
初期教育を店長任せにしていませんか?
最近、飲食店では「アルバイトが定着しない」「すぐに辞めてしまう」といった声が多く聞かれます。
アルバイトの採用自体が難しくなっている中、ようやく採用できたとしても、初期教育のやり方次第で離職率がグッと高くなることがあるのです。
実は、この“初期教育”こそが、アルバイトの離職率を左右する最重要ポイント。
なのに、この大事な教育を店長任せにしているお店がまだまだ多いのが実情です。
20年近くアルバイトの育成を現場で見てきた私から断言します。
「アルバイトの初期教育を店長に任せてはいけません!」
どれだけ採用に力を入れても、最初の受け入れ方を間違えると、すぐに辞めてしまう。
また、定着したとしても、その後の成長が頭打ちになってしまう──
そんな“負の連鎖”が、飲食店のアルバイト離職率をさらに高めているのです。
なぜ、初期教育のやり方がアルバイトの離職率に影響するのか?
まず、アルバイトが辞めてしまう理由について整理しましょう。
ほとんどの新人アルバイトは、不安だらけで職場にやってきます。
・知っている人もいない
・何をすればいいか分からない
・誰に聞けばいいかも分からない
そんな状態のなか、
「とりあえず現場に入ってみて」
「忙しいけど頑張って!」
なんて対応をされたら──心が折れて当然です。
とくに、飲食店は人手不足。
いきなり忙しい日にシフトを入れられ、何の説明もないまま「このメニュー覚えて」「これもやって」なんて指示だけされても、本人からすれば地獄です。
結果、「自分には無理かも…」と感じて、すぐに辞めてしまう。
これが、アルバイトの離職率が高くなる典型的なパターンです。
初期教育が“ゆるい”と、その後の育成にも悪影響
離職に繋がるだけではありません。
最初の教育が“なんとなく”“ゆるく”始まってしまうと、そのアルバイトの成長も止まります。
最初の印象が「この店、適当だな」「なんとなくでやればいいんだな」になると、途中からどれだけ厳しくしようとしても、スタッフはついてきません。
だからこそ、
・お店のルール
・大事にしている考え方
・接客や衛生に対する姿勢
など、しっかり時間を取って伝える必要があるのです。
「何を教えるか」で、接客の質が変わる
例えば──
注文の取り方を教えるときに、最初から「ハンディの使い方」ばかりを徹底するとどうなるか?
実際の接客時には、
・お客様の表情を見る余裕がない
・メニュー名ばかり気にして笑顔がない
・声も小さく、確認も曖昧になる
このように、本来重視すべき「明るく元気に注文を聞く」ことが後回しになってしまうのです。
つまり、
最初に「何を優先して教えるか」が、仕事の質に直結するということ。
教える順番や内容を統一せず、各店長の判断に任せきりにしていると、接客レベルにバラつきが出てしまい、それがまた「辞めたくなる職場」をつくる要因になります。
「どう教えるか」が、アルバイトの成長スピードを変える
また、「教え方」によっても成長の度合いは大きく変わります。
たとえば、ある店舗でドリンク担当を任せた新人に、
「1週間後には、生ビール3杯+レモンサワー5杯を1分20秒以内に作れるようにしよう!」
という具体的な目標を設定したところ──
そのアルバイトは、常にスピードを意識して動くようになり、他の仕事にもキビキビと取り組むようになったのです。
一方、目標なしに「とりあえず作ってみて」と任されたアルバイトは、いつまでも作業が遅く、自分のペースでしか動けないままでした。
このように、“どう教えるか”の違いは、離職率だけでなく店舗の戦力にも直結するのです。
店長任せにせず、「アルバイト初期教育」を会社で設計しよう!
だからこそ、アルバイトの初期教育は、
店長のセンスや気分に任せるのではなく、会社として共通の教育プログラムを整備する必要があります。
「採用してもすぐ辞める」
「スタッフの質が安定しない」
「人件費ばかりかさむ」
──その背景には、「初期教育の仕組み不在”」が潜んでいるかもしれません。
さて、あなたの会社ではどうでしょうか?
「アルバイト初期教育のマニュアル」や「育成の流れ」は社内で明文化されていますか?
それとも、店長任せになっていませんか?
アルバイトの離職率を下げ、戦力化を早めるためにも、今こそ“初期教育の見直し”が必要かもしれません。