(7)月に1度全社員が集まる機会をもち、情報発信と仲間同士の絆を深める
会社が成長する過程において、特に、アーリーステージの頃(5~10店舗ぐらいの時期)に、最も社員から出る不満は、
「社長が何を考えているか分からない・・・」
というものです。これまでたくさんの会社を見てきて、特に、このステージの会社をたくさんご支援させていただいているのですが、どこの会社の社員もこの不満を漏らします。
正直、会社のトップが考えていることを分かったからと言って、彼ら(社員)の動きが良くなるのかと言えば、実は「・・・・」なのですが、トップが今考えていること、これからどんな動きがあるのかを、部下に示すのは非常に大切なことであると思います。
また、この頃の社員は、誰を見て仕事をしているかと言えば、全員が「トップである社長」を見ており、社長の一挙手一投足で、モチベーションが大幅に変わったりもします。
しかし、すべての社員と話す機会を設けることは、店とスタッフが増えてくると、基本的には難しいわけで、この課題を放置しておくと、結構社内で不満が溜まって時には問題が勃発することもあります。
そこで、私がご支援先にお勧めしているのが、月に一度、全社員が集まって勉強会のような形で全体ミーティングを実施することです。
業態によっては、お昼の時間に皆が集まるためには、お店を休業にする必要もありますが、ただ、皆が集まる効果はとても高いと考えています。(できれば、休業せずに、できる時間帯で開催したり、パート、アルバイトさんに任せて営業できるといいのですが・・・)
そして、このミーティングで、必ず、社長自らが冒頭で5分ぐらい、今、考えていること、これからどうしようとしているか、最近の気づきなどを話されるといいと思います。
「そんな話聞きたいの?」
とよく社長さんから聞かれるのですが、上述した通り、皆、社長しか見ていないので社長の話を聞きたいのです。だからこそ、月1回の全体ミーティングで社長が話すことは、社長さんが思っているより実は効果的なのです。
また、ミーティングも講義的なものをいいと思いますが、何らかのテーマをもとにグループミーティングを行いながら進めるミーティングが効果的だと思います。そして、できれば、そのグループミーティングに社長も参加される方がいいと思います。
社員がどんなことを考えているのか、どれぐらいの知識やスキルがあるのか、ミーティングでみんなの話を聞いているだけで色々と見えてきます。それが、今後の店舗運営や会社運営でも非常に参考になることがたくさんあります。
たまに、このグループミーティングが、社長には退屈そうでミーティングに参加されない人もいらっしゃるのですが、それが社員の現実なのですから、じっくりと会社の現状の一つを知るいい機会だと思います。
さらに言えば、この全体ミーティングは、実は参加する社員からも意外と好評なのです。
というのは、店が増え、人が増えてくると、どんどん社員同士が交流する機会が非常に低くなるからです。店舗には社員が2~3名ぐらいのお店が多いと思うのですが、いつも同じメンバーとばかり話していることもあり、全体ミーティングで他店の社員と話すことで、様々な情報交換ができ、皆のリフレッシュになったり、モチベーションの向上にも繋がっているようです。
また、あまり話したことがない社員とグループミーティングで意見交換もでき、同じ会社だけれど、意外に知らない他店の社員のことを知ることもでき、非常に皆に好評です。そして、そのときに話した社員の店に行って自社のお店を改めて知る機会になったりするようです。
場合によっては、朝から始めて、お弁当を一緒に食べてもらったり、できるだけ交流する時間を取ったりする場合もあります。
お酒を飲んだりする場面を作って、一体感を作ることも時には必要だと思っていますが、人が増えると経費がかかる上に、今は飲めない人も結構いるので、こういったお昼の食事会のような形で会社の一体感を作ることも会社の成長のためには必要だと思います。
店や人が増えるとともに、組織としての「一体感」が薄くなりつつあります。
ただ、一人よりも「仲間」がいる方が人って頑張れるのではと思います。こういった時間や費用をあまり重要視されない社長さんもいらっしゃるのですが、皆の成長を願うのであれば、こういった機会を設けて、いい意味での「仲間意識」を醸成してもらい、その上で、お互いが切磋琢磨して成長してくれれば、経費としては決して高くないのではないかと思います。