経営者さん、幹部さんが店長に対して抱く”不満”として多いのが次のようなもの。
1,指示しないと動かない
2,何も提案してくれない
3,先を読んで、自らどんどん行動して欲しい
4,アルバイトをもっと教育して欲しい
特に、1の「指示しないと動かない」という嘆き?、悩みを抱えておられる経営者さん、幹部さんが多いような気がします。この状態を打破するために、皆さん、店長に対して知識を習得させたり、情報を提供することで、店長の行動を促進しよう、店長に成長してもらおうとされていることだと思います。
当社はこれまで20年以上にわたって、たくさんの会社の店長さんと携わってきましたが、実は、店長に”単に”知識を提供するだけでは、成果をだすことも店長自身の成長にも繋がらない、と感じています。
これはどういうことかといえば、経営者さんや幹部さんは、外部なり内部の研修を実施する際に求めるのは、一般的な知識を習得させることだと思います。
例えば、計数管理でいえば、PL表の見方だったり、損益分岐点の算出方法、FL管理といったものを教えてほしいと考えていると思います。
確かに、これらの知識を得ることはすごく大切なのですが、”現場スタッフ”が求めているのは、FLの算出方法よりも、「原価率をコントロールするために毎日の発注や在庫管理をどうすべきなのか」、「原価率を確実に落とすために、どうやって原価や売価を設定すればいいのか」など、実際の現場で「具体的にどうするのか」ということを求めているのです。
ですから、極端に言えば、原価コントロールでいえば、「このエクセルに毎日●●を入力して、ここが●●以下になるように仕入れをしてください」などと、日々の仕事にまで落とし込んだやり方を伝えないと、現場で生かすことができないのです。つまり、「知識を日々の仕事に変換する」ということが非常に難しい作業なのです。
経営者さん、幹部さんからすれば、知識を習得し、それをもとに具体的に現場の仕事でどう活かすは自分たちで考えてほしいと思っていると思いますが、実はそれが現場のスタッフには非常に難しい作業なのです。
これをもとに店長業務を考えると、店長に「アルバイト教育を強化してほしい」と話しても実は無駄で、アルバイト教育をさらに分解し、例えば、「アルバイトとのコミュニケーションを強化しよう」では実は何をしていいか分からないのです。
コミュニケーションといっても、具体的に何をするのことがアルバイトとのコミュニケーションが高まるのか分からないのです。
なので、コミュニケーションという仕事を分解し、「日々の目標設定」、「1ヶ月1回のアルバイト面談」、「普段の会話の方法」などというように、具体的なやり方を「仕事」として作り、それぞれ(目標設定など)についてのやり方を具体的に教えていかないと現場で生かしたり、成果をだしたりすることが難しいのです。
多くの会社を見ていると、「店長のスキルアップ」をはかりたいと考えている会社は多いのですが、なかなか苦心している会社が多いのが事実。
そのほとんどが、外部研修を受けたり、他社の仕事をまねさせたりしていると思いますが、大切なのは、自社の「具体的な仕事を社内に構築」することです。
そして、先ほどの「アルバイト教育のコミュニケーション」のように、コミュニケーションの具体的なやり方である、「目標設定」「面談」などの仕事の基本的なやり方を教え、これらのノウハウ(皆でこうやれば成功するというノウハウ)を社内で共有するようにしていかないと、店長スキルは向上しないのです。
また、具体的な仕事のやり方が決まっていれば、店長の上司であるマネージャーやSVも仕事の型(やり方)が決まっているわけですから、どこが悪いのか、どうすれば上手くいくのかも指導しやすくなるのです。そうなると、より店長は育ちやすくなるのです。
さて、皆さんの会社では、店長業務が具体化されていますか?