ前とか揚場とか刺し場とか焼き場とか、厨房機器があるところが必然的に調理の役割になるので、それがポジションになります。なので、各ポジションで作るべき料理は決まってきますし、他のポジションとの連携も必然的に決まります。
しかし、ホールは、デシャップと案内係(アテンダー)ぐらいは設けているかもしれませんが、他は「他の大勢」という感じで、それぞれの役割があるようでない店が多いのではないでしょうか?
そうすると、デシャップと案内係以外は、各々の感覚で動くことが多くなり、だからこそ、「営業中に求められる仕事やスキル」を言語化するのが非常に難しいのです。そこで、ホール(デシャップと案内係以外)にも、基本的にはテーブルごとに大まかな担当を作ると、それぞれの役割や仕事を確立することができます。
そして、それぞれのポジションの大幅や仕事の項目をまず作ります。
私は大谷翔平が高校時代に作った「マンダラシート」を使うことが多いので、この「マンダラシート」を各ポジションごとに作成し、その真ん中に各ポジションに必要な仕事の項目、例えば、「連携」とか「フォロー」とか「指示だし」を記入します。そして、「連携」という仕事やそのコツポイントを抽出していくのです。
こうやってポジションごとの「マンダラシート」を作成して、先述したように、これをもとに教育していくと、「教え漏れ」がなくなりますし、また、アルバイト・パートの努力の方向性も示せるようになります。
さらに言えば、この「マンダラシート」をもとに、アルバイト・パート評価表にも活用していきます。
昔の評価表は、「いらっしゃいませ」が言えたらOKとか、注文が取れたらOKとかが多かったのですが、それでは評価と現実と違うことがただ起きるのです。ですが、この「マンダラシート」をもとにした評価表は、現場レベルの動きを評価に反映することができるので、より効果的な評価をすることも可能になります。
正直、このツールを構築するのは非常に骨が折れる作業なのですが、一度作ってしまえば、その後の教育・指導は本当に楽になります。
そして、スタッフも感覚で仕事をするのではなく、「ことば」で指導することができるので、アルバイト・パート、または、新しく入ってくる社員の教育にも効果的に指導できます。
ちょっとこのツールに興味をもった方は、ぜひ、私までご連絡を(笑)!