(10)マネージャー制度はマネージャーに丸投げにすると、必ず、失敗します!
マネージャー育成の最後に、本部側がマネージャー制度を導入する際の注意点を纏めておきたいと思います。
マネージャー制度を導入するのは、会社にもよりますが、だいたい5店舗ぐらいからでしょうか?
マネージャー制度、マネージャーの仕事に対しての知識やノウハウがないことが多いと思います。そのため、マネージャーに任命した人に「丸投げ」になっていることも、私の経験上多々あります。
その中で、ありがちな事件は、マネージャーが「行方不明になる」ことが多いということ!
店長時代は、出勤する場所(店)があり、出勤時間もシフト制ですが、ある程度は決まっています。そのため、どこにいるかと言えば、当たり前ですが、店にいることがほとんどです。
しかし、マネージャーになると、出勤する場所がなく、出勤時間も仕込みの時間に出勤する必要もありません。店長時代は、働く時間や空間が固定されているのですが、マネージャーになると「自由」に動く時間が必然的に増えます。
すると、人によっては、「サボる」人がでてくるのです。
「今日はどこどこの店に、午前中行く」と言いつつ、連絡してみるとその店にはいない・・・なんてことが結構な確率で起こります。
まあ、急に「自由」になり、また、遅刻しても言い訳がしやすく?なり、時間の感覚がルーズな人は、多くの場合、「行方不明」となることが多くなります。
原因としては、先述している通り、急に「自由になった」ことと、あとは、「何をしていいか分からない」というのが一番だと思います。
具体的に、マネージャーとして何を朝からすればいいのかが分からないので、どうしてもサボってしまうようなのです。
なので、マネージャーとして仕事をさせようとする場合、社長さんには、絶対に事務所に決まった時間に出勤させて、必ず、社長とミーティングしてから担当店舗に行くようにした方がいいとアドバイスすることが多いです。
こうすることで、仕事にもリズムがつき、サボるようなことも減ります。
あとは、もうひとつ、「何をしていいか分からない」という場合の改善策として、マネージャーの1ヶ月のルーティンワークをまず作ることをお薦めしています。
マネージャーは、基本的に店長の仕事をサポートする、支援する、アドバイスすることです。つまり、店長業務(ルーティンワーク)が決まっていれば、それをサポートする仕事を、マネージャーのルーティンワークにすればいいのです。
例えば、売上予算(目標)を店長が作りますが、予算について打ち合わせをする日を会社で決めるのです。基本的には、毎月月末までに完成しておかなければいけませんので、27~28日ぐらいに打ち合わせするといいでしょう。
また、ただ打ち合わせするのではなく、予算算出の根拠をシートに記入させたり、予算を達成するために、具体的にどんな行動を計画しているのかについて、話し合うのです。
そのためには、店長は、打ち合わせの前までに予算や計画を作成しておくことになり、店長の考えたものをベースに来月の行動内容を決めるといいでしょう。
そうすると、この計画が店で共有できているか、浸透しているかを月初からの1週間ぐらいで各店を周り、15日ぐらいに、この期間でできたこと、できていないことなどを店長と面談し、その後の行動の見直しをします。
さらに、ちょうど月の半分ぐらいですから、数値(FL)の確認(ちなみに、数値は毎日確認するのが普通で、この日は店長と現状と今後の見込みを話し合います)することも必要になるでしょう。
そして、20日前後に、定期的な臨店(お客様視点で店を利用する)を行い、店の問題を客観的な視点で抽出するといいでしょう。この臨店の際にでた課題を来月の行動に反映していけばいいので、店長が月末に出してくる予算と行動計画も臨店をもとに考えるといいと思います。
このようにザッくりですが、1ヶ月の流れをつくり、そして、日々確認することやミーティングなどの実施日もある程度決めておくと、マネージャーがサボることは基本的には困難になるでしょう。
マネージャー制度を導入する場合、冒頭でもお伝えしましたが、基本的にはそのノウハウを持ち合わせていないことが多く、やりながら構築しようとします。しかし、今までの経験上、「やりながら・・」で上手くいくことはあり得ません!
もし、導入を検討されている方は、上記のようにしっかりと仕事を作ってからか、もしくは、専門家にお願いして、ルーティンワークをしっかり確立してから導入されることをお薦めします。