(6)お店に行かなくても、店の状態を把握する仕組みを作る
マネージャー制度をなぜ採用するかと言えば、店長に店に任せておくと、「いつの間にか質が下がり、売上が低下してくる」からです。
こういう状態を避けるために、マネージャーというポジションを確立し、店に定期的に訪問することで、店の改善や店長の指導を行うのです。
とはいえ、毎日、店にマネージャーが訪問することは、店が増えてくるとともに難しくなります。つまり、「店長に店を任せている時間」が増えることになるのです。
店の売上が下がるのは、必ず「前兆」があり、だいたい店で”ゴタゴタ”が始まると、次第にスタッフがルールを守らなくなったり、人が足りなくなったりという現象が現れ、そして、そのうちお客様のクレームが増え、売上も低下していくことになります。できれば、お客様のクレームや売上低下の前に、対処したいものです。
だからこそ、この変化(前兆)にどう気づけるかも、マネージャーに求められるスキルの一つだと私は考えているのですが、「店との接触を訪店(臨店)しなくてもいかにとれるか」ポイントだと考えています。
数年前、あるご支援先でこんなことがありました。
私のご支援先では、毎日、「理念唱和」することをお店に求めています。
理念唱和する理由がたくさんありますが(今回はテーマが違うので割愛します)、何も言わないとすぐに現場は辞めてしまうので、この理念唱和を毎日「動画撮影」させ、それをLineにあげるようにしてもらっています。
これだと「未実施」だとすぐにバレるので、基本的に毎日店の人は理念唱和を行うようになります。
また、それ以外にも、毎日、アルバイトへの目標等を設定する「朝礼シート」の記入もやってもらっています。
これは目標を、朝、記入して、勤務する前にアルバイトが確認し、それをもとに営業に入る。そして、勤務時間が終了したら、自分の目標に対しての感想を記入し、それを見て、社員がフィードバックする。
これも毎日、確認できる状態にしています。
そして、もう一つは、日報的なもの。
毎月、行動計画を策定し、テーマをもっと店の改善に取り組んでいるのですが、その進捗を日々の日報でコメントを記入することもやってもらっています。
以上、3点、「理念唱和」「朝礼シート」「日報」、これらを毎日マネージャーが確認するようにしています。
そして、最初の頃はマネージャーへのアドバイスをするために、私自身もこの3点を必ず確認するようにしています。
ある時、1店舗だけ、毎日の「理念唱和」を見ているとなんとなく違和感を感じました。雰囲気が暗くて、皆の表情も冴えないのです。
また、朝礼シートや日報のコメントを見ていても、以前よりも具体性がなく、なんとなくやる気を感じないのです。
そして、売上も少しずつ低下し始めていました。
(ご支援先の売上は、全店、毎日私自身も確認しています)
そこで、マネージャーに、「あの店何かあった?」と聞くと、「実は・・・」と店長に問題が発覚し、店長の移動も考えているとのことでした・・・。
「どうして、店に問題があるって分かったのですか?先生、何も聞いていないですよね?東京にいらっしゃるから、店にも行っていないですよね???」
とマネージャーから質問を受けたのですが、
「毎日、色々なものを見ていると、なんとなく様子が変だぞ、って思っていたから・・」
と返答しましたが、この店は東北にある店なのですが、東京にいる私にも「異変」は気づくことができるのです。
このように、毎日、店の行動をウォッチしていると、何か問題がある店舗ほど色々な「変化」がでてきます。こういう時に、必ず、何か店に問題が起こっているのです。
つまり、店に毎日訪問しなくとも、店の行動をチェックする仕組みがあると、店の「異変」に素早く気づくことができるのです。
店の売上は一度低下すると、元に戻すには非常に時間を要しますし、やることも非常に多くなってしまいます。だからこそ、問題が小さなうちに手を打つことが大切で、そのためにも、店の「小さな異変」にいかに早く気づける仕組みをつくるか、そして、それをいかに早く察知できるかがとても重要になるのです。
そのためにも、店からは多くの不満を生むことになるのですが、上記のような店の様子が分かるもの(理念唱和、朝礼シート、日報など)で、これを日々注意深くチェックすること重要であり、これをマネージャーの必須スキルとして社内で高めると、大きな火事になる前に問題を解決することができるのです。