

創業の頃は、当たり前にやっていたことが・・・
「この前、お店に行ったとき、びっくりしたんですよ!ヘルプでお店に入ったんですが、お客様からカルアミルクの注文が入って、「カルアお願いします!」ってドリンカーにお願いしたら、「ヤマで~す」(ヤマ=品切れ)って、普通に言われたんです」
という話をしてくれたのは、数年前、ご支援先でその時は事務スタッフとして働いていたスタッフ。昔は、現場で働いていたこともあり、人が足りないということで、ある店にヘルプに行ったときに、ちょっと悲しいことがあったと話してくれたのでした。
「で、なんで品切れなの?って聞いたら、『牛乳がもうないんで!』って言うんです。ちょっとこれ聞いて、びっくりしたというか、危機感をいだいたというか・・・」
「昔は、牛乳がなくなったぐらいだったら、ダッシュでコンビニに買いに行っていたんです。お客様には、『ちょっと牛乳きれてしまって、すぐ、買ってきますのでしばらくお待ちいただけますか?』と伝えて、ダッシュでコンビニ行って、何とかお客様の要望に応えていたんですが、いつの間にこんな感じになっちゃったんだろう?って。『品切れ』ってお客様に伝えることに何も違和感を抱かない現場の人に、ちょっと危機感を持ちました」
創業の頃は、少しでもお客様に喜んでいただきたいし、一人でも多くのお客様に「常連さん」になって欲しいという思いから、できるだけお客様の要望に応えようとするものです。この時の思いの強さのおかげもあって、徐々にお客様から支持され、繁盛店になっていきます。
しかし、店が増え、人が増えると、「お客様が来るのは当たり前」になって、少しずつ、昔は「当たり前にやっていたこと」が文化として消えてしまうということが結構あります。
「品切れになったら、ダッシュでコンビニに買いに行く」
とは、これがすごくいいことというわけではありませんし、なかなかマニュアルには記載できないですし、マニュアルに書いてあるから「ダッシュして買いに行く」も、そこには「気持ち」が乗っていないのできっとお客様の感動も少し薄れることになるでしょう。
「創業期の思い」をどう繋いでいくべきか?
こうった「創業期のいい文化」「創業期の気持ち」「創業期のころの思い」というものをどうやって企業文化として引き継いでいけばいいか?
そのためにも、私は、理念やクレドをつくり、この考え方を皆で共有する時間を定期的にとることをお薦めしています。
理念やクレドは、自分たちのあり方を示したのものです。ここには、創業期の思いなどが盛り込まれていることが多いはず。だからこそ、この理念、クレドなどを皆で共有するのです。
共有の仕方は色々あると思いますが、私が、ご支援先で行っているいわゆる「理念浸透」は次のとおり。
1:理念唱和(毎日、朝礼、終礼で唱和する。できれば、全員に暗記させる)
2:理念・クレドの意味を伝えられるようにする
→理念、クレドの意味を皆で考え、今日入った新人にでも説明できるぐらいの状態にする
3:ミーティング等でケースステディの実施
→こんなときどうする?、と日々の営業の中で起こることを題材にし、「こんなときどうする?」と皆で話し合う。例えば、上記もいい例で、「牛乳さえあれば提供できる商品。その牛乳がなくなったとき、どうすべきか?」とこの時に「うちの店であれば・・」どうすべきかを皆で考える。
3については、「うちの会社」「うちの店」では、どうするか?、というのが重要で、「他がどうしている?」とか「他店はこんなことやっていない」などと考える必要はありません!
あくまで「うちはどうするか?」というのが大切で、この考え方や価値観を皆で共有していくのが重要なのです。この時間をできるだけとって、皆で、考え方や価値観を合わせていくことが、店や人が増えていくとともに必要な時間なのです。
特に、「人」で差別化を図りたいのであれば、この取り組みは絶対でしょう。
「人」で差別化したいと考えている方は、ぜひ、取り組んでみてください。