

「お客様を見て」ではなく、何もできないZ世代
前回の投稿 「Z世代に「お客様を見て」「お客様のこと考えて」と伝えても無意味」において、アルバイト・パートさんへの「ホール教育」のあり方について、序章偏としてお伝えしました。
一般的に行われている接客指導(?)のやり方だと、今のZ世代には、分からないコトばかりなので、今の世代にあった教え方が必要だという話をさせていただきました。
特に、「お客様をみて」というのは禁句だということをお伝えしました。
では、どうやってお客様に対しての接客(おもてなし)を教えるべきかについて今回はお伝えします。
視点を共有し、「当たり前行動」を徹底しよう!
私は、10年ぐらい前からご支援先において、「当たり前行動」というものを徹底していただいています。
これは何かと言えば、以前なら「当たり前のように行われていた行動を徹底的に行おう」というものです。「当たり前行動」の”行動”は何かといえば、業態によって一部変わりますが、基本的には次の5つ。
(下記は居酒屋バージョン)
・お代わりドリンク
・空いた皿のバッシング
・取り皿の交換
・おしぼり交換
・ゴミ
・メニューを見ている人への声掛け
正直、私たちが現場で仕事をしているときは、上記の5つの行動をすることは当たり前でしたし、できていないと「不快」「違和感」を感じていたのですが、今は、意外に多くのお店でできていない行動なのです。
すごい繁盛店と言われているところでも、この行動は弱く、お客様とコミュニケーションをとることやお薦めメニューを紹介することには熱心でも、本来、「当たり前にやるべきこと」が最近はできていないなと、ずっと感じていました。
原因は、前回に述べたとおり、スタッフ側の体験不足であり、「お客様に何かしたい」と思っても、何をしたらいいのか、何をみたらいいのか分からず、結局、「何もしない」というのが最近の風潮のように感じます。
そこで、「当たり前行動」と銘打って、アルバイト・パートさんに「見るべき視点」を共有しようというのが、この「当たり前行動」の一番の狙いです。もちろん、これは導入編であり、入店間もないアルバイトさんや、接客サービスに力をいれようとしている店に、最初取り組んでいただきます。
料理を提供した際に、必ず、上記5つの視点を見るように心掛け、例えば、ドリンクが少なくなっているのであれば、「お代わりいかがですか?」と声掛けを徹底するようにしています。
当たり前行動の「できる方法」「基準」を共有する
そして、この「当たり前行動」を徹底する際にも、今の時代を反映しているなと感じています。
というのは、例えば、「おしぼり交換」を行う際、テーブルが長くてスタッフ側からはおしぼり交換できない(手が届かない)お客様がいたとすると、今のアルバイトたちは、「やらない」、つまり、「交換しない」という選択をするのです。
「今、おしぼり交換した方がいいと思わなかった?」
「はい!おしぼり交換した方がいいなと思ったんですが、手が届かないので、やるのを辞めました」
と平気で伝えてきます。
「奥のお客様!、恐れ入りますが、おしぼり交換させていただけますか?」
と声を掛けて交換すればいいのですが、「できない理由」があるとすぐにやらないという選択をするのが今の人たちのようです。なので、この「当たり前行動」を徹底するには、視点を教えるだけでなく、
1,「基準」、どのような状態になったり行動すべきか、
2,行動が難しい場合、どうやって行動すべきか
この2点も併せて伝えないと、結局は誰も何もしない状態を招くことになります。「お代わりドリンク」であれば、残、2フィンガーぐらいになったら、とか、「メニュー」もメニューを見ている人が顔をあげたら声をかける、などという具合に、視点と基準、そして、タイミング等を共有することが重要ポイントになります。


行動することによる「メリット」も伝える!
また、これを始めて実施してもらう際には、「当たり前行動」を行うメリットも必ず伝えるようにしています。人は、今までやったことがなくやることが増えると「負担」と感じるようです。
本当は、「やってなかった」事の方が問題なのですが、作業が増えるとすぐに
不平不満を漏らします。そのため、本人たちにとってのメリットを伝えることで「やった方が得だよ」「やった方が楽だよ」という話もするようにしています。
「当たり前行動」でいえば、
・お代わりドリンクの杯数が増えれば、客単価のアップになって売上アップにつながること
・空いた皿を定期的にバッシングすることで、テーブルがきれいになって、お客様が「また注文したくなり」追加注文が増えること
・途中で皿やグラスをバッシングしておくことで、最終のバッシングが楽になり、回転率があがって売上向上につながること
・自分たちから率先して先手行動を行うことで、お客様から呼ばれる回数も減り、仕事が楽に進めることができること
などなどを伝えていくと、店の人も取り組んでいただけるようになります。
「当たり前行動」は、私のご支援先で確実に実施していただいていますが、これが100%実施できれば、顧客満足度は非常に高いものになります。
また、アルバイトやパートに対しても、「お客様を見て」というより、具体的にやるべきことを提示できるため、彼ら彼女らの行動を促すことができます。
ぜひ実施してみてください!
次回は、「当たり前行動」の次のステップの教え方についてお伝えします。