●店長自身だけの考えで、お店の運営をさせてはならない!
 
 
社長さん、幹部さんから、自社の店長に対して、
 
「自分のやりたいことをやればいいのに、なぜやらないんだろう?なかなか自分から動かないんだよなあ」
 
と、話される方がいます。
 
特に、会社の創立間もないころは、社長自身も店の運営で何をすべきか不確定要素が多く、中途採用したスタッフで自分より少し経験あるスタッフから色々と意見を聞いたり、そのスタッフに色々と任せたいという思いから、上記のように話される社長さんが多いように思います。
 
確かに、人は、「やらされる」より自主的、主体的に取り組んだ方が仕事も楽しいでしょうし、できれば店長自身の考えをどんどんお店の運営に活かして、自分なりにやりたいことをどんどんやってくれた方が、成果も高くなり、きっ
とモチベーションも高い状態で仕事ができると思います。
 
 
 
ただし・・・です。
 
 
もし、自分なりにやりたいことがあって、積極的にどんどんお店の運営を進めていける人は、「とっくに独立して自分でお店をやっている」のです。言い方は悪いですが、自分でできないから、今、あなたの会社にいるのです。
 
だから、「自分のやりたいこと」なんて、仮にあったとしても、どうやってやればいいかも分からないから行動できないのです。
 
 

また、反対に、自己肯定感がすごく高いスタッフがいて、「自分はできる奴だ」と勘違いしているスタッフも皆さんの会社の中に、数人はいることでしょう。
 
仮に、この自己肯定感が非常に高いスタッフに、好きなようにお店の運営を任せるとどうなるか?
間違いなく、「売れない店」になってしまうでしょう。
これは想像できますよね?知識や経験も乏しいにもかかわらず、なぜか分からないが、「自信」だけはある。こんなスタッフに、店を任せて上手くいくはずがないのです。
 
 
ですから、「店長にできるだけ任せて、店長自身の考えでお店を運営させる(任せる)」というのは、基本的にはやらない方がいいですし、仮にやるとしても何らいいことはないのです。
 
 
「守破離」という言葉があります。
 
まずは基本を学び、そこから少しずつ「自分の型(やり方)」を取り入れ、最終的には「自分流」を作っていこうという考え。
永く店長育成に携わっていますが、基本ができていない人で、「できる店長」は見たことがありません。やはり、仕事をマスターするためには、必ず、順番があり、この順番を守らないと、人の成長はないのです。
 
店長育成の第一歩としては、まずは、店長に対して、「守」を徹底させるべきでしょう。
 
店でやるべき内容(お店の運営方法、接客、商品つくり、教育など)を、会社本部で構築し、それをしっかりとやらせるのです。決めごとを確実にやるという習慣づけをしっかり身に着けさせるのです。(ある程度、成熟している会社あれば、これは社員のうちにやらせるといいでしょう)
 
そして、ある程度、できるようになってきた段階で、少しずつ、「破」の段階に移ります。つまり、少しずつ店長自身の考え、意見を取り入れてお店の運営に活かしたり、その意見を取り入れて、会社本部でつくった仕事内容を改善したりするようにしていきます。
 
この段階までくれば、きっとそれなりの実力もついているでしょうから、そこからどんどん各店長の好きなことをやらせればいいでしょう。
 
 
つまり、店長育成の第一歩は、店長として、店として「やるべきこと」を店長に考えさせて構築させるのではなく、会社自体が、店長業務や店の仕組み、教育方法などを構築することがとても重要ということです。
 
また、もし今、店長の行動に不満を感じるのであれば、店長としてのやるべきことを会社で構築し、その業務をまずは徹底してやってもらうほうが成果もでますし、店長の成長にもつながるでしょう!