(3)店長がやるべき「アルバイト教育」を仕事として具体化する
3店舗ぐらいからお店を増やす段階、つまり、組織の基盤つくりのための仕組み化の中で、これまでの経験上、非常に重要だと考えているのが、「店長の役割と仕事」を明確にするということです。
これはなぜかと言えば、多くの人が、「店長の仕事」を知っているつもりで、実は知らないことが多いからです。また、創業社長が仮に店長として1号店を立ち上げ、そのままの流れで店を増やしてきた場合、「店長の仕事」を感覚的にやってきているので、「これが店長の仕事だ!」と分かっているようで、分かっていないのが現実だからです。
さらに言えば、「店長の仕事」というと、抽象的な仕事でしか把握していないことが多く、例えば、「店長は、リーダーシップを発揮してほしい」とか「店長は、アルバイトとコミュニケーションをできるだけ取ってほしい」などのように、”分かったような、分からないような”捉え方をしています。
ちなみに、「リーダーシップを発揮してほしい」と言いますが、具体的にお店の中で”どんなことをする”ことがリーダーシップを発揮しているといえるのでしょう。また、「コミュニケーションをとってほしい」と言いますが、具体的にお店の仕事の中で”どんなことをすれば”いいのでしょう。
下手をすると、コミュニケーションは、「アルバイトと会話をすること」みたいな捉え方をしていると、仕事中にアルバイトと雑談して、話しやすい雰囲気を作れればいい、と勘違いする人もいるのではないでしょうか?
アルバイトと会話することは大切ですが、そこに、目的がなければ、アルバイトとコミュニケーションをしたことになりません。店長に求められるコミュニケーションというのは、アルバイトとの「距離感」をいい意味で近づけるためであり、適正な距離感を作ることができれば、時には厳しいことも言えるでしょうし、時にはいい意味で頼ったり、助けてもらったりすることもできるでしょう。
このように、「店長の仕事」って、抽象的な理解でしかなく、”具体的に何をする”というのが、決まっていないのが現実です。だからこそ、よく経営者さんや幹部の方が仰る、「うちの店長は何も行動しない。こっちからの指示がないと全く動かない」というような不満に繋がってしまうのです。
なので、できるだけ「店長の仕事は、これをやることだよ」というのを社内で決め、その仕事に取り組むことが、例えば、コミュニケーションを取ること、コミュニケーションの質を高めることに繋がるようにするのです。
例えば、数値管理も、単に、「店のFL管理をしっかりやってください」とだけ店長に伝えても店長はどうしていいか分かりません。
しかし、社内に、FL管理ができるツール(アプリやエクセルで作成した管理表など)を使って、「日々、仕入れ率をコントロールして」とか、「人件費は、この数字以上にならないように、シフト組みをしたり、営業中も生産性を上げるために、アルバイトの教育をこんな風に行って」などと、「やるべきこと」が明確にあって、それを代々引継ぎながら、その質を上げていく方が、店長としての役割をしっかり果たせるようになるのです。
また、「アルバイトを教育して!」と言っても、具体的にどんなことをすることが教育なのか、本当に理解している人なんかほぼいません。
なので、アルバイト教育は、まず、「毎日目標設定をして、アルバイトに課題を与えて、日々達成感を感じてもらうこと」「また、目標と現実の振り返りをして、相手にフィードバックし、相手を確実に成長させること」とし、そのために、「目標設定シートを記入する」とか「毎日フィードバックを行う」とか、こんな感じで、アルバイト教育は”具体的に何をするのか”を明確に提示しないと、ただ「あれやって」「これやって」「何やってんの?こんなんじゃダメじゃない?」なとと指示とか指摘しかできない、そんな店長になってしまうのです。
多くの人が、
「そこまで整えてあげないとダメですか?それぐらい自分なりに工夫してやってもらいたいのですが・・・」
と仰る人もいますが、私はこういったことを聞くと、必ず杓子定規的に、
「そんなことができるんだったら、悪いですけどここにはいませんし、とっくに独立していますよ」
と話します。
店長の仕事の質が上がれば上がるほど、お店の営業の質も向上します。
そのためにも、「具体的に何をすべきか?」を上述した感じで、ある程度仕事内容とそのために使用するツール等を仕組みとして整えることが大切です。
これがあれば、「これを使えるようになることが、店長としての仕事の質を上げることになる」と思えますし、やる方も分かりやすくなります。
また、今後、お店を増やしていけば、必然的に、店長の上司である「マネージャー」という役職も必要になります。店長の仕事が明確で、そのやり方に精通していれば、マネージャーの仕事はスムーズに行うことができます。なぜなら、今までやってきたことを、部下である店長に教えて、できるようにさせればいいからです。マネージャーにどんな仕事をさせていいか分からないというのは、店長の仕事が具体的に決まっていないから、そうなってしまうのです。
この店長の仕事を具体化することは、飲食を始めて間もない頃は、情報もノウハウも知識も不足しています。なので、構築するにはとても骨がおれる作業になると思います。
ですから、我々のようなコンサルタントに頼って、「店長の仕事」を具体化する、そして、それを「評価表」にもつなげていく、そんな仕組みつくりを進めることをおすすめします。
自力で作成することも大切ですが、時間がかかるだけですし、ある程度実績あるものを使って、それをベースに自社流にアレンジする方が、時間の短縮になるでしょう。
当社はこういった分野でたくさんの仕組みをつくってきましたので、よかったらご相談ください。ぜひ、使ってやってください(笑)