●目先の売上にこだわる店は、ずっと目先の売上を追いかけることになる!
 
 
飲食店の来店動機は、大きく2つに分かれ、「衝動来店型」と「目的来店型」に分けることができます。

衝動来店型は、お客様が、例えば、ランチタイム時に「時間ないし、簡単にすませたいな」とか、「ちょっと小腹がすいたな」という時に、その場所の近くにある飲食店を”衝動的に利用する”タイプの店のことです。

だから、衝動来店型の店舗は、とにかく立地がすべてあり、どれだけ店前通行料の多い場所、もしくは、人が集まる場所(例えば、ショッピングセンター、ショッピングモールなど)に出店することが、経営の大きなポイントになります。

一方、目的来店型は、お客様が”わざわざ”来店する店のタイプであり、そのため、立地的には、いわゆる2等立地、3等立地でも盛業が可能であるが、その分”わざわざ”来店してもらうための「商品力」が経営のキーポイントになってきます。
 

自店がこの利用動機のどちらになるかを決定し、この動機に合わせた対策を採ることが、「売れる店」になるか、「売れない店」になるかの分かれ目にもなるのです。

どういうことかと言えば、仮に、自店が「衝動来店型」のタイプの店にも関わらず、”商品力を高めても意味がない”ということ!

一見、飲食店だから、衝動来店型の店でも「商品力」を高めることはいい対策と思われるかもしれないが、売上アップの対策として「商品力」を高めても、絶対に効果は出ません。
なぜなら、このタイプのお店にお客様が求めるのは、「スピード」と「安さ」だからです。もちろん、ある程度の「商品力」も求めるが、それ以上に「スピード」と「安さ」を求められるのです。
 
だから、このタイプの店は、いかに「早く」「安く」商品を提供できるかを追求することが、売上を上げるポイントになります。
  
 
つまり、利用動機にあった対策というものがあり、このセオリーを間違えると確実に売れなくなるのです。

 
先日、あるお店の社長さんと話していて、次のような会話になりました。

「やっぱり、売上を上げるためには、広告が大切で、いかに効果的なネット広告をだせるかがポイントですよね?」
 
と話されていた。
でも、店に行くと、店は汚いし、接客サービスもそれほど良くない・・・・
商品もまずまずの出来だが、「うまい!」というレベルではない・・・・

この社長さんの店は、間違いなく「目的来店型」のタイプの店。
目的来店型は、いかに”リピーターさん”、すなわち、”固定客”を作れるかが経営の重要課題となります。

お客様は、店の存在を探し、そして、店を見つけ(認知)、来店してくれます。
そして、店で、料理や接客、店の空間を体験し、満足してくれれば、お客様の「記憶」に残り、それが、次の来店(再来店)につながります。
 
しかし、「記憶」に残るような、「体験」ができなければ、次は2度と来店することはないのです!

そのため、目的来店型こそ、このフローの「体験」が最も大切であり、この「体験」の質を上げ、いかに、「再来店」に繋げる、つまり、固定客をいかに獲得していくかが、「売れ続ける」店になれるかどうかのポイントになるのです。
 

先ほどの社長は、認知(お客様に店の存在を知ってもらう)部分には、お金をかけるが、体験の部分に力、お金を入れていません。
だから、残念ながら、ある程度(?、僕からすると、売れているレベルに値しないが・・・)は売れるけれど、繁盛店にはなれないのです。

この社長は、繁盛店になるために、「体験」の部分の強化が必要であることが大切だとは分かっているのですが、どうしても「目先」の売上が必要だからということで「認知」の部分にのみ、力、お金をいれてしまうのでしょう。

でも、これでは、いつまで経っても、「売れる店」「繁盛店」にはならことはありません。なぜなら、ザルで水をすくっている状態だからです。
 

「売れない店」ほど、目先の売上をとることに走りがちだです。
でも、目先の売上を追えば追うほど、永遠に、目先の売上を追いかけることになるのです。 にわとりが先か、たまごが先かということ。

もし、あなたの店が、目的来店型の店ならば、「お客様が来ない」とか「景気が悪い」とか言う前に、店をきれいにしてはどうでしょう?
商品をこれ以上ないほどうまくする方法を考え、実践してはどうでしょう?
一人のお客様でも、精一杯これ以上ないくらいおもてないしてはどうでしょう?

これらをなおざりにして、目先の売上を追いかけるから、なおさら売れないのです!