(1)マネージャーの役割を認識することがマネージャーの最初の仕事

マネージャーと店長の一番の違いは、店長は「自ら行動して結果をだす」のですが、マネージャーは「店長に結果をださせるための支援をする」こと、つまり、「自分がやる」のが店長で、「相手ができるようにする」のがマネージャーということです。この違い、マネージャーとしての役割を理解して行動することが最も大切なことです。
 
 
どうしても、店長からマネージャーになりたての頃は、店長時代との役割の違いを認識できていないために「自分でやってしまう」のです。
 
例えば、数値管理にしても、店長に数値を毎日チェックさせて、発注のコントロールやシフトのコントロールをさせなければいけないのですが、どうしても、店長に指導する(店長にやらせる)のではなく、自らがやってしまうのです。
 
すると、数字的には「いい数字」になるので、会社側からすると、「数字が整っている」ので問題なく見えてしまいますが、実は、マネージャーがやってしまっているので、いつまで経っても、店長の成長を望むことはできないでしょう。
 
そうすると、会社的には数字はいいわけですが、店長はいつまで経っても「自分で数字をコントロールする」ことができるようにならないのです。
 
 
ご支援先のマネージャーの方と話をしているときに、
 
「現場はなんでもかんでも、私を頼りにしてくるんです。だから、電話が多くてすごく困っているんです」
 
と、悩みなのか自慢なのか分からない話をしてくれることがあるのですが、これが、実は、マネージャーとしては、最もダメな状態なのです。
 
 
なぜかと言えば、「なんでもかんでも、マネージャーに聞かないといけない」状態にしているということだからです。
 
もしも、優秀なマネージャーなら、マネージャーに聞かなくても「店長自らができるようにする」仕組みを作って、できるだけマネージャーに頼らなくてもできるように動いているでしょう。そのため、頻繁に電話やLineで連絡をやりとり必要性がないのです。
 
 
「やっぱり、俺がいないとこの店はダメだよな」
 
 
なんて言っているマネージャーは、「できないマネージャー」の最適な例なのです。
 
 
先ほどの「優秀なマネージャー」になるためには、店長が自らできるような仕組みをどう作るか?、この視点をもち仕事ができるようになることです。それが、マネージャーとしての役割を果たすためにも、最初に持つべき視点だと思います。
 
「自分だったらこうやる」というのをいかに、店長にもできるようにさせるか?
 
そのためにも、「仕事を言語化できる」スキルがとても重要になります。
どうしても自分でやってしまう人というのは、仕事を「感覚」でやっている人です。だから、自分の仕事を相手に伝える、教えるのが苦手なのです。
 
「感覚」でやっている人というのは、決して、仕事ができないということではなく、「無意識」にできてしまっているのです。だから、「ことば」にするのが苦手なのです。
 
「感覚」を言語化するためにも、まずは、「無意識」でやっていることを「意識」してことばにすることから始めてみましょう。あるいは、上司の方に、自分がやっている仕事を引き出してもらうことも時には必要でしょう。
 
自分の「感覚」をことばにできないと、マネージャーの役割は果たせないと思ってもいいと思います。ぜひ、普段「無意識」にやっていることを「意識」して「ことば」にする訓練を、マネージャーになりたての頃は意識してやってみてもいいでしょう!