(7)ペルソナマーケティングで、「店の主張・特徴」をはっきりさせる!
売れ続けるお店になるためには、「原理原則」に基づいた店つくりが大切であるということを11日目の投稿でお伝えしました。特に、コンセプトの考え方をしっかりと理解した店つくりが重要であるともお話しました。
今日の投稿では、コンセプトを考えるにあたって、私は、最も重要だと考えている「ターゲット」の考え方についてお伝えしたいと思います。
ターゲットとは、ご存じのように「誰に利用してもらいたいか」を明確にするということですが、このターゲットの設定は、昔から誰もがやっていたことです。ただ、私は、”今だから”こそ、よりターゲット設定の考え方が重要になってきたと考えています。
というのは、昔、30年前ぐらいと比べて、今は、飲食店の業態・業種は多様化してきました。その原因は、そもそも「個のニーズ」が多様化してきたからと言えます。
私が子供のころ(1980年代頃)は、自宅にはテレビが一台で電話も一台しかありませんでした。週末になれば、家族で同じテレビを見たりすることがほとんどで、自分の部屋はありましたが、勉強したり、寝るための部屋でしかありませんでした。しかし、今はどうかと言えば、テレビよりスマホで自分の好きなものをYouTubeで見たりなど、「個」で行うことが昔より大幅に増えてきました。
ですから、「個」がすごく大切にされる時代になり、その分、この「個」のニーズに対応していくことが求められているのです。
そう、今は、ニーズが多様化してきていることが、この30~40年ぐらいの間での大きな変化です。そのため、昔は、ターゲットを設定する際には、「20代の女性」というような、割と大雑把な設定方法でした。この方法で特に違和感がなかったのです。
ただし、今は、先述しているとおり、「個のニーズ」が多様化しているため、「20代の女性」と幅広く捉えてしまうと、お店の特徴を出しにくくなってしまうのです。
なぜならば、「20代の女性」と言っても、今や20才の女性と29才の女性のニーズはもはや同じではないからです。そのため、「20代の女性」と一括りでターゲットを設定し、それに忠実に併せてニーズに対応していくと、「ありきたりな店」にしかならず、先述したようにお店の主張がはっきりしなくなるのです。
今は店が多種多様で、立地によっては、よりターゲットを絞り込んでそのニーズに併せて店を作った方が、または、店の主張をはっきりさせる方が、お客様に伝わりやすくなり、他店との差別化もしやくすくなるのです。
そこで、今、私が推奨しているのが、「ペルソナマーケティング」です。
「ペルソナ」とは、ある特定の人物を設定して、その人のニーズに併せて店つくりをするということです。
例えば、25才の女性をメインターゲットとした場合、この25才の女性の名前や住んでいるところ、仕事、収入、趣味、どんな店が好きなのか、などを細かく設定し、メニュー構成や内装、接客方法を作っていくという手法です。
ペルソナマーケティングを活用している一番の目的は、「店の主張をはっきりさせる」ということです。それは、色々な店がある中で、特徴や主張がはっきりしていないとお客様に「選ばれる店」にならないからですね。
ところが、このペルソナの話をすると、
「そんな特定の人に絞って、他の人は受け入れないということですか?」
などと、ちょっと的外れな質問を受けることがありますが、あくまで「考え方」としてターゲットを特定するということであり、他の年齢層の人を集客しないとか、受けれ入れないということではないのです。
例えば、赤提灯の焼き鳥屋さんがあって、立ち飲みで店内もそれほどきれいでない店があったとします。恐らく、この店の多くの利用者は、どちらかと言えば、年配の男性客が中心なはず。ただし、すべてのお客様が年配の男性ということはなく、中には若い男性客もいれば、はたまた、若い女性客のお客様もいらっしゃるはずです。
その時に、「女性客がいて、もっと、女性客を増やしたいから、もっと店をきれいにして、料理もちょっとこ洒落たものにしよう」と店を変えたらどうなると思いますか?
きっとすぐに売上がダウンしてしまうのは想像がつきますよね?
女性客も、ちょっと古びた感じで、そういった雰囲気を気に入っているからこそ、お店に来店しているのです。その店の特徴が明確だからこそ、この若い女性客もお店に来てくれているのであって、そこに寄せてしまうとかえって、店の特徴が消えてしまいますよね。
これと同じように、特定の人をターゲットにしてその人以外は取らないとかではなく、店の主張をハッキリさせることで、特徴をだし、お客様に選ばれやすくしようというのが一番の目的なのです。
また、こうやって店のターゲットを名前まで作って特定すると、店のメンバーで共有しやすくなり、商品開発をお店で行う場合などに非常に分かりやすくなるのです。
売れ続けるためには、この「誰に」をどう皆が共有しているかが大切で、これがズレていると、店でやろうとしていることがどんどんとズレてきて、気が付くと全く違うことをやっているという可能性もでてくるのです。
たくさんのお店を見てきましたが、ターゲットを店のスタッフにどう浸透させるのかがとても苦心する点で、スタッフの力や考えを引き出すためにも、「分かりやすいマト」と設けることでこれを解決できました。
こういった利点もあって、ペルソナマーケティング行いながら、ターゲット設定を行っています。
イマイチ店の特徴が出し切れていない、ハッキリしていないという方は、一度ペルソナを設定してみて、そこからメニュー等を見直してみてはどうでしょうか?