(5)問題が発見しやすくなる、数値を細かく「分解」した数値管理が必要!

今の飲食業界の大きな課題のひとつが、物価の上昇です。様々なものの価格が上がり、原価率を上昇させ、価格に転化するのか、それとも自社の利益率を下げるのかの選択を迫られています。
 
また、人不足も大きな課題で、どの会社も少しでも採用率を高めるために、時給や給与を上げて人材募集などを行っています。そのため、人件費も非常に上昇しています。
 
ご存じの通り、飲食店の経営で重要なのは、FLコストであり、これをどうコントロールするかで店の利益が大幅に変わってきます。そして、そのFLが、今、非常に高騰し、いかにコントロールするかがより重要視されるようになってきました。
 
 
いくら利益を出したいからと言って、むやみに価格を上げて原価率を低減させたり、人を減らして人件費ばかり気にしていると、売上は下がるばかりです。
 
よくご支援先の人に言うのですが、
 
「経費はもちろん大事!だけど、売上があってこその経費であり利益。だから、まず、売上をどう作るかが大切だ」
 
という話をしています。
とはいえ、原価率と人件費率をどうコントロールするかは、とても重要な課題であり、このコントロール次第で、利益ばかりか、場合によっては、売上にも影響がでます。
 
 
 
では、どんな管理がより求められるのでしょうか?
 
例えば、人件費であれば、ただ人件費を減らすというよりも、生産性も加味しながら「人時売上高」をどうコントロールするかに苦心されていると思います。
 
ただ、この人時売上高も、業態によってはより細かく見る必要があります。
通常は、皆さん、1日トータルの人時売上を管理していると思いますが、私のご支援先は、もしランチ営業とディナー営業をやっているお店であれば、ランチとディナーの時間帯にわけて、ランチ、ディナーそれぞれの人時売上を管理してもらうようにしています。
 
理由は、1日トータルでだけの数字をみていると、どこの時間帯の生産性を上げるべきなのか、もしくは、どこの時間帯は生産性が高いのかが分からないからです。
 
もし仮にランチの時間帯の方が売上が高いのであれば、生産性としては、ランチの方が高いでしょう。なので、売上の悪い時間帯の人員を減らすことを皆考えがちです。
 
ただし、売上が見込めない時間帯からさらに人員を減らすとなると、余計に「売上を下げる」ことに繋がってしまうことも多々あります。
なので、この場合、売上が高いランチの時間帯をどう効率アップ(人員を1人削減しても、顧客満足度を下げないオペレーションに改善していく)して、さらに人時売上高を向上させるか、もしくは、1人人員を増やして売上を上げることで生産性をアップさせるなどの方法も考えられます。
 
このように、より数値(この場合であれば、人時売上高)を「分解」することで、打つべき策も増えますし、現状をより詳細に把握することができるのです。
 
 
また、原価率に関しても、毎月カテゴリーごとに原価率を管理し、理論原価率を把握しながら、どの商品群(カテゴリー)の商品の原価率をアップ(価格としては値上げ)させてもそれほど全体の原価率アップにならないか、
または、どの商品の原価率を下げれば、原価率が下がることにつながるのかまで、細かく管理することも必要でしょう。
 
 
最近はレジ会社が多様化し、また、安価になってきてとてもいい面もあるのですが、上記のデータ管理ができないレジもあります。また、どうやって数値分析をすれば分からないということもあって、細かいデータは必要ないという方もいらっしゃいます。
 
 
しかしながら、今は上述したように、より細かな数字管理を行いながら、FLコントロールすることが求められるようになったと感じています。場合によっては、レジではムリで、PC上(エクセルなどを活用して)で計算できるようにする必要性もあるでしょう。
 
 
価格に転化することが、FLコストを抑える一番簡単な方法ですが、それで売上が下がったのでは意味がありません。
こういう事態を招かないようにするためにも、より細かい数値管理の方法を社内に取り入れるべきでしょう。
 
 
※当社が行っている数値管理の方法は、こちらの動画を参照ください
https://youtu.be/S5QTTTMDPd8