(3)売上は「満足度の結果」であるという考え方を社内で共有する
私のご支援先は、何度もお伝えしていますが、店舗数で10店舗未満、売上も5億円以下、社員人数も10名以下の会社がほとんどです。これぐらいの規模に絞ってコンサルティングを行っているので、この規模のノウハウはたくさん持ち合わせています。
大手企業になると、ある程度の教育プログラムがあって、恐らくどこの会社でも「QSC」から学ぶことになるのではないかと思います。
ただ、私がご支援している飲食企業では、こんなプログラムはあるはずはなく、そのため、私たちのようなコンサルタントに依頼して、社員教育を行ったりするものです。
私のご支援先にも、戦略策定や仕組つくりなども行いますが、必ず、行ってもらうのは、毎月1回の勉強会です。
これは数年前に、あるご支援先での勉強会の場面です。
「飲食店の売上って、どうすれば上がるのですが?」
という質問を社員スタッフに投げかけました。
社員スタッフから返ってきた答えは、
「SNSの強化をすればいいと思います」
「販促をしないと売上は伸びないと思います」
というもの。そして、
「では、反対に、どうなると売上って低下すると思いますか?」
と質問すると、
「SNSの投稿をしていない、サボったら・・・」
「販促をしないから・・・」
という答えが返ってきたのです。誰一人、「お客様満足度が上がったら、再来店して、そういう人たちが増えて売上アップに繋がる」というような考えを持っていないことに、非常にびっくりした記憶があります。
時代が時代だからかもしれませんが、「SNSが売上アップには欠かせない」と考えている人がほとんどのようで、一部分では間違ってはいませんが、それだけで売上が決定するものではありません。
冒頭に述べたように、大手飲食企業だと、入社時にQSCから学び、「飲食店はQSCを強化、徹底しないと売上アップは望めないし、QSCが低下すると売上も下がる」という考え方を徹底することになるのですが、企業規模が小さいところでは、こういう教育・学びがないまま、飲食の仕事に就くことが多いため、どうしても売上に対する考え方が不足しているように思います。
売上アップに対しての考え方が欠如していることが何が問題かと言えば、「日常のオペレーションに対しての意識が非常に低くなってしまう」、ということです。
もちろん、売上はオペレーションだけで決まるものではなく、メニュー構成、立地環境などなど、他諸々の要素はありますが、やはり、「お客様に満足して帰ってもらう」ことが基本であり大切で、この積み重ねが売上アップに繋がります。
この考え方がないと、自分の仕事に重要性を感じませんし、オペレーションレベルを向上しようという考えになりにくいのです。そして、売上は「自分たちで上げるものではなく、本部や会社が上げるもの」というような感覚を持つようにもなってしまうようなのです。
あるご支援先では、毎日、日報的なものを書いてもらっていますが、そこに、「明日に期待します」とか「これぐらい入るといいです」「もうちょっと入ってくれるといいと思います」というようなコメントを毎日書いているスタッフがいます。
明らかに、売上は自分たちで上げるものではなく、世間の流れとか天候できまるものと考えていることが分かります。矢印が、自分にではなく、他人に向けているということであり、こういう人が増えると、お店の売上が上がるはずがありません!
だからこそ、「QSCが大切」ということを社内で共有するなり、あるいは、いかに「お客様に楽しんでもらうか、満足してもらうか?、そして、この満足度の結果が売上という指標になって現れるのだ!」という本当に基本的なことを最初に教えていくことが必要だし、また、特に、企業規模が小さい会社ほどこういった教育に時間をとるべきだと感じています。
さて、あなたの会社でも社員に問いてみてください。
「どうやったら、売上って上がるんだ?」と。
この問いに関しての答えが、「お客様の満足度」と全員が答えられるようになることが社員教育の第1歩かもしれません!