(6)流行りの業態に手を出さない!
飲食業界の特徴のひとつに、「参入障壁が低い」ということがありますが、その一つの要因は、マネをすることである程度の売上を確保できるということがあると思います。
正直、マネをするだけでは、「売れ続ける」ことができないので、マネをしても何の得もないのにと私自身思っています。
また、単にマネをするだけで売上に繋がらないのは、「お客様から見たときに、違いが分からない」からです。
目新しい業態は、最初は、お客様にとってとても新鮮なので皆から注目を浴びます。たくさんのお客様を集め、話題になると、「おっ、これうちでもやればいいなあ」と、似たような店を作る人がでてきます。これが、各所に広がって、多くの人が似たような店をやることで、似たような店がたくさん増えます。
最初は、優位性がありたくさんのお客様をお集めますが、どんどん競合が増えることで、その波に揉まれ、優位性がなくなって売上も徐々に下降気味になります。この状態を「コモディティ化」というのですが、つまり、日常化した、ありふれたものになった、ということです。
飲食業界では、常にこれを繰り返しているように思います。
一時は流行りますが、時が過ぎるとともに下火になり、そのままフェードアウトする。この30年を振り返っても、「そういえば、一時流行ったね」という業態、業種がたくさんありました。
ふと思いつくだけでも、
もつ鍋、ジンギスカン、郊外型ハンバーグ店、タピオカ、食パン、からあげ、などなど・・・・
まだ、他にもあったと思います。
この中では、ブームで終わったものもあれば、定着したものもあります。
例えば、もつ鍋は、私がコンサルタントを始めた1990年代後半に関東では、居酒屋で非常に流行ったのですが、2年ぐらいで下火になりましたが、その後、「もつ鍋」という業種の店で復活し、ある程度定着したといえる業態になりました。
ただ、結局は多くの流行りの業態は、「一発屋」であり、永くは続かないことを歴史が証明しているのでは、と思っています。
この投稿の一番の主旨は、「売れ続ける店」にするための考え方や「成長し続ける会社」にするための秘訣について書いています。
色々な考え方があると思いますが、もしも、「会社を永く存続させたい」、「永く続けられるお店をつくりたい」、という考えがおありのようでしたら、私は、「流行りの業態」には手を出すべきではないと思います。
少し話は変わりますが、2008年ごろ、その頃はリーマンショックの影響で、世の中が全体的に沈んだあおりを受け、飲食業界も大きな影響を受けていました。その頃も、もちろんコンサルタントとして活動していたのですが、ある会社をご支援していました。
それは地方の焼き鳥屋さんでした。
創業はその頃で15年ぐらい過ぎていて、まだ5店舗ぐらいでしたが、だんだん店も増えてきて社員も増えてきてどうやって会社を拡大すればいいのか分からないということで、ご依頼がありました。
その社長さんに聞いたのですが、2008年前にも色々なことがありました。大きな出来事と言えば、バブルの崩壊です。この時も飲食業界は大きな影響を受けました。
しかし、この社長の焼き鳥屋さんは、全く影響を受けず、売上も伸びたそうです。そして、私がご支援していた2008年ごろもやっぱり世間の流れとは全く逆で、店は絶好調で売上も増え、店もどんどん伸ばしていきました。
この時に考えたことは、不景気でも日本人に人気のあるものは、景気も関係ないということです。(すべてのお店ではありませんが・・・)
焼肉、焼き鳥、カレー、すし、ラーメンなどなどは、とても人気でこれらの業態は、あまり、景気の影響を受けずにきたと思います。これらは、「万人受け」するということで、景気の影響も受けたとしても、そもそも利用する人が多いので売上もさほど影響を受けません。もちろん、焼肉はBSE、焼き鳥は鳥インフルエンザというリスクもありますが、これらも乗り越えてきました。
つまり、会社を永く続けるには、「一過性で終わらない業態を選択すべき」ではないかということです。
考え方としては、流行りの業態をやることで、短期間で投資回収して、また、次の業態をやるという方もいらっしゃいますが、それはとてもしんどいことだと思います。
永く会社を存続させるためにも、「自分が愛せる業態」を見つけ、毎日毎日少しずつでも磨き上げ、どんどんブラッシュアップさせ、そして、たくさんのお客様に支持される業態にしていく。こういった考え方の持ち主でないと、会社を成長しつづけることはできないのではないでしょうか?