(4)「マイナスのことば」ではなく「プラスのことば」で教育する
私が飲食の仕事に初めて就いたのが、大学生のとき。
大学1年のときに、近所のラーメン屋さんでアルバイトを始めたのがきっかけでした。その後、大学卒業と同時に他業種に就きましたが、「この仕事が楽しかった」ということもあり、この業界に戻り、そこから約30年近く飲食の業界で仕事をしています。
ここまで続けられている一番の理由は何かというと、「楽しいから」です。
ただこれだけです!
これは本当に思っていることで、「楽しく」なかったから、こんなに永く続けることはできていないと思います。
では、なぜ、私はこの仕事(飲食業)を「楽しい」と感じたのか?
一番は、アルバイト時代に感じたことですが、仕事をする前に感じていた「飲食業」へのイメージと実際に働いた時では、いい意味で全く違ったことです。働く前は、正直、
「ラーメン屋でしょ。ラーメン出しているだけでしょ?」
とちょっと小馬鹿にしているところがあったのですが、実際には、とても奥深いということが分かったことが、私がこの仕事に夢中になった理由です。
この仕事をされている皆さんも、「飲食業が好き」「飲食が楽しい」と思っている方もたくさんいらっしゃると思います。その理由は「接客が好き」とか「料理を作るのが好き」とか「人を喜ばせるのが楽しい」などなど、様々だと思います。
人間は、生きているほとんどの時間を「仕事」に費やしているわけですから、できれば「やむなく」仕事をするのではなく、「好き」とか「楽しい」という思いをもって仕事をする方が、人生を充実させることができると私自身思っています。ということを考えると、私は、「好きな仕事」を自分の好きなように(独立して一人で仕事をしている)していることは、本当に幸せなことだと思っています。
ところで、皆さんのお店では、スタッフ(アルバイトを含め)が仕事をしていて「楽しい」と感じていそうですか?
先述したように、「やむなく」とか「仕方なく」仕事をしていませんか?もしそういった空気感、風土になっているのであれば、この状態を変えることが、あなたの会社の成長スピードを高めることになると思います。
そのために取り組んで欲しいことが2つあります!
まず、会社内、店舗内が「マイナスのことば」ではなく「プラスのことば」で教育することです。
飲食店のあるある?かもしれませんが、「●●をやってはいけない」とか「やってはならない100のコト」みたいに、「〇〇をしてはいけない」という教育をしている店が結構あるな、と感じています。
考え方としては、「お客様に失礼に当たる」ことや「店としてやってしまうと店の価値を落としてしまう」ために、「~していない」という教え方、教育をしているのだと思います。
これ自体はある程度仕方がないのですが、そういう会社ほど、”スタッフがスタッフ同士揚げ足取りをしている”ような雰囲気があるように感じています。
「〇〇さんは、××ができていないです(やっていないです)」
と、「できていないとこる」の指摘ばかりするのが教育・指導と思っているようで、相手を伸ばしたり、逆に「こうやったらお客様が喜ぶからこれをやってみよう」という教え方ができない店が結構あるように感じます。
「〇〇できていない!」「これ忘れているよ!」「なんでこれやってないの!」
と、悪い部分の指摘ばかりされて、仕事が楽しくなるはずがありません!
もちろん、絶対的にやってはならないことはダメと厳しく指摘すべきですが、だいたいお店の中で上記の指摘をしているシーンをみると、単に相手がやり方が分からなかったり、スキルが不足していたりと、相手を攻めるほど教育されていないことがほとんどです。
「こうやったらもっとお客様喜ぶよ」
とか、
「今日は、できるだけお客さんから呼ばれないようにしよう」
と、できていない部分を指摘するのではなく、”ある行動をさせることで指摘する(ダメな)行動を減らす”ように工夫した方が、相手は褒められることが増えますし、達成感を感じることができるでしょう。
これが私のいう「プラスのことば」で教育するということです。
あと、取り組んで欲しいもう一つのことは、できれば毎日、「達成感」を感じさせて欲しいということです。
人は相手から褒められたり、今までできていないことができるようになると、自分の成長を感じたり、承認されたと感じ、とてもうれしくなるものです。この感情が大切で、これが日々続くからこそ、自分が仕事に対していいイメージを抱くようになり、それが仕事が「楽しい」と感じることに繋がるのです。
ぜひ、この感情を毎日社員やアルバイトに感じさせてほしいのです。
そのためにも、大変ではあるのですが、毎日、目標を設定し、その目標を毎日達成できるような行動をさせる、また、達成できるようにアドバイスするようにしてあげて欲しいのです。
これが毎日浸透できれば、スタッフの成長スピードも向上しますし、スタッフのモチベーションも向上させることができるはず。
先述しましたが、人生のほとんどの時間を仕事に費やしているわけですから、「なんとなく」仕事をしたり、「なんとなく」毎日を過ごすのではなく、日々課題を持って仕事に取り組むことで達成感を感じ、そして、自分を成長させて行く方が、有意義な人生になるのではと思うのです。
こういった考え方やサイクルを全社員(アルバイトにまでも)浸透させれば、会社全体が日々、ワクワクと楽しそうに働け、そして、これを求める人がどんどん入社してくるのではないでしょうか?