(8)クレンリネスの強化で現場スタッフのモチベーションを上げる!
飲食業は、QSCの強化が一番と言われているように、その中の「C」(クレンリネス)も飲食店にとってはとても重要なことです。実は、この「C」なんですが、各社で色々な言い方がされています。
「クレンリネス」とか「クリンネス」など、微妙に言い方が違うようです。
皆さんは、どちらを使用されていますか?
ただ、私は、「クレンリネス」を使うようにしていますが、これは言葉の意味を考えてのことです。
「クレンリネス」は、清潔感を保つこと。
「クリンネス」とは、掃除をすること。。
という意味になるそうで、一時的にキレイで清潔感がある状態を作っていても何も意味はなく、常に、「キレイで清潔な状態を保つこと」が重要であるため、「クレンリネス」をということばを使用しています。
さて、皆さんの会社ではこの「クレンリネス」をどう実施されていますか?
人によっては、「店が汚くてもお客様が入る店は入るから、別に、それほど躍起になってやることはないのでは?」という方もいらっしゃいますが、私は、店をキレイにすることも大切ですが、「クレンリネス」を徹底することの意味合いは、「仕事のしつけ」の意味合いが多いと思っています。
一つの仕事が終わったらすぐ片付ける
そして、その場はすぐに清掃する
冷蔵庫内は、いつも同じものが同じ場所にあり、いつも整理整頓されている
モノの場所を定位置管理する
などなど、単に掃除するというよりも、仕事の効率性を高めることも含めて「クレンリネス」と捉える方がいいのではと考えています。
色々な会社を見てきましたが、「クレンリネス」が弱い店ほど、社員を含めたスタッフがルール順守の意識が低かったり、規律が守れなかったり、仕事も雑で、お客様への対応もあまり良くない、ということが多いように感じています。
私自身、「店がきれいだから、売上が上がる」ということは絶対にないと思っていますが、ただ、「掃除すらできないなら、売上は上がらない」と思っています。
つまり、掃除という作業よりも、自分たちがいつも使っている職場を大切に使うことの重要性や色々な人がいる職場だからこそ、定位置管理をしたり、掃除しやすい状態を作ることが大切で、「教育」という視点でクレンリネスを活用することが、組織としての成長に繋がると思うのです。だからこそ、社を上げて、「クレンリネス」には取り組むべきだと思います。
では、具体的にどうクレンリネスを徹底するのかということですが、まずは、会社側で、「掃除する箇所」を抽出することです。できれば店ごとに、例えば、「入り口付近」という大項目をつくって、その中での清掃個所をさらに抽出する。「扉」「入口ガラス」「マット」「待合席椅子」などというように、どこを掃除するべきなのかを抽出します。
そして、その上で、その箇所を「どこまで」掃除するのかの「あるべき状態」まで一緒に記載することが望ましいと思います。
なぜ、「会社側」が清掃個所を指摘すべきかというと、現場スタッフは「現場目線」での掃除しかできません。自分たちの見えているところだけしか掃除をしないということと、それぞれの価値観や経験が違うので、「ここまで掃除をしてほしい」と伝えないと、現場が放置したままになる可能性が高いからです。
なので、会社側が場所を指定して、「ここを、ここまで掃除をして」と指示しないとクレンリネスは徹底できないでしょう。
そして、もう一つ大切なことは、月1回、本部スタッフが必ず、クレンリネスチェックシートを活用して、全箇所チェックすることです。
これをすごく面倒だと思う人がいるかもしれませんが、これをやらないと絶対にクレンリネスは徹底できないと思った方がいいと思います。
掃除自体がすごい好きという人は少ないですし、また、現場からすると、「忙しい営業の中でどうやって掃除をするの?」と考える人が多いからです。そのため、誰かが店に行ったとき(例えば、マネージャーによる臨店などで)に、「ここ掃除しといてね!」と言っても確実に実行されることは非常に少ないのです。
だからこそ、月1回必ずチェックがあると「指摘されたところを掃除をしておかないとまた指摘される」と考えるようになるので、最悪、チェックの前日には掃除をするようになります。「こんな意識でいいの?」と思うかもしれませんが、最初は、これで十分です。
これが習慣化していくと、今度は、「掃除していない状態」、つまり、「汚い」状態を「気持ち悪く」なってくるものなのです。習慣化というのはそれぐらいいい意味で恐ろしいもので、「やるのが当たり前」「キレイなのが当たり前」になると、皆、普通に掃除をするようになるのです。
ここまでの状態に持っていけるかが重要で、そのためにも、毎月のチェックすることを習慣化して欲しいと思います。そして、このチェックは、できれば「会社のトップである社長」が行ってほしいです。社長が実施することで、スタッフにも「クレンリネス」の重要性を伝えることもできますし、直に、社長がチェックし褒めることで社員のモチベーションもものすごく上がるのです。
というのは、例えば、毎月オペレーションの改善等を現場で行っているのですが、実際にやっている現場からすると、これが正解かどうかが自分たちでは非常に分かりずらいのです。しかし、クレンリネスに関しては、自分たちが行動した結果が、見た目で分かりますし、そこに、会社トップからの「承認」があると余計にその喜びが大きくなるからです。
このように、清掃個所を抽出し、それを定期的に現場が清掃し、また、そこを本部がチェックする。これを繰り返せば、今、それほどキレイでないお店でも、半年ぐらいで確実にキレイになります。また、皆の人間的成長も望めると思います。
今回の最後に。
掃除を徹底するポイントは、毎日やること。毎日やらないから、逆に1回の掃除の時間が増え、大変になるだけなのです。毎日、きちんとやっていれば、それほど労力もかかりません。でも、貯めるから面倒だし、労力がかかるのです。
これって仕事と同じだと思いませんか?
毎日やる癖をつけると、意外にそれほど労力もかからず、全く大変ではないのです。これ現場の人、意識するといいと思います。貯めるから面倒なだけです!