(5)人財育成、成功の秘訣は、入口にあり!
店を増やすためには、「人」が必要であり、そのためにどう採用人数を増やしていくかと、あとは、どう育成していくかいうことが課題になります。
育成に関しては、「最初」が肝心ということを昨日の投稿でもお伝えしましたが、さらにいえば、「採用時」がさらに重要ということです。
まず、昨日もお伝えしましたが、長年染みついた習慣や考え方を変えることは非常に困難です。だからこそ、その習慣が身についていない「未経験者」を採用し、自前で育てようとお伝えしましたが、そうは言っても、ある程度の経験者も必要です。
そこで大切になってくるのが、できるだけ「同じ価値観」の人を採用するということです。この価値観というのは、会社の考え方や仕事というか、働き方に関しての考え方ができるだけ同じ人を採用するということです。
例えば、これから会社の規模を大きくしようと思うと、最初は何もない状態から始めているわけですから、どうしても社員には負荷がかかります。もちろん、今の時代、休みもできるだけ週休2日制、勤務時間もできるだけ8~9時間程度に抑える必要はありますが、時には、頑張ってもらわないといけないときもでてきます。
また、日頃の仕事にしても、単に、営業だけしているだけでは、お店の成長がありませんから、どこかに時間をみつけてもらいながら、毎月の店の売上を上げるための対策を考えたり、アルバイト指導の一環として面談を実施したり、あるいは、会社でのミーティングに参加してもらうこともでてくるでしょう。
しかし、本人の価値観が、「仕事は仕事。休みは休み。この区別をきちんとしたいし、給与もそれほどたくさんは望んでいない」というものであれば、もし、入社した会社が、上述したような働き方を求めているのであれば、絶対に両者がマッチすることはあり得ません。
何度もいいますが、ブラックのような働き方を皆に求めているわけではありません!
今の時代は、「給与もそこそこ欲しいが、それよりも、休みや自分の時間を大切にしたい人」が増えてきました。
ただ、こういった人ばかりではないと私は考えていて、なかにはバリバリ働きたいという人もいるはずです。
もし、あなたの会社がこれからどんどん成長させていきたいと考えているのであれば、まずは、こういった考え(バリバリ働きたい、お金も欲しい、出世したいなど)を持つ人を採用するための取り組みをされるべきだと思います。
そうすると、よく採用会社さんからは「そういった人は少ないですから、できるだけパイが大きいところを狙った方がいいですよ」とアドバイスされるでしょう。つまり、「仕事は仕事。休みは休み。この区別をきちんとしたいし、給与もそれほどたくさんは望んでいない」という人たちをどう採用するかを考えた方がいいということです。
ただし、私のご支援先に話しているのですが、こういう世間が求める人を狙って採用してもいいですが、デメリットもありますよ、と。
一つは、社長の考えと合わず、常にイライラしますよ!、と。
社長が、もし、会社をどんどん成長させたい、と考えているのであれば、仕事と休みを区別をしたいという人と考えが合うわけがないからです。
もう少し色々と店のことを考えて働いて欲しいと社長が願っても、社長の意図することの30%も実現できないでしょう。
なので、結局は、採用できても辞めてしまう確率も高くなってしまうということです。
そして、デメリットの二つ目は、「他も同じような人を狙っている」ということ。
そもそも飲食で働こうという人が少ないので、皆が皆、同じような価値観の人を狙うと、他と競合するだけで、しかも、より規模が大きいところに負けてしまう可能性が非常に高いからです。すると、まだまだ規模が小さい時は、なかなか採用にも至らなってしまうのです。
だからこそ、自社の特徴をだしながら、「当社に入れば成長できるよ」「当社で働けば、独立の道が近づくよ」などの謳い文句とともに、「バリバリ働きたい」という人を狙う方が、採用してからがスムーズに進むと思います。
さらに言えば、採用後の教育をスムーズに進めるためにも、採用時には、自社の取り組みをしっかりと話すべきだと思います。また、その入口も狭くすべきだとも考えています。
人が欲しいのに、入口を狭くするのは、逆行する考え方になるように見えますが、「いいことばかり言って」すぐに辞めてしまうような人も採用してもそれこそ採用費の無駄です。最初のハードルを高くして、それを超えてくる人、同意した人を採用すれば、離職率を下げることにも繋がるでしょう。
例えば、当社のご支援先では、仕事の考え方や取組み等の価値観を共有するために、毎日「理念唱和」を実施していただいています。確実に実践してもらうためにも、理念唱和している動画を毎日本部に送らせ、確実にやる風土を作ってもらっています。
この「理念唱和」と聞くと、「軍隊みたいで嫌だ!」とか、「昭和っぽくて時代遅れ」といったことを多くの方から言われますが、ただ、きちんと実践している会社ほど、社員の成長率、会社の成長率が非常に高いのも事実です。
話を戻して、採用時に、この「理念唱和」(しかも暗唱にて)を確実に毎日やってもらうことなどを話すのですが、これを嫌だと思う人は入社してきませんし、これを受け入れる人のみが入社してきます。
つまり、この誰もが”面倒だと思う”この理念唱和をすることを同意して入社してくる人は、その後の様々な取り組みにも自然とついてこれるのです。つまり、入社後の教育もスムーズに進められるということなのです。
会社を伸ばすためには、人は欠かせません。
ただし、誰でもいいからと採用していては、辞めていく人もたくさんでて、いつも採用ばかりやっている状態になります。採用の自転車操業のような状態です。
こういった事態を避けるためにも、自社の特徴をだしながら、確実に狙って数名採用し、確実に成長させて戦力にしていくことを考えた方がいいのではないでしょうか?つまり、「入口」を強化してみてはどうでしょうか?
ただし、これを実践するには、相当の覚悟が必要ですが・・・