●あなたの店の「提供価値」は?
最近コンビニでも”煎れたての美味しいコーヒー”が「安く」飲めるようになりましたよね。缶コーヒーよりも値段が安いし、美味しいからどんどん流行るような気がしますが、この状況にやや「恐怖感」を持っているのが、コーヒーを売ることを生業にしている“セルフコーヒーチェーン”ではないでしょうか?同業との競合が激化しているにも関わらず、「異業種から参入されるなんてなってこった」と、もしかしたら思っているかもしれません。
ただ、皆さんの業界にも同じようなことが今後起こるかもしれません。
もしこんなことが起こった時、皆さんならどうしますか?
・値段を安くしますか?
・安くすることで集客を測りますか?
でもこれだと、体力のある店、会社しか生き残れませんよね。
そこで、「お客様に提供する価値」という視点で打開策を考えてみてはどうでしょう?
例えば、先ほどのセルフカフェチェーンで考えてみると、市場の約60%を占める大手2社(スターバックスとドトール)の「提供価値」は次のように考えられます。
・スターバックス→ 「ほっとする空間(3rd Place)とこだわりのコーヒー」
・ドトール→ 「手軽で便利なちょっとした休憩場所」
セルフカフェですから、もちろん一番の「売り物」はコーヒーです。
コーヒーだけを提供する店という位置づけになると、競合が出てきた時にやることは商品力で勝負するか、または、価格で勝負することになりますね。もし、価格で勝負することになってしまうと、競合にモロ「コンビニ」がぶつかることになります。
しかし、コーヒーの提供はもちろんのこと、「ほっとする空間」や「手軽で便利な場所」を提供するとなると、コンビニとの「違い」が明確になります。つまり、「違い」が分かりやすくなると、お客様の方で「使い分け」ができるようなり、それぞれの「価値」が見えるようになるのです。
この「お客様から見た時の『違い』」が、実は、今飲食店作りの中でとても大切なことで、作り手側からすると「違い」はもちろん分かっているのですが、お客様から見るとその「違い」は意外と分からないものなのです。
今、店作りで大切なのは、「何屋か」というだけでなく、
・どんな楽しさを提供できる店なのか?
・どんな体験が出来る店なのか?
・どんなことで共感してもらうのか?
ということも、商品つくり、接客以上に大切になってきたと言えます。特に今は似たようなお店がたくさん増え、自分たちでは「ここが違うぞ」と思っていても、お客様から見れば、「どこが違うの?」と感じることが多々あります。
これを「同質化」といいます。
数年前、「ワインバル」という業態が非常に増えました。
作り手側からの視点から言えば、
「うちは、ワインの種類が豊富だ」
「うちは、ワインバルの中でも、つまみが充実している」
「うちは、ワインバルと言っても、ワインを気軽に安く楽しめる店だ」
と、自分たちでは「ここが違うぞ」と思っているようですが、実際には、お客様から見れば「すべて同じ」にしか見えないのです。これが、作り手側とお客様側の「ギャップ」であり、この「ギャップ」が大きいお店ほど、一度はお客様が足を運んでも、何度も足を運ぶことには繋がらない理由なのです。
だからこそ、自店が「何を提供しているのか」「お客様にどんな体験をしていただけるのか」という主張をはっきりさせることが今の時代には求められるのです。これが、今「コンセプトメイク」に求められる最も重要なことであり、それが基本コンセプトを明確にするということなのです。